第2話
薄暗い室内に漂った、饐えた匂い。馬鹿の慣れ親しんだ甘い匂い。
そう、これはガキのションベンの匂いだ!
「…っ」
木箱の中でかくれんぼをするガキの息遣いが聞こえる。立派なオトナとしては、ガキの遊びに付き合いたいとこだが、火の手が周る前に、全部かっぱらう必要がある。ガキも含めた全部だ。
「…っ…!」
「いけねぇガキだ!ガキの遊びしやがって!もっといい遊びを教えてやる!」
蓋を開けて、優しく頭を掴み出したのは、珍しい金髪のメスガキだった。
金髪なんて最後に見たのはいつだったか?何年か前に襲った貴族の母娘が、そうだった気がする。すぐに壊れてさっさと売っ払ったが、かしらがやけに気前よかったのは覚えている。
このメスガキも身なりは薄汚ねぇが、やけに品のいいお嬢ちゃんってツラをしてやがる。股間にくるもんがある。
自慢の息子をガキの腹に押し当てながら、ボロ服を引きちぎった。後ろじゃあ数人が荷運びを始めるが、知ったこっちゃねえ。
「っ!いやぁ!?」
「イヤイヤで済むのはガキだけだ!おら暴れろ!」
もっと興奮させろと言おうとして、人差し指に激痛が走った。同時にメスガキの顔を殴り飛ばす。手のひらには抜けた金髪が数本と、鼻血がこびりついていた。
床には盛大な鼻血の飛沫が広がった。俺の人差し指から垂れた血が、床の鼻血と混じる。
興奮してきた!股間とアタマが真っ赤になってくる。
メスガキにまたがって、両手で首を締めた。ほんの数秒で白目をむきだす。ビクビクと体が跳ね始めると、両手を離して腹を殴った。気がついて命乞いをしようとするメスガキの口に、血まみれの人差し指を突っ込んでかき混ぜる。
「悪いのはこの口か!悪い口だ!人様の指を噛みやがって」
もはや娘同然の血の繋がりとなったメスガキをぶち犯そうとして、初めていつものヤジがないことに気がついた。
普段ならセンズリこく奴のひとりやふたりいるはずだが。
いつもと違うことに気がついたのは、首と体が離ればなれになった瞬間だった。
馬鹿が中に突っ込むのと同時に、お楽しみ中の団員どもに号令をかけた。
「いつまでババァ輪姦してんだ!こっち来い、隠し部屋だ!」
「「「おう」」」
息をしていない農婦から離れると、愚息をぶらつかせながら、団員達がぞろぞろと集まってくる。
「いいか、火が周る前に運び出せ!馬鹿のことは放っておけ!
またセンズリ中に息子を食い千切られても知らねぇぞ!」
愚息をしまった奴から隠し部屋に入る。すぐ戻ってきた奴が、籠一杯の林檎を持って来た。
「かしら、馬鹿の奴いいンすか?高値のつきそうなガキで遊んでましたよ」
「あぁ?そりゃどんなガキだ」
「金髪なンすよ、ありゃ貴族の隠し子とかじゃねぇかな?」
だったら早く止めてこいと言う瞬間、中から団員の悲鳴が聞こえてきた。