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118.突然のボスエリア

 オープンベータを見据えたアップデートで仕様が若干変わった。


 様子見も兼ねて、たまたま揃ったケイ、ジオ、えにし翡翠ひすいでダンジョン一階層から十階層まで登頂中。現在九階層、海のエリアである。

 海エリアでケイのマップ表示スキルを使うとあっという間に水中の敵に囲まれてやられるので、現在スキルを切っている。

 海岸に上がってスキルを使おうかというところで、ケイがふと気づいた。


「……あれ何だろ?」


 ケイが遠くの波打ち際を指差した。


「何?」

「岩か木かと思ったんだけどなんか違う?」


 えにしが両手を望遠鏡のような形にする。術師の遠見のジョブスキルである。


「っ!! ボスです!」

「ボス!?」

「うわしまった……前回までのボスエリアは分かりやすくなってたから油断した……」


 須佐之男命すさのおのみこと大国主命おおくにぬしのみことと、ボスエリアに建物があるかなり特殊なボスが連続していた。そのため鳥居を見つけた段階でボスエリアと気付いたのだが今回は違う。


 ジオが手短に方針を述べる。

「ケイ、えにしさん翡翠ひすいさんをシキに乗せてくれ。

 なるべくボスから距離をとってケイのスキルを使う。それで表示された最寄りの鳥居に走る」

「了解! シキ! えにしさんに」


 言う間に翡翠ひすいがボスの影を見て、えにしを見た。


「いやちょっと待って。えにしさん、もしかしてあのボスって」

「多分……建御雷たけみかづちです」


「……まずい……」

しゅんみたいに加速移動してくるって事?!」

「あと海中で電撃食らう」


 言う間にボスが動き出した。

 棒状の土台から飛び降りて、その土台を引き抜いたのが見える。


「俺の所で迎撃します! 国造くにつくり準備してください! ケイは俺の後ろで支加わかちくわえ使ってくれ! 目立つから誘導になるはずだ!

 国造くにつくりで吹っ飛ばした隙に最寄りの鳥居に駆け込む!」

「お、おう!」

「分かりました!」


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす!』」


思兼おもいかねのかみ   八意思兼やごころおもいかね


猿田彦さるたひこのかみ   支加わかちくわえ


 ケイの頭上に火の玉が浮かぶと、波打ち際が勢いよく泡立った。ケイのスキルの炎はエリアの出口を示しているのだが、目立つ。八十禍やそまがつが集まってくるのである。


 ボスが見慣れた電撃のエフェクトを発生させる。味方なら頼もしいが、敵に回ると恐ろしい。

 そして凄まじい勢いで突っ込んできた。

「っ…!」


 ジオが辛うじてボスの攻撃を受け止める。八意思兼やごころおもいかねで敵の攻撃軌道が見えていてやっとである。


「二神連携!」


 ジオの前でボスが止まったその瞬間、えにし翡翠ひすいの声がそろった。


【二神連携   国造くにつくり



 ジオは最初、えにし達がスキルの範囲を誤ったと思った。

 周囲に遠巻きに岩が沸き上がる。肝心のボスの足元は何事も起こらない。

 しかしすぐに気づいた。


「まさか……!」


 ジオは言い終わる前に力押しで真横に吹き飛ばされた。岩に当たってようやく止まる。


「シキ! ジオに従え!」


 ケイはシキに指示を飛ばす。ケイは器物型式神でボスの攻撃を逸らしていたが、徐々に距離を詰められている。

 ボスに電撃が走る。建御雷たけみかづちで加速する直前の予備動作である。ケイの背後は隆起した岩でできた壁。この至近距離で使われたら回避は不可能。


「やば……」


【二神連携   布都御霊剣ふつのみたまのつるぎ


 ケイの目の前が一瞬真っ白になった。

 目に入った情報で若干混乱を覚えたが、二人に声を掛けられてようやく事態を把握した。


「ケイ! 大丈夫ですか?」

「あれボス?」


しゅん! よう!」

 九階層を通りがかったしゅんようが助けに入たのである。


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