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【第二章完】転生勇者の幼女は勇者パーティーに追放させたので百合ハーレムを目指します【一旦、完結】  作者: 佐藤コウ
第二章 知らぬ間に陰謀の渦中にあったが敢えて乗ってやろうと思う
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第二十三話 『海物語 (上)』


 照りつける太陽が眩しかった。

 俺はビーチチェアーに寝転びながらミックスジュースを一口飲むと砂浜に目をやった。

「海ってほんと広いですね」

「全くにござる」

 そう言いながら水着で水遊びをする二人を見ながら俺はニッコリとほほ笑むのだ。

 薄っすらと日に焼けて小麦色となりつつある彼女たちの肌は新鮮なエロスを醸し出していた。

「所で……、いつ出てくるんですかね?」

 そんなもん知るか。彼女の問いに答えられない俺は代わりに数日前の出来事を思い出していた。



「君たち、依頼を受けてくれないか?」

 人間界に戻り冒険者ギルドに顔を出すと早速、受付の人に声を掛けられた。

 行き成りの指名に俺は『またか』なんて思って顔を顰めたが、それは俺の勘違いであった。

「うん、やはり君たちがよさそうだ」

 シルとカスミを見比べながら彼は頷いた。俺は『あれ?』なんて思いながら取りあえず話を聞いてみる事にした。

「海辺の漁村からの依頼なのだが、人攫いが出るので退治して欲しいそうなのだ。 状況的な証拠から犯人は人間ではなくて魔物の様なのだが……」

「相手が不明って事ですね」

 俺が突っ込みを入れると彼は続けた。

 既に冒険者を派遣したのだが、そのパーティーは任務に失敗している。理由は敵に出会えなかったからだそうだ。

 人攫いは若い女性のみを狙っていて、海の中に引きずり込んでいるようだ。

 『そうだ』、『ようだ』が連発して、つまりよく分かっていないと言う事だけが分かっている。なので、真相を確かめる為にも囮になって欲しいと言うのだ。

「つまり、私たちはどうすればいいのです?」

「うん、そこなんだよ。 基本的には魔物退治なんだが、そもそも相手が現れない可能性もある。 だから、一週間程、現場に滞在してもらいたい。 これが依頼内容だ」



 俺は指にはめた水中呼吸の魔法が付与された指輪を見ながらため息を吐いた。

 敵が出ても出なくても報酬は出すとの事なので引き受けたのだ。最初は俺も初めてみる海にテンションマックスであったが流石にこうなにも起らないと飽きが来るというものだ。

 そう、ここに来て既に五日が経過していたのだ。

「うーむ、素振りがしとうござる」

「あ、それ禁止で」

 敵が警戒をしない様に俺たちは武器防具をしまって、この何もない砂浜で遊んだり、散歩したりの毎日。女の子同士で日焼け止めを塗りあったりするキャッキャウフフなドキドキイベントもあるにはあったが、それすらも今は唯の作業と化してしまっている。

 あー、早くあと二日経たないかな。こんな事を思いつつその日も終わりを告げた。


「そもそも、こんな場所に何日も滞在している事自体が怪しまれません?」

「まぁ、そうなんだけれども……」

 シルの正論に俺は力なく同意した。

 相手にまともな知能がある場合、こんな場所に何日も人が滞在しているなんて『ウヒョヒョ、ラッキー』とか考えるより、普通は罠だと思うだろう。

「ここに滞在する事、自体が任務な訳ですし」

「後、一日ですか……、あれ? カスミちゃん?」

 こんな事を話していると何か甘い匂いが海の方から漂い出した。

 一人で砂浜ダッシュを繰り返していたカスミの様子がおかしかった。一度すっころぶと、ヨロヨロと立ち上がり、フラフラと海に入って行ってしまうのだ。

 ちらっとシルの方を見る。彼女は例の加護とやらで、この手のものは無効化してしまうのだろう。俺は俺で普通にレジストしてしまう訳だが、恐らく催眠効果でもあるのだろうと推測をしてカスミに倣ってフラフラと歩き出した。

「えー、シルお姉ちゃん。 取りあえず相手の出方に乗ってみるので、嫌だったら待っていてください」

 小声でそう言うと「一人は嫌ですぅ」なんて言いながら俺に倣った。


 先行していたカスミの姿が消えた。正しくは、まるで高い所から飛び降りたような感じでスッと海中に沈んでいった。

 俺たちは俺で胸位の深さまで進んで行くと大きな泡に包まれて、そのまま引きずられる様に海中を進んでいく。中では呼吸もでき、これと言った悪意を感じなかったので俺は流れに身を任す事にした。

 やがて俺たちは水晶の様な透き通った建材で作られた神殿の様な建物へと吸い込まれる。

「あれ? 水の精霊さんがいますね」

「おお、ようやく妾の姿が見えるものが……」

 シルがそう言うと、女性の声が聞こえてきた。

「ややや、その精霊殿はどこにおいでか?」

「ああ、そうでしたね。 精霊は人間には見えないのでしたね」

 力のある精霊なら無理をすれば可視化できるそうだが、シルの言う通りだった。当然、俺から見るとシルが何もない空間を見つめながら話している様にしか見えない。声が聞こえると言う事はその精霊とやらはかなり無理しているのだろう。

「妖精族の子よ。 願いがあるのじゃ」

「何でしょうか?」

「ちょっと待ってください! 説明が欲しいです。 貴女が女の子をかどわかしている犯人って事でいいですか?」

「かどわかすとは人聞きが悪いのう。 ここに来てもらっただけじゃ」

「その人たちは今どうしているのです?」

「はて? 無事、帰っているはずじゃが……」

 彼女の言葉で俺はハッとした。そう言えば行方不明の捜索が依頼内容には無かったな……。

「それでは何故、女性ばかりを狙ったんですか?」

「狙うとはこれまた人聞きの悪い。 神聖なる妾の聖域に男の様な不浄な者を入れる訳にはいかぬ故な」

「所でお願いって何でしょうかぁ?」

「おお、そうじゃった。 この神殿の地下には古竜が封印されておる。 近頃、封印の力が弱まっておってな、再封印の儀式をしてきて欲しいのじゃ」

「えとえと、その為に女性たちを呼び寄せていた訳ですか?」

「その通りじゃ。 じゃがの、皆『無理』いいおるからに、その度に帰しておったのじゃ」

 価値観の違いはこの際置いておくとして、この精霊には害意は無さそうなのでよしとしておくか。

「えーと、私たちはその封印の儀式とやらをやればいいのです?」

「おお、やってくれるか。 風の精霊の加護をもつ其方なら危険もあるまいて」

「えとえと、お話を受ける前に約束してもらってもいいですか? その古竜の脅威がなくなれば二度と人をここに呼び寄せたりしませんよね?」

 俺がそう問うと彼女は「無論じゃ」と答える。


「なら、倒しちゃってもいいんですよね?」

 そう言って俺はニヤリとした。


 



 

登場人物

アンリ……本編主人公の十一歳の幼女。一人称視点では前世の男のまんまなのだがしゃべる時は猫を被る。全盛期の時の五分の一程度の強さらしいが、それでも規格外に強い。


シル……金髪サラサラロングの巨乳のエルフ。見た目は十六歳程度。頭が少し弱い。メインの仕事は解説役。


カスミ……黒髪ポニテの美乳。刀を使い。最強を目指しているらしい。戦闘狂で『狂犬』の二つ名を持つ。

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