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下級巫女です!!  作者: 池中織奈


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ペットが増えたよ ③




「トリツィア、何を歌いたい?」

「んーと、女神様から教わった歌を歌いたい気もしますけど……、まだまだ歌詞覚えてないのですよね。メロディも難しくて」

「あら、カラオケはちゃんと歌詞が出るから問題ないわよ。それにちょっとぐらい音がずれても楽しいからなんでもありなのよ」



 ――さて、魔神であるジンがペット生活に不満を感じ行動している最中、トリツィアと女神様は以前話していたカラオケ女子会を決行していた。場所はいつものようにトリツィアの部屋である。今日もその部屋には最上の結界が張られていた。

 女神様と精霊たちの力を存分に使った後、完成されたカラオケという空間。

 神や精霊の偉大なる力を何に使っているんだと言われそうなものだが、ちゃんと女神様は主神に話を通した後にこのカラオケを実現させている。


 神界でもカラオケ大会が後々行われそうだとかそういう話もトリツィアは聞いている。



 トリツィアと女神様の前には、大きなスクリーンのようなものがある。

 それは神力で生み出された特別なものである。



「ええっと、これで曲を選ぶ感じですか?」

「そうよ! 私がトリツィアに教えてあげるわ」


 曲を選ぶためのシステムなども、神の力で構築しているらしい女神様。

 その手にはビールがある。今日も元気にお酒を飲む女神様であった。




「じゃあとりあえずこれにします!」

「トリツィアが巫女としてよく歌っているものね! トリツィアの歌声はとても綺麗だから、こうやって直接ささげられるのも楽しみだわ」

「私も女神様とカラオケで遊びながら歌をささげられるの嬉しいです!」


 トリツィアは女神様が作成したマイクを片手に、神へ捧げる神殿に伝わる歌を紡ぐ。

 こういう音を反響させるような道具を使って歌うのなど初めてなので、トリツィアは不思議な気持ちになった。




「きゃー、トリツィア、素敵だわ!! ね、皆もそう思うでしょ」

『トリツィアの歌、私好きー』

『僕らはトリツィアを照らしてキラキラさせるー』



 女神様は酔っぱらっている様子で顔を赤らめて楽しそうだ。その右手にはビール、左手にはタンバリンを持っている。

 その周りに漂う精霊たちも同じようにはしゃいだ様子である。精霊たちからしてみれば女神様と最も力の強い巫女であるトリツィアの女子会に招かれたことは喜ばしいことなのだろう。

 

 トリツィアは女神様が楽しそうにしているのが嬉しくて仕方がないのか、にこにことほほ笑みながら歌を一曲歌いきった。





「トリツィア、素敵だったわ」

「ありがとうございます! 女神様は何を歌いますか?」

「そうね。アニソンでも歌おうかしら! フルで歌うの久しぶりだから、ところどころあってないかもしれないけれど」

「女神様の歌が聞けるなんてとても嬉しいです」



 トリツィアは女神様の言うアニソンが何なのかさっぱり分かっていないが、女神様が楽しそうなのとその歌を聞けることが嬉しくて仕方がなかった。


 友人としてもそうだが、トリツィアはそもそもとても信仰心の強い巫女である。



 敬愛する女神様の歌を聞けるのは喜ばしいことだ。




(女神様がやっていたみたいにタンバリンならしてみようと)


 トリツィアは女神様の歌を聞きながらシャンシャンッとタンバリンを鳴らす。歌声に合わせてタンバリンを鳴らすのもなんとも楽しいことである。




 精霊たちも女神様をキラキラさせたり、音を鳴らしたりしてその場を盛り上げていた。




「歌詞幾つか間違えたわ!!」

「全然問題ないですよ。とっても素敵でした!」

「ふふっ、ありがとう! トリツィアは次は何を歌う?」

「そうですねぇ。女神様が教えてくれた歌うたいます!」



 折角なのでとトリツィアは次に女神様が教えてくれた異世界の歌を歌い始める。

 元々彼女は物覚えがよく、巫女として歌い続けているのでその歌もとても素晴らしい出来であった。




「とても歌が上手いわね。私が好きな曲を歌ってくれて嬉しいわ。どんどん歌いましょう!!」

「でも女神様、続けて歌うと喉がやられてしまいますよ」

「疲れたらお喋りすればいいわ! カラオケというのはね、結構長時間いったりするものなの」

「そうなんですか?」

「ええ。私は六時間とかやってたわ」

「その間歌い続けるんですか? 女神様の居た世界の人たちは凄いですね」


 トリツィアは女神様の言葉に素直に驚いた様子を見せる。

 女神様の世界は、何度聞いても摩訶不思議でトリツィアにとっては興味深く面白いものである。



 それからトリツィアは女神様に促されるままに何曲か歌った。




「女神様、ちょっと疲れたので一息つきます!」

「じゃあそうしましょう。お喋りしましょう、トリツィア。魔神はどう?」

「ちょっと反発してますけれど、まぁ、今の所問題ないですね」

「本当に何か問題がありそうなら私に言うのよ?」

「大丈夫ですよー。ジンに関しては私とオノファノでしっかり躾けますから」




 女神様が世間話をふるかのように話題に出した魔神のことを、トリツィアも軽い調子で答えるのだった。



 トリツィアにとっては魔神であるジンもただの困ったペットでしかないのだろう。




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