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【第二章完】転生勇者の幼女は勇者パーティーに追放させたので百合ハーレムを目指します【一旦、完結】  作者: 佐藤コウ
第二章 知らぬ間に陰謀の渦中にあったが敢えて乗ってやろうと思う
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第二十一話 『何故か俺が有名になっている件 (上)』


「爺や、至急、各騎士団長を招集しろ。 戦争だ!」

 怒髪天と言う奴だった。ユリアノスはそう宣言すると抜刀し、()()を切り裂いた。

 セバスチャンは肩眉を吊り上げるだけで何も言わなかった。主の怒りがそれに起因している事が明白だったからである。

――全く、ヤレヤレだ。

 彼はそう心の中で呟くと今回の落とし所に思案を巡らせるのだ。

  

 若き皇帝ユリアノスは紛れもなく名君であった。しかし、アンリが絡むと変わってしまうのだ。人間界一の権力者である彼は彼女が絡むと世界一の厄介オタクと化してしまう。

「これは侮辱だ。 美の神に対する冒涜といっても過言ではない。 俺に対する非礼であれば寛大な心を以って許してやろう。 だがな、あのドワーフどもめ……、目に物を見せてくれよう」

 皇帝は忌々しそうな表情でそう荒ぶるとそれに冷徹な視線を送るのだ。

――だから、検品が終わるまで待てって言ったじゃないか……。

 セバスチャンも、それに視線を向けると眉を顰めるのだ。その一報を聞き、嫌な予感がしたので皇帝をそう諫めたのに……。


 ドワーフの国より、早速『試作品』として届けられたそれはぶっちゃけた言い方をすると『南極〇号』であった。

 彼らの仕事は実に早かった。恐らくは余りに莫大な資金援助がされた為に名工たちが気を利かせたのだろう。

 しかし、問題はそのクオリティーであった。もしかすると彼らの美観が人間のそれと大分剥離していた可能性もあるが、セバスチャンは急ぎ過ぎたせいだと思うようにしていた。

「神聖にして侵すべからずのアンリちゃんを侮辱した以上は許す事はできん。 三族では足りん。 六族、いや、十族殺しだ!」

ガチギレした皇帝がそんな事を言いだすものだから、流石にセバスチャンも慌てだす。

「陛下、陛下は何か勘違いなさっております」

「何がだ!」

「それは人型としてのサンプルです。 決してアンリ嬢のサンプルではございません。 ドワーフ達に彼女を侮辱する意図などは決してないでしょうて」

「詭弁だな。 ふむ、だが爺やに免じてそういう事にしてやる」

 彼だって本当はそんな事をするつもりはないのだ。

「では、こうしよう。 『アンリちゃんのサンプルを届けよ』とドワーフ達に伝えろ」

 主の命を受けると彼は恭しく頭を下げた。

「だが、次はないぞ……」

 そう、ユリアノスは冷たく宣告をするのだ。


 こりゃマジだ。 セバスチャンはそう思いながら額の冷や汗を拭うのだった。



 『大トンネル』それはドワーフの一氏族が山をくり抜いて作った文字通りトンネルであり、また都市でもあった。

 かつて来た事のある俺は『確か、こっちの方に鍛冶工房があったはず』と、やたらと複雑なこの町を進んで行くのだ。

 俺たち人間か、或いはシルが珍しいのか、道ですれ違うドワーフ達が俺たちに注目していた。

「何でしょう? もしかして、私たちって歓迎されていない感じですかね?」

「んー、そういう感じではないみたいだけれど……」

 シルもそう思ったようだ。しかし、これといった悪意は感じないので単に興味本位なのだろう。

「そんな事より、師匠! 急ぐでござるよ」

「確か……あれだったような気が……」

 以前俺が来た時とは街並みが変わっている様な気がした。何と言うか……リニューアルされた感じ?

「えとえと、違ってもいいのであの工房で聞いてみましょうか」

 俺がそう言うとカスミが俺の手を引っ張って工房へと急かすのだ。


「もしかしてお嬢ちゃん、アンリって名前じゃないかい?」

「そうですけど……。 そんな事よりここは鍛冶工房でいいんですか?」

 またかよ! 工房に入るとカウンターにいたドワーフが俺の顔を見ると目を丸くしてそう尋ねてきた。

「鍛冶工房? ああ、そうか! 十年前にね、なんか外の人からするとここって分かりずらいらしいんだ。 そこで一括で要件を聞ける総合カウンターを設けたんだよ。 お嬢ちゃん達がどんな用で来たかは知らないが、ここで受け付けられるぜ」

「では、拙者の刀の修理をお願いしたいでござる」

「おう、じゃあ、この紙に内容を書いてくれよな」

 切符よくそう彼は答え「そうか、アンリちゃんが来たか……」こう呟いて誰かを呼んだ。

「お待たせしました。 貴方がアンリさんですね。 少しお話があるのですがよろしいでしょうか?」

 白衣を着たドワーフがやって来て俺にそう告げた。

「えっと、拙者の修理の件は?」

「一緒に見積もりもしますのでいかがでしょうか?」

 そう言われてしまうと仕方がなかった。断る理由もなかったので素直に話を受けると俺たちは応接室に通される。


「お願いします!」

 そこには同じく白衣を着たドワーフが彼を含め七人ほどいて、俺が入室すると同時に土下座をした。

「話が全く見えませんよ?」

「お願いがあります。 女性に対して不躾ですが、アンリさん、何も聞かずに貴方の体を測らせて頂けないでしょうか?」

 意味不明にも程があった。彼らは憐憫を誘うような情けない表情でそう言ってきた。

「えとえと、事情も分からずにそういう事はできないかな……」

 俺がそう実に真っ当な答えを下すと、彼らは青ざめて頭を抱えながら転がりまわる。

 ってか、どうせ計るならシルの方がいいだろうに。それがよりによって俺だ。

「事情は話す訳にはいかないのです! どうか、どうかこの哀れな我々をお救い下さい!」

 いや、だからさ……。 泣きながら袖掴まれてもさ……。

「そんな事より、拙者の刀の件はいかがにござるか?」

 カスミが焦れた表情で刀をテーブルに置くと、今まで泣いていた癖に七人はキリっとした表情となり刀の検分を始めたのだ。こいつら切り替え早えな……。

「父の作品ですな」

 柄を外し()()()に刻まれた銘を見て彼らのうちの誰かがいった。

「現在、この水準の刀を打てるのは父だけです。 よって修理を依頼するとしたら父になる訳ですが……」

 俺は見逃さなかった。そう言いながら彼が俺の方をチラ見したのを。

「しかし、父は昔ながらの職人気質。 気難しい性格でして……」

 そんな事を言いだした彼に俺は『まあしょうがないか』と諦めた。

「分かりました。 では、修理の依頼をお願いできますか? その代わりにあなたの依頼をお受けしましょう。 でも、エッチな事はダメですよ? しようとしたらぶん殴ります」

「あ、私たちはアンリちゃんの保護者ですから、同席しますよ!」

「それはご心配なく。 もちろん女性にやってもらいますから」

 そう言うと彼らは退室していった。


 それから少しして色々な機材を抱えた女性のドワーフが三名ほど入室してきて、何やらセッティングを始めた。

 俺は肌着になるように言われ。身体測定が開始されたのだ。

 まあ、これと言って妙な事はなかった。ただ、身長はもちろんの事、肩幅、腕の長さ、脚の長さなど、様々なサイズを徹底的に測られるのだ。それが終わるとレンズの付いた箱を向けられ色々な角度からそれを見る様に指示される。最後に手形と足形を取られると検査終了だった。


「有難うございました。 貴女は命の恩人だ!」

 感極まった表情の白衣の彼が俺の手を掴んで嬉しそうにブンブンと握手をした。

「所で刀の件はどうなりました?」

「ええ、父は事情を説明すると引き受けてくれましたよ。 ただ、刀身にヒビが入っている為に打ち直す必要があるそうです」

「つまり時間が掛かると?」

「ええ、ですから修理が終わるまで、こちらで宿舎を用意しました。 そこでご滞在下さい」


 そう言うと彼は心底安堵したような表情で俺に宿屋までの地図を渡すとスキップをしながら退室していった。

 





 

登場人物

アンリ……本編主人公の十一歳の幼女。一人称視点では前世の男のまんまなのだがしゃべる時は猫を被る。全盛期の時の五分の一程度の強さらしいが、それでも規格外に強い。


シル……金髪サラサラロングの巨乳のエルフ。見た目は十六歳程度。頭が少し弱い。メインの仕事は解説役。


カスミ……黒髪ポニテの美乳。刀を使い。最強を目指しているらしい。戦闘狂で『狂犬』の二つ名を持つ。

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