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7話

 パチンと目が開いたのは正午ピッタリ。寝起きなのに寝ぼけることなく溌溂しているのはなんとも不思議な感覚だ。


 俺の腕枕で眠っているのは黒金髪の褐色肌した青黒眼美女で異世界勇者様のエレン。

 今はスースーと可愛い寝息をたてている。


「エレンといたしたりくっついて寝たりすると俺まで回復の恩恵に与れるってことなのかな?」


 寝起きから分かる体調の良さ。何と言っても身体が非常に軽い。昨夜たっぷり出したから軽いってわけじゃないぞ?


「んんん~」

「おはようエレン。もうとっくにおはようって時間じゃないけどな」


「……洋一、チューしたい」

 いきなり甘えるとは上級者め! はい、しますよ。


 唇を合わすと、直ぐに舌を割り入れて俺の口の中を舐め回す。

「おい! コラ!」

 チョップを額におみまいする。


「アイテ! もう、痛いよ、洋一」

「寝起きなんだから少しは控えろよな。昨日とぜんぜん態度が違うじゃねぇかよ。昨日までは若干オドオドしていたくせにさ」


 表情から口調までだいぶ柔らかみが出たな。だが悪くはない。寧ろいいくらいだ。


「それにしても夜伽がこんなにも気持ちいいものだったとは。思わず蕩けてしまいそうでおかしくなりかけたわ。絶対に聖女マリノはこれを知っていたからわたしに一切関わらせなかったのね……」


「イヤ……どうだろうね。蕩けそうなぐらいになるのはエレンがこっちの世界に来たせいかもしれないし、交わった俺が特殊なのかもしれないし。そこはなんともいえないわな」


 そもそもこっちには魔法というもの自体がないから、昨夜しているときに言っていた俺の中にあるらしい魔力が気持ちいいとかなんとかってこともね。本当のところは分かんないんだわ。


「まっ、そんなのいいじゃん、気にしなくとも。お互いに気分がよかったんだからそれで問題なしってことでいいだろ? エレン」


「で、では。今からでも……洋一……」


 布団に潜り込んでは俺のモノをにわかにちゅーちゅー吸い出すエレン。

 オイオイ! いきなり盛ってくるなよ。腹減ったし、ウチには昨夜? 今朝? 食ったチャーハンが最後の食料なんだ。冷蔵庫も食料庫も空っぽよ。


「なんか飯買ってくるから、ちゃんと服着て顔洗って待っておけ」

「えぇ……うん、わかったよ。ちぇっ」


 何でそこまで落ち込むのさ。どれだけエッチしたいんだよ、全く。



 近所のコンビニで適当な弁当二つと飲みもんのペットボトルを二本買って帰る。

 先ずは腹ごしらえしたら、今度こそエレンの下着と洋服を幾つかネットで購入しないといけない。


 俺が穿いていたわけではないにしろ男もンのボクサーパンツを脱がすという行為は若干だけど萎える。

 七時間も繋がりっぱなしのくせに何を言っているんだと言われたら反論の余地はないんだけどな。まあ、正直あいつにちゃんとしたもんを着させてやりたいってだけなんだけどな。


 情が移った? 俺が? まさかね。美人さんに依存されて喜んでいるだけの陰キャ男だよ。

 エッチが大好きで気持ちいい思いをいくらでもさせてくれる可愛い女の子だから優しくしてもっとエッチがしたいだけだよ。うん、そうそう。

 はあ、この自虐グセも魔法でなんとかなんねえかな。虚しくなってくるわ。




「ただいま。おまたせ、飯だぞ、飯」


 帰宅するとエレンは空中のどこかに腕を突っ込んでゴソゴソとなにかやっている。


「何をやっているんだ? 探しものか?」


「洋一に世話になりっぱなしなので、何かお返しになるような金目のものはないか探しているんだよ」


 床にはやたらと鋭い牙や禍々しく光っている珠、その他よく分からないが明らかにこっちの世界のモノではないナニカが散乱している。黒光りする鱗みたいなのがエンシェントなんとかの鱗だったりはしないだろうな?


「俺が好きにやっているだけなんだから気にしないでくれよ。それより、この散らかっているのを片付けて飯くおうぜ」


 勇者だからなのかエレンだからなのかは分からないが義理堅くて仕方ない。初めてあったときだって最初から身体を差し出そうとしていたぐらいだもんな。


 まあ、身体(ソッチ)は結果的にしっかりと頂いちゃったけどさ。


「しかし……」

「しかしじゃないよ。夜伽もたっぷりしてもらったんだからもう要らないって。ああ、そうだ。俺、友だちがいないから友だちになって話し相手になってくれよ」

「そんなことでいいのか? と、友だちは夜伽もしていいのか?」


 全部そっちかよ⁉ まぁ世の中にはセフレっていうのもあるみたいだしな。俺にはとんと無縁だけどね。


「ああ、構わないさ」

「そ、そうか。じゃあ、二~三発やっておくか?」


「…………」

「じょ、冗談だってば! 友だちジョークだよ、やだな洋一。真に受けないでくれよ……」


 汗をだくだくかきながら言い訳しても説得力ないからな。



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