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“僕、過去に人を殺した事があるんだ。”

作者: 七瀬






“僕、過去に人を殺した事がるんだ。”




俺の親友の尚平がいきなり俺に告白した事。

びっくりしたけど? はじめは冗談で言ってるんだと俺は思った。

いつも俺とふざけ合っている尚平が、人を殺す訳がない。

俺は信じる事が出来なかったのだが......。

尚平は真剣な表情で俺に話してくれた。






・・・尚平が14歳の時、母親と付き合いはじめた男が同じ家で

生活をするようになったらしい。

そのうち、尚平の母親はその男からDVを受けるようになった。

母親はその男のDVに耐えられなくなり尚平を一人家に置いて出て行った。

その矛先が尚平になり、毎日のようにその男から殴られるようになる。

アザは服を着れば見えないところにできていた。

誰にも相談できずに一人苦しんでいた尚平。

その怒りは、血の繋がらにこの男に向けられた。

15歳になった尚平は、この男が眠っている時に首を絞め殺した。

殺した死体は、尚平を置いて出て行った母親と協力して山奥に埋めたとのこと。

母親は、尚平の罪をかぶり今でも刑務所の中に居る。

本当は、“僕が殺したんだ”と涙をポロポロ流しながら俺に話してくれた尚平。

彼はずっとこの話は誰にも話さず黙っているつもりだったはずだ。

でも? 俺と仲良くなって気持ちが変わった。

勿論、俺はこの事を誰にも話す事はない!

俺の親友を悪く言う奴は俺が許さない!

それにこれは! “正当防衛だ!”

自分を守る為に、その男を殺した。

罪は母親が受けているなら、その罪を尚平が被る必要はないはず!

仕方なく、そうするしか方法がなかったんだ。

俺が当時の尚平の立場なら、俺もそうしたはずだ。

俺もその男を殺していたに違いない!





『・・・ごめんな、変な話聞かせて、』

『別にいよ、気にするな!』

『和一なら僕の話を理解してくれると思ったんだ。』

『あぁ!』

『今まで僕が心を許したのは、和一だけだよ。』

『俺もだ!』

『・・・僕が怖くないのか?』

『いや、』

『これからも今まで通りの関係でいてくれる?』

『勿論だよ。』

『ありがとう、和一に話して良かった。』

『俺も聞けてよかったよ。』









 *






あれから数年が経ったが、今でも尚平とは仲がいい。

関係は良好だ!

俺はこう思う。

人にはどうしようもない時がある事。

まだ子供だった尚平が選択した事は正しかったと。

大人になった今の俺でも、やっぱりその男を殺していたと思う!

そうじゃないと、自分が死んでいたと思う。

生きる事は難しい!

それが誰であっても、“現実が牙をむく”

逃げられない現実を突きつけられてどうしろというのだ。

逃げれないなら? 戦うしかない!

やるか? やられるか?

尚平のお母さんは、尚平を一人家に置いて行った事が心残りだった。

せめて、“私が息子の罪を償おうと考えたに違いない。”

だから刑務所に母親である自分が入ったのだろう。

それに、尚平には夢があるらしい。

母親が刑務所から出てきたら、今度こそ一緒に暮らしたいと...。

それまで頑張ってお金を貯めるために懸命に働いている。

俺も尚平の力になれるようにいつも尚平の傍に居ようと思う。

いつか? 尚平の夢が叶うためにも......。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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