声劇台本①【空白】
ー何者かになりたくて広げたノート。僕はまだ、それを何も埋められずにいる。
僕は普通の大学生。それなりに勉強して、それなりに遊んで。"普通"と言われる道を歩いてきたと自分でも思う。
少し器用で、ある程度の事なら自分でこなせる。でも、秀でた特技は、ない。
本当はずっと、ずっと、誇れる"何か"が欲しかった。
上には上がいる。そんな事僕が一番、わかっている。何かを始める度、現実を突きつけられるのだ。僕は何にもなれない、そう実感してまた、塞ぎ込んで、向き合って。
空っぽの僕がノートを埋められる日は、来るのだろうか。
ーノートは未だ真っ白なまま。