第4話
村の入り口には部下達が揃っていた。商品で遊んでいる馬鹿どもを蹴り飛ばした。
「痛え!何すンですか!」「いまいち締まりが悪ぃな…」「柄なんぞ突っ込むからだろ」
状況を理解していない馬鹿にも伝わる絶叫を上げた。
「てめぇら全員武器を構えろ!敵が来るぞ!」
絶叫と同時に後ろから飛んできた短剣が、俺の首元を掠めながら、剥き出しの団員の股間へと突き刺さった。
悲鳴を上げる部下を無視して、振り返った先にあの大男が立っていた。
大男は全裸のまま前を隠すでもなく、今度は奪いとった手斧を構えている。
「あのハゲを囲め!殺った奴には金貨3枚出すぞ!」
「なんであんな堂々と立ってンだ?」「知らねぇ…変態なんだろ」「あんな粗末でよく人前にでれるな…」「神に見捨てられてんな、可哀想に」
「……」
「あっハゲが泣いた」「粗チン野郎…」「可哀想だわ」
「いいから早く殺れぇ!」
どいつもこいつも明らかに士気が低い。
当たり前だった。俺も含めて全員が、簡単な略奪で終わる仕事だと考えていたし、こんな怪物がいるなんて知らなかった。
後は砦に帰るだけのつもりで、命のやりとりをする気なんて誰もないのだ。
それでも大男の囲いは縮んでいき、何人かは弓で狙いを定めていた。
要は敵が多少強かろうが囲んで叩けば、殺られる心配はずっとましになる。卑怯も糞もない。
さっきは数で勝った状況でやられたが、その倍以上の数で当たれば、負けるはずはない。
だから目の前の光景は嘘だ。囲いを破って、矢を身体中に突き立てた大男が、俺の頭をかち割ろうとするなんて無理だ、ありえない。
「……!」
「やめろ!やめ」
最期の言葉を発する前に、俺の視界は左右に分かれていった。