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下級巫女です!!  作者: 池中織奈


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食べ歩きに勤しみます ⑤



 すっかり祭りの間に、トリツィアとオノファノがいつも通り大暴れしている様子に少しずつ治安もよくなっていった。


 トリツィアはレッティとお出かけをするためにも……と全力で気合を入れているのである。

 ちなみにトリツィアが張り切っている原因のレッティは当然のことだが、そのことを把握はしていない。本人としてみればトリツィアが自分の為に張り切っていると知れば驚くことだろう。




 さてトリツィアはレッティと祭りに出かけることをそれはもう楽しみにしている。そしてそれはレッティも同じであった。



 レッティはこの大神殿の中でも特別な存在であるトリツィアと祭りに出かけ、なおかつ部屋にまで誘われているのだ。トリツィアが秘密にするようになどと言っている秘密を教えてもらえるのだと思うと、心臓がバクバクしていた。




(トリツィアさんの秘密はどんなものなのかしら。それにその前のトリツィアさんとお祭りに出かけるのも……きっと私が見た事のないような景色が待っているのよね)




 ――レッティはそんな予感を感じて、小さく笑ってしまう。



 そして楽しみで仕方がないといった様子のレッティは、その少しだけ心躍る気持ちを隠しながら上級巫女としての務めをこなしていくのだった。




 そして、トリツィアとレッティがお出かけをする日がやってくる。







「レッティ様ー、行きましょう! レッティ様のことは私とオノファノでちゃんと守りますからね」

「ふふ、トリツィアさんが守ってくれるの? 護衛騎士もいるのだけど」

「当然ですよ。今日の私はレッティ様の騎士なのです。レッティ様に何かする人は絶対に許しません。レッティ様とのお出かけのために、治安もよくしたので安心してくださいね」

「トリツィアさんは巫女なのに、色んなことを本当にやっているわよね。凄いわ」

「私はやりたいようにやっているだけですよー」



 トリツィアはレッティと楽しそうに会話を交わしている。



 ちなみにオノファノと、レッティの護衛として此処に居る神殿騎士は黙って傍に控えている。

 ……レッティの護衛のための騎士たちは、トリツィアを見て少しだけ緊張した面立ちだ。トリツィアがレッティに何かすることはないと分かっているが、それでもトリツィアという存在は何処までも異常な巫女である。

 このドーマ大神殿の中でも一番といっていい程に力があり、不思議な雰囲気の少女。神殿騎士とはいえ、トリツィアににらまれるのはやめたいと思っているようである。





「レッティ様、美味しいもの沢山あるので色々食べましょうね!」

「ええ」

「毒見は私がするから、大丈夫ですからねー」

「え。巫女であるトリツィアさんにそういう毒見をしてもらうのは……」

「大丈夫です。私を殺せる毒なんてありませんしー」



 トリツィアに毒物は効かない。

 多分、一滴で巨大な魔物さえも絶命させるような毒でも一切効かない。これは女神様も断言していることである。


 トリツィア自身も自分を殺すことが出来るような強大な毒がこの世界にはないことが分かっている。寧ろもしトリツィア自身を少しでも苦しませるような毒があればそれはそれで面白いなどとトリツィアは呑気に思っているほどである。





 トリツィアのその本気なのか、冗談なのかもわからない言葉をレッティは本当のことだと受け取る。



(トリツィアさんはこういうことで冗談を言わないものね。それにしても……トリツィアさんって本当に最強の護衛だって感じだわ)



 こんなにもかわいらしい見た目をしていて、決して強そうには見えない。それでいて巫女という立場なのに、トリツィアという少女は誰にも倒せないような強さを持ち合わせている。




「ふふ、では期待していますわ。トリツィアさん」

「はい! まぁ、流石にピンポイントにレッティ様を狙って毒物を入れるはあんまりないと思いますけれど、こういう祭りだと無差別に何かやらかす人もいるかもしれないですからね!」



 確かにこういう行事が行われる場合は、そういった何かをやらかす存在もそれなりにいるものである。そういうことを警戒しているトリツィアなのであった。

 巫女を守るのは神殿騎士の仕事であるが、トリツィアが楽しそうにレッティのことを守ろうとしているのでオノファノ含む神殿騎士たちはそれ以上何も言わなかった。



 さて、トリツィアもオノファノもこの街ではとても目立つ存在だ。それに加えてドーマ神殿の中でも高い位にいるレッティの姿まであるということで当然祭りで彼女たちは目立っていた。




「トリツィアさんが一緒だと、とても目立つわね」

「レッティ様が一緒だからですよ。レッティ様綺麗ですしー」



 トリツィアはそんなことを言いながら、レッティと一緒に祭りに出かけられるのが楽しいのか満面の笑みを浮かべていた。





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