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おむすびころりん(改)  作者: 大木 翔
2/3

 おじいさんがおむすびを食べようとすると、手が滑って、おむすびを落としてしまいました。

 おむすびがころころころころと転がっていきます。

 おじいさんは、ころころと転がっていくおむすびを必死になって追いかけました。

 しかし、おむすびはころころころころと転がり、穴に落ちてしまいました。

 おじいさんは穴の中を覗き込みます。すると、穴の中から

 「おむすびころりんすっとんとん。ころりんころりんすっとんとん」

 と楽し気な声が聞こえました。

 おじいさんは、聞き間違いかと思い、穴の中に、もうひとつおむすびを投げ込みました。すると穴の中から、

 「おむすびころりんすっとんとん。もひとつころりんすっとんとん」

 とまた声が聞こえました。

 おじいさんは、目を丸くしました。

 「はて、この中に誰かいるのかな」

 穴のなかは暗かったので、よく見ようと、おじいさんは穴の中に頭を突っ込みました。

 そのとき、最後のおむすびが穴の中に、ころころと落ちていきました。

 「あっ」

 おじいさんは、慌ててそのおむすびを止めようと手を伸ばしました。その拍子におじいさんは、穴の中へゴロゴロと落ちていきました。

 「おむすびころりんすっとんとん。も二つころりんすっとんとん

  おじいさんころりんすっとんとん。おじいさんころりんすっとんとん」

 

 おじいさんが顔を上げると、目の前には、たくさんの人が、餅をついたり、踊ったりしていました。いや、人のようなものといった方がいいかもしれません。その人のようなものは、肌は雪のように白く、服は着ていません。つぶれた目。突き出た鼻。そして何より、耳がとても大きいのです。まるで、人とネズミとモグラを混ぜたような生き物です。

おじいさんは、妖怪だと思い、震えだしました。


 しばらくすると、餅つきや踊りがぱたりとやみました。そして、一人がおじいさんに近づいてきて、

 「ようこそ。根の國へ。歓迎しますよ、おじいさん。おむすびをたくさんありがとうございました。おかげで餅つきがはかどりました」

 と言い、頭を下げました。

 「いやいや、皆さんのためになったのなら良かったです」

 と、おじいさんは、少し安心して言いました。

 「おむすびのお返しです、おじいさん。ぜひ、私たちのついた餅を食べていってください」

 おじいさんは、目の前に出てきた餅に、よだれを我慢できませんでした。

 「では遠慮なく」

 そう言うと、おじいさんは、勢いよく餅を食べ始めました。おじいさんは、その餅が少し苦いと感じました。

 「この味は、何の味ですかな?」

 おじいさんは尋ねました。

 「さあ。少し体に悪いものかもしれませんね」

 見ると、人間のようなものの口もとが笑っていました。

 次の瞬間、おじいさんは力が抜け、地面に倒れ込んでしまいました。


 


 



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