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下級巫女です!!  作者: 池中織奈


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上級巫女は婚活に勤しみ、下級巫女は祈りに勤しむ ①

 上級巫女は基本的に王侯貴族などの身分の高い者たちである。

 そして上級巫女に関しては、優良な結婚相手と結婚をし、巫女を引退することが多い。

 巫女は男を知ると巫女の力を基本的に失うと言われているので、適性年齢になり、巫女の力を少しずつ失ってきている巫女は婚活に一生懸命である。



 そもそもより良い婚姻を結ぶためだけに巫女になる者もいるので、上級巫女にとって婚活は重要なのである。



 ドーマ大神殿は、この国の神殿の中でも格式の高い神殿というのもあり、ドーマ大神殿の上級巫女は婚活にも有利だったりする。



 とはいえ、簡単に結婚相手を決めるよりも、より良い相手をと選んでいるのもあり、婚活に時間をかける者も多い。




 レッティに関しても同様である。ただ元々レッティは身分が高く、このドーマ大神殿でも有名な巫女である。だからこそ、レッティは正直引く手あまたな状態である。

 レッティは自分の将来のためにもどういう相手を選ぶべきかというのを現状悩んでいる状態である。もちろん、候補は幾つか絞っているが、これといった決め手がなかった。



(私は上級巫女という立場であるから、相手を選び放題といえば選び放題だけれども……でもあんまり悩んでいると、有望な相手がいなくなっていくかもしれない。そろそろ本腰を入れて探さないと。でも私も貴族の娘だから、いずれ結婚はしなければならないにしても……出来うる限り、巫女としての責務は果たしたい。だからこそ、私が巫女として過ごすことを受け入れてくれる人じゃないと。それで待ってくれる人が出来ればいい)



 レッティはそんなことを考えながら、紅茶を飲んでいる。




(……私の巫女としての力はまだなくなる気配はない。だからこそ、巫女として過ごしていきたいって気持ちもあるから難しいわね。とはいえ、あまりにも年を重ねると子供を産むのが大変になるかもしれないわ。そのあたりをどうしたらいいか考えないと)



 レッティは、巫女として責務をこなすことも、結婚をすることも両方叶えたいと思っている。だからこそ、その両方を叶えるためにはどんな風にしたらいいかと悩んでいるのだ。


 ――レッティの、巫女をやめる時まで待ってくれる方という願望を見つけていくのは難しいというのは分かっている。だけれども、その望みを手に入れるためにレッティは行動している。




(――明日はパーティーに参加して、あとは王族たちへの祈祷とかもよねぇ。それなりの貴族で、私のことを受け入れてくれる人が見つかればいいのですけれど。それにしてもこの神殿の中でも一番の力を持っているトリツィアさんがそう言うのに全く参加しないのも面白いわよね)



 レッティはこのドーマ大神殿の顔として、パーティーに出席したり、王城に赴いたりということをよくやっている。


 パーティーに参加する際は、ドーマ大神殿にいる時の質素な巫女服とは違って、美麗なドレスを身に纏ったりもする。巫女服での参加も許可されているが、貴族の出であるレッティはドレスを身に纏うことも好きなので、パーティーではドレスである。

 巫女は基本的に神殿で暮らしているが、許可が出ている時は実家に帰る事も可能である。もちろん、神官騎士も共に向かい、きちんと護衛を付けた上である。また制限ももちろんある。



 ちなみにトリツィアに関しては、家族は平民であり、時々家族の方からトリツィアに会いに来ることがある。その時ももちろん、制限付きであるが、会うことが可能である。

 ただ巫女は神殿で暮らしているので、家族との関係が希薄なものも多い。神殿によっては神殿内での教育により、家族を忌避するような巫女もいるらしいが、このドーマ大神殿に関してはその辺は自由である。






「レッティ様、明日のパーティーでは良い殿方と会えたらいいですわね」

「そうですわね」


 レッティは女性神官の言葉にそう言いながら頷く。



 レッティ自身も良い出会いが出来ることを望んでいる。――レッティもうら若き乙女なので、いつか運命の出会いが出来たらという期待もある。もちろん、自分が貴族令嬢なので政略結婚もちゃんと視野には入れている。

 それでもレッティは上級巫女であるからこそ、選ばれる側ではなく、選ぶ側でいられるのである。



 そのことをレッティは幸いなことだと思っている。





(――いつか、トリツィアさんもパーティーに参加してくれたらいいのだけど。私はトリツィアさんのパーティーでの姿も見たいわ)



 トリツィアは下級巫女であるので、そういう婚活パーティーには参加しない。

 ただレッティはトリツィアを気に入っているので、いつかパーティーで着飾ったトリツィアの姿を見れたらいいのになぁと思っていたりするのである。


 とはいえ、トリツィアはよっぽどの理由がないとパーティーなど参加しないだろう。



 トリツィアの事を考えたレッティは、トリツィアのことよりも自分のことを考えなければならないと、頭を振るのだった。




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