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125.対建御雷神戦 撤退

 浅くクレーターになった場所に、周囲の海水が流れ込む。


「……避けられた!」


 ボス戦。高火力スキルをことごとく回避され、一筋縄ではいかない。


「ボスは?」

「上!」

 咄嗟とっさにジオが叫んだ。


「ぐっ!」


 赤裸裸せきららが斬撃を防ぎ、大きく押される。

 そのまま連続して切り合いになる。赤裸裸せきららもダメージが蓄積してきて、動きが徐々に鈍る頃合いである。


 しゅんが斜め後ろから切りかかってきたのに反応し、ボスは振り向きざましゅんと切り結ぶ。一方で赤裸裸せきららへ足止めとばかりにスキルを放つ。


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


「とととっ!」

 赤裸裸せきららが至近距離で使われたスキルの攻撃軌道を見極め、体をひねるように回避した。

 そこでボスの攻撃軌道と海底のワイヤーフレーム表示が消える。


「すいません、MPが限界……」

 ここでジオのMPが尽きた。


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


 しゅん達が切り伏せられて布都御霊剣ふつのみたまのつるぎのスキルが解ける。

 二人はHPダメージの行動制限で動きが鈍い。

 その間にボスは後ろから掛かってきた赤裸裸せきららを向いた。


「うわジオさんの補助表示無いの心細い……」


 言いながら二、三合の間に赤裸裸せきららが切られた。

 更にボスの返す刀で近くで動けなくなっていたジオも切り伏せられる。

 ジオはHP0。赤裸裸せきららはダメージによる行動制限と感電の状態異常。


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』」


【二神連携   布都御霊剣ふつのみたまのつるぎ


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


 複数方向からケイ、レイ、しゅんとタイミングを合わせた攻撃。これはボスに軽々と受け止められる。

 しかしそのタイミングで背後の赤裸裸せきららが渾身の一撃を放つ。


 確かにボスに少なからぬダメージを与えた。しかしそこまでだった。


建御雷神たけみかづちのかみ   建御雷たけみかづち


 電撃を纏った剣が振られ、全員ほぼ同時に切り伏せられる。

 HPが大きく削られていたのもあってほぼ一撃。ケイが残っているのは位置が遠かったのでケイが避けられただけである。


 MPが尽きかけているかなめが前に出た。


「ふっ!」


 かなめとケイがボスの一撃を逸らす。

 しかし逸らしたはずの電撃が水を伝ってダメージを与えてくる。


建御雷神たけみかづちのかみ   立氷たちひ


 止めとばかりに周囲に設置スキルの罠アイコンが点灯する。


「こっち!」


 かなめとケイはとっさに凪枯ながれの声がする方に飛び退き、水の中に倒れ込む。

 その部分だけ罠が破壊され、すんでのところで針山の回避に成功する。


「よーやく罠スキル破壊のタイミング掴めた……」


「え?! 何で?!」

「後衛の撤退が終わったから、声掛けに来たんだけど……脱出無理そうだねぇ……」




 影助えいすけ紫苑しおん小春こはるは海の方を見ていた。

 シキも一緒に緑の火の鳥居の横に居る。


 沖の様子を見ていた小春こはるが言った。

「ええっと……これ全員やられたよな?! 帰っちゃっていいよな?!」

「ああうん、ボスのHPMPと罠アイコン表示してて欲しかっただけだから」

 小春こはるが帰ろうとしてシキを二度見した。

「ケイまだ生きてない?!」


「え? ああ、ケイがやられても町に戻るまでは居るんだっけ」

「にゃ」

「あ、そうか。MPが残ってたら白い炎に変わるまでは式神残るのか……じゃ、影助えいすけ、後頼んだ!」

 そう言うと小春こはるは心置きなく鳥居をくぐって町に戻った。


「式神結構万能だよな。猫なのに泳げるし」

「みゃ」


 それからしばらく、ケイがやられて一分経ったらしい。シキが消えた。

 そこからボスが来るギリギリまで待って撤退する。退場が遅れているメンバーが居たら経験値ペナルティ無効が効かない可能性があるからである。


「俺も騎士とかやればよかったかなぁ。最後の一人で残ること多いから寂しいんだよね」

「式神使いじゃないのか?」

「式神使い立ち回りが難しそうだからなぁ」


 沖から戻ってきた青白い雷光が一直線に向かってくるのを見て。影助えいすけ紫苑しおんの二人は鳥居をくぐった。


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