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下級巫女です!!  作者: 池中織奈


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食べ歩きに勤しみます ⑦



 さて、お祭りを楽しんだ後、トリツィアとレッティはそれぞれの部屋へと戻った。

 トリツィアはこれからレッティが部屋を訪れるからと一生懸命準備中である。その机の上には沢山の祭りで購入した料理だったり、精霊たちからもらった特別な果物だったりが並んでいる。




 トリツィアは嬉しそうに鼻歌を歌いながら、この場にレッティを迎え入れるための準備を進めている。




『レッティとお話が出来るなんて楽しみだわ』

(ふふ、良かったですね。女神様。レッティ様へのお別れパーティーみたいなものですからね。楽しまないと!)

『本当にトリツィアはレッティのことが好きねぇ』

(もちろんですよ)



 そんなこんな、トリツィアは女神様と楽しそうに会話をしながら準備を進めていた。

 ついでに女神様の神力に周りがやられないように、美しい聖なる力で結界を編んでいく。外に漏れることがないようにしなければ大変なことになってしまうのである。




(女神様もレッティ様と一緒にお話しできるの楽しみでしょう?)

『ええ。もちろん。とっても楽しみにしているわ。レッティと話すのもトリツィアの身体を借りないと出来ないから、本当にありがとう。トリツィア、お礼に何かいるかしら?』

(いいえ、いりません。私は女神様とレッティ様と一緒に楽しくしたいなーって思っているだけですもの。女神様、レッティ様とのプチ祭りが終わったらこっちにきてくださいねー。一緒に遊びましょう)

『ええ。沢山お酒も持っていくわよ』

(ふふ、女神様と一緒に過ごすの楽しいから大好きです)

『トリツィアと宅飲みは楽しいから好きだわ』


 女神様とそうやって楽しく会話を交わしながらトリツィアは準備を終える。



 そのころ、コンコンッと扉がノックされる。



「トリツィアさん、レッティですわ」



 どうやらレッティが訪れたらしい。トリツィアは楽しそうに鼻歌を歌いながら扉を開ける。

 そうすれば少し着飾ったレッティがいる。

 その姿を見てトリツィアは目を輝かせる。



「ようこそ、レッティ様。それにしてもわざわざお着換えしてくれたんですねー。私なんて普通の恰好ですよ」

「だって、トリツィアさんにご招待されたのだもの。……どうしてトリツィアさんは結界を張っているの?」

「ふふ、特別仕様ですからね、あ、ちょっと待ってくださいね。はい、どうぞ」



 トリツィアはレッティの言葉に笑いながら、結界の一部に穴をあけ、レッティを中にいれる。その後外に漏れないようにしっかり結界は閉じられる。



(……本当にトリツィアさんは、巫女としての力が強すぎるわ。これだけの力を持ちながら下級巫女のままでいようとするなんて……本当にトリツィアさんは驚くべき人だわ。わざわざこの美しい力を私に見せびらかすとかはトリツィアさんはしないでしょうし……となるとどうしてトリツィアさんはこうして結界を張っているのだろう?)



 レッティはそんなことを思いながらもトリツィアの力が編んだ美しい結界にほぉと息を吐く。




「本当に祭りの料理を並べているのね。それに……高級な果物も。わざわざ買ったのかしら?」

「いえ、果物はもらいました」

「もらった? 誰に?」

「精霊です!」

「せ、精霊?」

「はい。精霊たちは色々くれるのですよー」


 そんなことをさらりと言われて、レッティは益々頭を抱えたくなる。



(精霊との交流も出来ているのね。この調子だと当たり前のようだわ。……でもよく考えれば女神の声も聞こえるなら精霊との交流ぐらい当たり前に出来るのも当然と言えるのかしら。多分トリツィアさんにとってはそのことが何処までも当たり前で……だからこそこれだけ平然とした様子なのでしょうけど)


 レッティはそんなことを思いながら真っ直ぐにトリツィアを見る。

 もうこれ以上トリツィアに驚かされないぞという強い意志を込めての視線である。




「……トリツィアさん、貴方はまだお酒を飲んではいけないのでは?」



 ふと、お酒に目を止めてレッティは言う。



「私は飲みません」

「私も飲まないわよ?」

「女神様が飲むので献上品なのですよー」

「はい?」

「今日ですね、レッティ様をよんだのは女神様と一緒に団欒するから、一緒に参加しないかなーって」


 トリツィアから理解の追い付かないことを言われたレッティは固まっている。





「あ、でも生の女神様見たら流石にレッティ様も耐えられないので、レッティ様が居る間は私の身に女神様を降ろします!」

「……トリツィアさん、貴方、何言っているの?」

「え、女神様とレッティ様と一緒に過ごせたらなーって。それにレッティ様へのお別れパーティーですよ。女神様を私の身体に降ろすので、一緒に楽しみましょー」

「……トリツィアさん、貴方、神を降臨させられるの?」

「できますよー。女神様が私はそういう適性高いって言ってた」

「……それが出来ても言いふらさないのがトリツィアさんよね。えっと、さっきの言い草だと、トリツィアさんはその、トリツィアさんに降ろさない状態での女神様も大丈夫なのかしら」

「そうですよー。たまに、一緒にご飯食べたり、雑談してます。女子会です」

「……えっと、あの結界はそのため?」

「はい。女神様が降臨すると、神力が漏れますからねー。女神様はちょっと遊びに来ただけなのに色々言われるの嫌なので」



 次々に言われる事実に頭が追い付かないレッティであった。



「じゃあ女神様呼びまーす」


 そしてレッティが混乱している間にトリツィアはそんなことを言って、次の瞬間”トリツィア”の雰囲気が変わった。



「はじめまして、レッティ」



 トリツィアの顔で、挨拶をしてくるのは確かに女神様だった。




 

 

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