食べ歩きに勤しみます ③
さて、トリツィアがレッティを連れて祭りを楽しむのは祭りの中日である。というわけで、最初の方の日はオノファノの共にのんびりと見て回ることになっていた。
「今年はどんな美味しいものがあるか楽しみ!!」
「そうだな。俺も楽しみだ」
トリツィアの言葉に、オノファノはそう答える。
ちなみにオノファノがこれだけ楽しそうなのはトリツィアと共に出かけられるからである。トリツィア自身は全く他意はないだろうが、男女二人でのお出かけなのではたから見ればデートである。
オノファノはトリツィアと共に出かけられるのを毎回楽しみにしている。
「オノファノ、何食べようか? オノファノは何を食べたいの?」
「祭りだと色んなものがあるからな。前に食べた果物にチョコぬったやつとか美味しかったけど」
「あー、あれもいいよね。美味しいものいっぱい食べたいなー。結構毎年色んな屋台の食べ物出てるよね」
「トリツィアは巫女なのに食い意地を張りすぎだからな。結構食べ過ぎているから爆食巫女とか、食べ歩き巫女とか、よくわからないこと言われているよな」
「ふふ、だって美味しいものならば幾らでも食べられる気がするわ」
「トリツィアは全然見た目も変わらないよな。あんだけ食べているのにな」
「私はその分、運動しているからねー。オノファノともいつも戦いあっているでしょ」
トリツィアはどや顔でそんなことを言い切る。
トリツィアがオノファノと仲良く並んで歩いていれば二人のことを知るその街の人々はすぐに声をかける。
トリツィアがお金を落とす良い客であると街の人々はよく理解しているのである。トリツィアが大神殿にやってきたばかりの幼い頃は、トリツィアがお金を使うことに何か言う人もいた。巫女であるのならば自由にあるお金があるべきではない――などとのたまった連中にはトリツィアが対応した。
トリツィアの力で語られて、そしてその街の人々はトリツィアの人となりを理解した。
そのトリツィアの性格を知って、トリツィアに何かを言う存在は居なくなってきている。というか言ったところで、トリツィアとオノファノに黙らされるだけである。
「美味しい!!」
トリツィアが嬉しそうに笑えば、その様子をオノファノが嬉しそうに見ている。
「オノファノも食べてみようよ」
「ああ」
オノファノはトリツィアからお肉の揚げ物を受け取ると口に含む。オノファノも食べることが結構好きだ。元々平民なのもあり、食べることは好きである。というよりトリツィアもそうだが、二人とも好き嫌いというものがあまりない。
トリツィアとオノファノが食べ歩きを楽しんでいる様子は大変目立つ。それはトリツィアが巫女服を着ており、それでいて見目が美しいからである。
この祭りの際には、他の国や街からも人々が訪れる。『ウテナ』の人々もその場に訪れていたりもする。それはトリツィアを崇拝している彼らは、トリツィアの普段の様子を見たくて仕方がない様子である。
トリツィアとオノファノは当然、その存在に気づいている。
ついでに『ウテナ』の面々は、劇をこの祭りで披露していたりもする。その劇を見てトリツィアは楽しそうだ。
さて、その祭りには不届きものたちがいるわけである。要するに甘い蜜を吸おうとするものは少なからずいるのである。
見目の良いトリツィアを狙おうとするものは少なからずいる。
バシッと、トリツィアの懐から財布を抜き取ろうとしたものは、思いっきりはたかれた。
「なっ、てめぇ、何を――」
そしていいがかりをつけようとした男の腕をがしっと掴み、巡回していた騎士に突き出す。トリツィアのことを良く知るものはすぐにそのまま男を受け取る。
「トリツィアからお金を盗もうとするなんて、命知らずな奴だな」
「なんかオノファノより私の方が狙われやすいよね」
「そりゃあ、女の方が狙われやすいんだろう。弱いと思われているだろうから。トリツィアはそんな普通じゃないからアレだけど」
トリツィアはその言葉を聞きながら、確かに女子供はそういう風に弱い存在が多い。
だからこそ狙う存在にトリツィアは怒りを覚えていた。
「見て、オノファノ。あっちも狙われている。ちょっとつぶす」
「ああ」
トリツィアとオノファノは食べ歩きを進めながら、盗人を捕まえたりしていた。毎年、トリツィアとオノファノは犯罪者を捕まえたりしているので、結構名物になっていたりもする。
二人が好きに動いていても、街の人々からしてみればまたかと思うだけである。ちなみに一部の犯罪組織の中には、トリツィアとオノファノに手を出さないように通達がされていたりもする。手を出して痛い目を見たものも多いのだ。
「んー? 結構泥棒が多い? レッティ様と出かける予定なのにこれは問題」
「まぁ、そうだな。普通の巫女ならされるがままになりそうだし」
「それは駄目。レッティ様の平和のためにどうにかしないと」
トリツィアは一日、祭りに出てそんな結論に至った。




