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昔むかし、ある村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。その村は貧しく、村人の多くは飢えに苦しんでいました。
しかし、おじいさんは怠け者で、若いころからほとんど働いたことがありませんでした。ですからおばあさんは畑仕事に洗濯に、毎日必死に働かなければなりませんでした。
あるとき、おばあさんはついに我慢しきれなくなり、おじいさんを山に捨て来ようと思いました。おばあさんは三つもおむすびをにぎり、おじいさんに持たせました。
「おじいさん、おじいさん。これを持って、山に柴刈りに行ってきておくれ」
おばあさんは山を指さしながら、言いました。その山は神隠しにあうという噂がありました。
おじいさんは、働きたくなかったのですが、おむすびが三つも食べられるので、おばあさんのいうことを聞くことにしました。
おじいさんは山に柴刈りに行きました。しかし、柴刈りが面倒になったので、先におむすびを食べることにしました。