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下級巫女です!!  作者: 池中織奈


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158/230

下級巫女は、周りの人々の度肝を抜く ③





「な、なんなんだあの少女は!」

「あの魔物をこれだけ簡単に倒してしまうなんて……」



 トリツィアが魔物を倒している様子を、見ていた者達が居た。彼らは近隣の街から意を決して魔物を倒すためにこうしてやってきたのである。

 自分の命が失われる可能性だってあるが、それでも家族や仲間のためにも何としても倒さなければならない……と意気込んでいたのだ。


 しかしこうしていざ現場に来てみれば、可愛らしい顔立ちの少女が件の魔物を蹂躙していたわけである。

 その様子を見て、目を見開いている彼らを見てオノファノは声をかける。




「驚かせてすみません。俺とあの子はドーマ大神殿から来た神殿騎士と巫女です。神官長から魔物討伐が大変そうだからと聞いてきた次第です。あの巫女――トリツィアに関してはあれが通常運転なので騒がないでいただけると助かります。俺達は特に目立ちたいわけじゃないので」




 オノファノがそう声をかけると、彼らは何とも言えない表情へとその表情を変える。






「……目立ちたいわけじゃないとは。あれだけの魔物を倒しておいて? 俺達からしてみれば驚異的な力を持つ魔物を倒してくれたお礼はしたいが」

「トリツィアはただ頼まれたからやっただけですしね。あとはあの魔物の素材をアクセサリーにするって張り切っているだけです。お礼はもらえるならもらいますけれど、それだけで十分です」




 トリツィアはこういう魔物を倒したことで何かしら騒ぎになるのは嫌がっている。

 特にこの場所はトリツィア達が普段過ごしている大神殿からほど近い。面倒なことになるのは避けたいと思っているだろう。


 まぁ、トリツィアもオノファノもいつもそれなりに派手に事を起こしているのでその実力を知っている者は周辺の街にはとても多いが全員が彼女達のことを知っているわけではない。知っている者はそういう存在として受け入れるが、知らない者はこうして混乱してしまうものである。






「オノファノ、見て、これ。凄いキラキラしてる! これは良いプレゼントになるね! というかその人たちは?」

「そうだな。綺麗だな。この人たちは周辺の街の住民だ」

「へぇー。倒したの私だし、この素材もらってもいいです? あれだったら半分で山分けとかはどうです?」


 トリツィアの頭の中は素材をどうするかということだけでいっぱいのようだ。



(この素材を使ったら女神様への良いプレゼントになるよね!! 解体は大体済ませたけど、どういうアクセサリーにしようかな。身に着けていて問題がないものにしないと。女神様にどういうプレゼントだと嬉しいか聞いてからの方がいいかなー? こういうアクセサリーは身に着けないとかそういうのもあるかもしれないし)


 女神様のことを思考しながらにこにこしているトリツィア。



 彼女の言葉に男たちは驚いた表情になる。彼らからしてみれば倒したのはトリツィアであり、その素材を彼女が全て受け取るのは当然であった。





「もちろんだ。そもそも俺達は何もやっていないからな」

「えー? でも貴方たちが頑張って戦ってきたから何もやってないはないと思いますけどー。いるなら、半分素材渡しますよ」

「……なら、有難くもらえたらと思う」



 トリツィアに全てを渡すのが当然と思いつつ、魔物による被害から街を復興させるためにも貴重な魔物の素材を受け取りたい気持ちもあったのだろう。



 男たちの言葉にトリツィアはにっこりと笑って、半分の素材をそのまま受け渡す。

 かなりの量ではあるが、きちんと貴重そうな部位も含めて均等に半分にしている。




 その後、街の人々からお礼をすると言われトリツィアは「アクセサリー作る職人さんで有名な人います?」とただ問いかけるのであった。


 彼女自身はアクセサリーを自分から身に付けたりなどしないので、有名なアクセサリー作る職人なども知らない。

 良いアクセサリーを作る職人でも知らないかなと、軽い調子問いかける。





「知り合いが宝石職人をしているが、それを紹介しようか?」

「腕はいいですかー? 今倒した魔物の素材で頼もうかなって思うんですけど」

「腕は十分に良いはずだ。貴族にも商品を卸しているはずだ」

「そうなんですねー。なら、頼みたいです! まだ、どういうアクセサリーにするか決まってないから少ししてからになりますけど、依頼しますねー」

「加工費用などは街でもとう。それを魔物を倒してもらったお礼としたいと思うが、どうだ?」



 男がそう言い切れば、トリツィアは笑みをこぼす。




「それは助かります。こういう素材の加工費用って結構するってききますしねー。後でどういうアクセサリーにするか相談してから連絡させてもらうので、どこに連絡すればいいかとか教えてください」



 トリツィアの言葉に、男たちは頷きそれを承諾するのであった。



 ……まさか、そのアクセサリーを女神様に渡すつもりであるなどと彼らは思ってもいない。きっとそれは知らない方が幸せなことであると言える。

 もし女神様に渡されるということを知れば、職人として加工作業をするなど出来なくなるはずなのだから。




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