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白の無才  作者: kuroro
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第78.5話「後日譚(4)」

今回は少し短めです。

8月31日。


夏休み最終日——




今日は朝から雨が降り頻っていた。


夏休み最終日に雨というのは、なんだか少し残念なように思える。


出来ることなら最後の1日は、夏らしい青空に見下ろされながら過ごしていたかった。


もしかすると夏の空も、俺たちの長いようで短かった夏休みが終わってしまうのを、一緒に悲しんでくれているのだろうか。



そんなことを考えながら、窓の外に見えるアスファルトにじわじわと染み込んでいく無数の雨粒をジッと見つめる。



こんな天気では蝉も鳴いてはくれないだろう。


ひょっとすると天気に関わらず、蝉たちは8月の終わりと共に姿を消してしまっているのかもしれない。



そう考えると、あんなにも煩く、鬱陶しく感じていたはずの蝉の声も、なんだか恋しく思えてくる。


まるで、今まで騒々しく思っていた友人が突然フッと煙のように消えてしまったかのような、そんなもの寂しさを俺は感じた。




昨晩、秀一から連絡があり、無事夏休み課題が終了したという知らせが入った。


朝霧も同様に、なんとか課題をやり遂げたらしい。



秀一も朝霧もようやく課題から解放され、夏休み最後の1日を精一杯満喫しようとしていただろうに、この天気では外出する気も失せるというものだ。



そういえば、榊原は今頃一体何をして過ごしているのだろう。



雨音に耳を傾けながら、1人静かに読書に励んでいるのだろうか。


それとも、溜まった疲れを取るために昼寝でもしているのだろうか。


もしかすると賞に応募するため、執筆活動に勤しんでいるのかもしれない。




そんなことを考えながら、俺は勉強会終わりに榊原と交わした会話を思い出す。


勉強会終わりの榊原は、表情がどことなく暗いように見えた。


それでいて俺たちに何かを隠しているような、そんな雰囲気を感じた。


俺はそんな榊原の様子が少し気になり、榊原に連絡を取ってみようとスマホを手に取る。



榊原の連絡先を開き、発信を押そうとしたところで、俺はホームボタンを押してホーム画面へと戻った。



よくよく考えてみれば、夏休み最終日でゆったりと過ごしているところに連絡を入れるのも迷惑なことだ。


今日1日は各自、自分ために時間を使い、過ごすのが1番だろう。



榊原に何か悩みがあるなら、明日学校で尋ねてみればいい。


そう考えた俺はスマホを元の位置に戻すと、本棚から文庫本を1冊取り出し、ベッドに横になった。




そして最初の1ページ目を捲ると、静かにゆっくりと物語の世界へ入っていった——








読んでいただきありがとうございます。


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