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力があるというのは、それを使う義務があると言うことではない ②



「神殿騎士にも原因が分からないって……その神殿騎士が弱いだけでは?」

「トリツィアさん……。貴方が巫女になる前は、実力を伴わない神殿騎士もいましたが、貴方がいるからこそ実力不足の神殿騎士は居なくなったでしょう……。この二人についていた神殿騎士はとても優秀な方ですよ。だけど、そんな方でも原因を知ることが出来なかったのです」

「ふぅん……。私が鍛えなおす?」

「いえ、それは後にしてください……。ひとまず、早急に解消をしたいと思っていて、トリツィアさんの力を借りたいと思っていて……、あ、もちろん、ただではないですよ」



 ラウダは昔からトリツィアのことを知っているので、先にただではないことを告げる。

 ちゃんと報酬をもらえると聞いて、トリツィアはにっこりと笑った。トリツィアは現金な少女である。



 ラウダはその様子を見て、ほっとしたように笑った。

 トリツィアが話を聞いてくれなかったらどうしようかとそんな風に思ったのかもしれない。




「巫女が神殿の外に出る時にそんなことが起こるっていうなら、私がオノファノ連れて外行けば分かるってことだよね? ちなみに何くれるの?」

「えっと、これ。足りないならもっとあげる」

「ふーん。美味しそうなお菓子や果物だね。いいですよ。連れて行ってきます!」



 何だかんだトリツィアは、このドーマ大神殿で暮らす巫女たちのことを大切に思っているのでお菓子や果物程度で助けようと思ったらしい。

 トリツィアは不思議な少女で、独特の価値観を持っている。それでも何だかんだ大切にしようと思っている人のことは大切にする。

 そういう少女である。




 ラウダたちが部屋からいなくなった後、トリツィアはオノファノの元へと突撃していた。




「ってわけで、オノファノ! 行こう!」

「待て。巡礼に行くにしても、癒しに行くにしても、手続きを踏んでからだ。いきなり飛び出したら駄目だからな?」

「えー? こういう面倒なのはさっさとどうにかするべきじゃない? その方が絶対によくない? もし本当にこのドーマ大神殿を狙っている連中がすぐにいなくなったら困るじゃない」

「それはそうだが……それでも手続きは大事だ」



 オノファノはトリツィアに影響を受けているが、それでも常識はちゃんと守ろうとしている。



 トリツィアが暴走しかしないからこそのストッパーというべきなのだろう。……ただストッパーにならないことも当然あるが。



「じゃあ、許可取ってきて。私が外に出て巡礼とか、癒しとか出来る許可!」

「はいはい。許可取りに行ってやるから、それが終わったら行くでいいな?」

「うん!!」





 トリツィアが元気よく答えるのを見て、オノファノはやれやれと言った様子である。





「トリツィア、その巫女へ起きている不可解な事件っていうのは、どういったものだ?」

「なんか、巫女の元へ知らないうちに何かが届けられていたり、メッセージがあったり、あとは襲われかかったり……みたいなのはあるみたい。そこまで危険性のあるものはなさそうだけど」

「……ただのファンか?」

「うーん、違うと思う。というか、そもそも何か、このドーマ大神殿にしたいからそういうことをしているんだと思うんだよね。何のためにしているかはさっぱり分からないけれど、このまま放っておいてもっと面倒なことになったら嫌だしさ。私はこのドーマ大神殿に何かあるのは嫌だから」




 巫女としてこの大神殿にやってきてから、ずっとここで過ごしているのでトリツィアはこのドーマ大神殿への愛着は強い。



 ――だからこそ、即急に解決しようとしている。

 とはいえ、それだけではなく面白そうだからというのもあるみたいだが。






「ねぇねぇ、オノファノからしてみたらどんな理由だと思う?」

「いや、わかんないけど。最悪のパターンだとドーマ大神殿に何かしかけてこようとして、死人が出るレベルで何かあることで、そうじゃない場合だと恋慕か?」

「……オノファノって、恋愛の話結構好きだよね? 何なの? なにか好きな人でもいるの?」

「……それは別にいいだろう。トリツィアは全然恋愛とかしねぇよな」

「しない気はないけど、今はねー」




 オノファノは「好きな相手はお前だよ!」と言いかけて、話をそらした。

 トリツィアは自分がオノファノに好かれているということを全く考えていない様子である。本人以外は理解しているのにその調子なので、オノファノは大変である。




 ――まぁ、恋愛に関しては鈍かったとしてもトリツィアの巫女としての力は最上級である。

 その最上級の力を存分に使って、巫女たちを困らせる存在をどうにかしようと思っている。相談をしたラウダもトリツィアならば何でも解決すると信じ切っているのだ。





 その力をトリツィアとオノファノは存分に使うことになるのだ。




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