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4話

 仕事はきっちり定時で終わらせてさっさと帰宅する。未だ冷蔵庫には食い物はあったはずなので買い物もしない。


 エレンの下着や服などを俺一人で買いに行けるはずもないので今夜ネットで注文してしまうつもりだ。

 顔も合わさずに女物だろうとエロいものだろうと指先一つで購入できるとはエレンもさぞや驚くことだろうな。




 最寄り駅からも早足で帰宅を急いだ。残念ながら走れるほどの体力は生憎と持ち合わせていないんだな。


 自宅の玄関を開けると真っ暗。


「ただいま。そう言えば照明のスイッチ教えるのを忘れていたな。エレン?」

 返事がない。ただの屍のようだ……じゃなくて、まさかいないのか?


 慌てて照明を灯すと隣の部屋のベッドがこんもりと膨らんでいる。


「なんだ。寝ているだけか……」


 エレンがちゃんといることにホッとしている自分にマジ驚き。

 俺が仕事している間に出て行ってくれればラッキーじゃね? とは思わないのは何故なんだろう。あんな美人な娘を放り出すのはもったいない、夜伽もあるしな……と、いうことにしておこう。


 エレンはスースーと寝息を立てて無防備な格好で寝ている。俺が帰宅したことさえ気づいていないようだ。


「朝飯のパンは食いっぱなしだし、カーテンも開けっぱかよ……つーことはずっと寝っぱなしってことか?」


 余程疲れているんだろうと思い無理にエレンを起こすことはやめた。十分に寝たあと自力で起きるまで放っておくことにする。


 食料棚の隅に転がっていた聞いたこともないメーカーのカップラーメンを啜って、静かにシャワーを浴びたら昨日と同じ様に絨毯の上に寝転んで寝ることにする。


「何をしているんだろう、俺。こんな道端に落ちてた女勇者に気ぃ使ってさ……ばっかみてぇ」


 昼休みに携帯ショップで訝しげな目で見られながらも交換してきたスマホの再設定をしていたがもういいや。疲れた、寝る。

 エレンの服をネットで注文するのを忘れて再度起き上がるが、サイズが分からなのでやっぱり寝ることにした。何だよ、チクショウ。



 *†*:*†*



 翌朝目覚めると俺はベッドの上で寝ていた。いつもの習慣で勝手に寝ぼけてベッドに這い上がったのかね?

 目覚ましよりも早く起きたのなんか久しぶりじゃないか? 昨夜の早寝が利いたんだろけどさ。なんだか身体の調子もいい感じ。


「さて、起きるか……って。なんだ?」


 俺は後ろからエレンに抱きかかえられて、エレンの腕枕で寝ていたようだ。しかも、エレンの足は俺の腰に絡みついてどうやってもびくともしない。

 何ていうの? 拘束具で締め付けられたって感じって言えば分かるかな? 拘束具で拘束されたことないけど。


「エレーン。エレーン。起きろよ~ エレーン」


 身体は動かせないし、声を掛けてもエレンは起きないしで流石に困ったところで、目覚ましが鳴った。

 スタッとエレンはベッドから飛び上がりスマホ目掛けて剣を振り下ろそうとする。


「やめやめやめやめ!!!! ごうるあぁぁぁ!!!」


 その剣何処から出てきた?


 俺の必死の叫びにエレンの剣はスマホの数ミリ手前で停止した。

 一回目の故障はどんなものでも交換無料だけど二回目からは有料なんだよ。だからこっちも必死さ。


「ああ、すまない。またやってしまうところだった。どうしてもこの四角いやつの音が、魔鳥グルンデンの鳴き声に聞こえてしまって身体が反応してしまうんだ」


 ぐるぐるぽんでも何でもいからそういうのは早く言って! 目覚ましの音ぐらいいくらでも変えられるから!


「俺こそいつの間にやらベッドに潜り込んでいて済まなかった」

「ん? 向井殿はわたしがベッドに運んで一緒に寝たのだぞ? こんな痩せぎす女に抱かれても貴殿は嬉しくもなんともないだろうが……」


 あっ俺、運ばれていたのね。全然気づかなかったよ……エレンが俺の帰宅に気づかないとかいうレベルじゃなく気づけてねえじゃん、オレ。


「エレンは痩せぎすなんかじゃなくて、ご立派なものお持ちだし、魔王と戦っていたと言う割には柔らかくって気持ちよかったぞ。それにしてもなんでそんな事したんだよ」


 エレンの痩せぎす云々に気を使ってそう答えたけど、かなりキモいな。エレンも真っ赤だし、ドン引きだよね。流石彼女いない歴=年齢。どーてい喪失はプロの方でした!


「向井殿が夜伽を受け入れてくれないので、せめて同じベッドで寝ることぐらいは許していただけるのではないかと、勝手に……済まない」


 いや、だから俺素人童貞だからどうしていいかわかんないし、そもそも弱みにつけ込む気はホント無いから!


「あっちに居る時もいつも夜伽の相手は聖女マリノで、わたしのことなど誰も見向きもしなかったんだ」


「は? どうして? いや、エレン。今更言うのも何だけど、お前かなり美人だし、スタイルもかなりいいと思うぞ。風呂入った時、あんまり覚えてないけどおっぱいもスゴかったじゃん」


 そう言ったのにエレンは悔しそうに俯く。つか、聖女が夜伽の相手してくれるの? マジ性女じゃん!


「向井殿。慰めなど要らないですよ。マリノの胸はわたしの二倍はありましたし、お尻も三倍、お腹周りなんかは五~六倍はあって凄くふくよかで美しかったんですよ! それと比べたら私なんて……」


 は? 何だって? 二倍三倍五~六倍? ソレ相撲取りじゃね⁉

 え、え、え? それがふくよかで美人だと?


 えっと……ふざけているのかな?



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