表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/132

127.対建御雷神戦 前衛メンバー

 砂浜に電撃や光が飛び交う。ボス戦である。


 ほぼ前回と同じような形で展開している。

 すなわち味方全体に強化が掛かり、敵の攻撃軌道把握、追尾攻撃、地形把握のある状態で超高火力スキルがボスに決まろうとしている。


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』」


天照あまてらす大神おおみかみ   天照あまてらす


 紫苑しおんの高火力スキル、しかも追尾性能が掛かり、プレイヤーがボスに切りかかって動きを止めている。ボスは避けられない。


【 天鳥船あまのとりふね 】


 ボスの瞬間移動スキルである。周囲のプレイヤーごとエリア内のどこかに移動する。高火力スキルを回避される代わりに切り札を切らせた形である。


 ボスの周囲に居たプレイヤー達が、突如ひざ下あたりに波を受ける。周囲は海原。前回と同じく沖合の浅瀬に移動したようである。

 スキルでMPを使い果たして波間に沈みかけていた紫苑しおんをシキが咥え上げる。

 ここまではおよそ前回の通り。


事代主神ことしろぬしのかみ   青柴垣あおふしがき


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


 前回と違うのは秀吾しゅうごである。エリア内移動直後にスキルを使ってくるであろうことを先読みして防御スキルを発動させた。

 ほぼ同時に声が響く。


「二神連携!」


【二神連携   国造くにつくり


 国造くにつくりのスキルによって海底から岩が隆起し、陸地になる。


 前回と違う二つ目はえにし翡翠ひすいが来ている。国造くにつくりで足場を作っていくことで海を伝った感電を防ぐ作戦である。


「このまま周囲を囲んでいきます!」


 ボスの足元は国造くにつくりのスキルを無効化されてしまう。であれば周囲を隆起させて洋上の浅瀬に前衛組の足場を確保する。


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


 電撃が走ったかと思うと海中から伸びた剣山の様な金属の塊が岩の一部を突き崩す。ボスの設置型スキルである。


「うわわわ!」

 慌てるえにし翡翠ひすいが声を掛けた。

「崩れた岩も足場になるから大丈夫だって」

 その横にシキに乗ったサラと紫苑しおんが居た。かなめはシキの口に咥えられている。紫苑しおんのMP回復が急務なので致し方ない。

 前回と違う三つ目。薬師のサラが一緒に飛んで回復アイテムを補給した。


「出来る範囲で回復したけど、無理しないでね」

「アイテムももらったから、しばらくは大丈夫。そっちもがんばってね」

 翡翠ひすいが手を振った。


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』

 二神連携!」


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


【二神連携   布都御霊剣ふつのみたまのつるぎ


 地面に走った電撃を打ち消すように白い光が走る。


「解除!」

 凪枯ながれの隣にしゅんようが現れる。忍者のジョブスキルに連携をかけて罠アイコンの状態の設置スキルを一掃したのである。

 一瞬開いた空白地帯にケイと赤裸裸せきらら、レイが飛び込んでボスと剣を交えた。

 しゅんよう拍手かしわでを打つ。

「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』

 同時にボスが電撃を纏った。


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


 赤裸裸せきらら達に電撃が走る。

「二神連携!」


【二神連携   布都御霊剣ふつのみたまのつるぎ


 しゅんの光の刃とボスの電撃の刃がぶつかり合う。

 水面に電撃が走って徐々にしゅんにダメージがかさむ。しかし感電の状態異常は発生しない。布都御霊剣ふつのみたまのつるぎの効果の一つ。状態異常回復である。


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


 ボスを中心とした設置スキルでの攻撃。飛び退いた赤裸裸せきらら達の目前まで迫る金属の針山が現れた。


「上です!」


 スキル発動の影響で姿の消えているようの助言。しゅんが顔を上げると、針山の上にボスが立っていた。ようの放った光線を最小限の動きで避け、剣を振り上げたところである。ボスの剣に電撃が走る。


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


「っ!!」


 何とか受け止めたがしゅんは吹き飛ばされる。ダメージの蓄積が一定量を超えたのか、布都御霊剣ふつのみたまのつるぎのスキルが解除された。

 追い討ちをかけようとするボスに対し、赤裸裸せきららとレイが前に出て迎撃する。その足元を電撃が走った。


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


 赤裸裸せきらら達が左右に飛び退いて躱す。

 しゅん達の居たところにも剣山が突き出した。本人はすんでの所で躱している。水面に突っ込むように転がり、受け身をとって即座に起き上がった。


 一方、凪枯ながれはタイミングを計っていた。

 切り合いでは負けるというのが大方のプレイヤーの見解。凪枯ながれのスキル、当たれば強いほぼ一撃必殺を狙う方針である。


 スキルを使ってから発動まで時間がかかり、追尾性能を付与されても避けられることがある。というより前回避けられた。よほど周囲の条件が整っていないと当てられない。

 追尾性能自体は今も掛かっているが、しかし賭けであることに変わりはない。


 凪枯ながれは岩の上に上って全体を俯瞰ふかんする。


 ボスと直接当たっているのはしゅんよう赤裸裸せきらら、レイ。一時強化を使ったケイ。

 立氷たちひを破壊したり足場を作ったりとサポートを続けているのがジオ、秀吾しゅうご翡翠ひすいえにし

 遠く陸地の方に天鳥船あまのとりふねのスキルに巻き込まれなかった後衛が集まってくるのが見える。


「ここ」


 直感で凪枯ながれ拍手かしわでを打つ。


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』」


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


天津甕星あまつみかぼし   天狗あまつきつね


【二神連携   瑞穂みずほ祖神おやがみ


 しゅんが電撃を纏い、鉄人てつととソライロの連携スキルで強風が吹いて水が渦巻き、しょうの近くに水竜巻が立った。


「ここで?」


 凪枯ながれの判断を疑問に思う声が漏れるが、使ったなら対応するまで。

 何とかボスの動きを止めてスキルを避けさせないようにするのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ