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白の無才  作者: kuroro
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第38話「夏休みについて(4)」

今回はいわゆる神視点となっています。

ファミレスで昼食を食べ終えた後、悠と秀一は本日の目的である水着を購入すべく、アーケード街を少し歩いたところにある百貨店へと向かった。


土曜日、そして夏休みということもあり百貨店は大勢の人々で賑わっている。

アーケード街もかなりの人の数だったが、人口密度を考えるとこちらの方が多く感じる。


2人は1階エスカレーター付近に設置されてあるフロアマップで水着売り場を探した。



「あっ、悠。4階にメンズの水着売り場があるみたいだぜ」


マップを指差しながら秀一が悠に呼びかける。


「そうみたいだな。それじゃあ行くか」



2人はそのままエスカレーターに乗り、2階、3階と階を上がっていく。

そして4階へ到着すると、詳しい売り場の位置を把握するため再びフロアマップに目をやった。



「すぐ近くじゃん!行こうぜー」


悠は先導する秀一の後ろについて歩く。



マップに従い、歩いていくと目的の水着売り場へ到着した。


店の正面入り口付近には、今年のトレンド水着を着せられたマネキンがずらりと並んでいる。



「らっしゃいませ〜」


店の奥から、茶髪にサングラスといういかにも遊んでいそうな雰囲気の店員が気だるげな挨拶を飛ばしてくる。


店内にはそれほど客はおらず、2人は各自好みの水着を選ぶため店内を物色し始めた。





ーーそれと同時刻。




悠と秀一がいる百貨店。

その3階、レディースの水着売り場にて2人の現役女子高生が真剣な表情で商品を物色していた。



「うーーーん……どれがいいかなぁ。麗ちゃんはいいの見つかった?」



健康的な小麦色の肌にセミロングの髪。


水色のキャミソールから部活で鍛えられた肩を露出して言うのは、悠のクラスメイトで秀一と同じ陸上部に所属する、朝霧莉緒。



「そうね……水着を買いに来るのなんて久しぶりでこんなにもたくさんの種類があるなんて思っていなかったから、正直迷ってしまうわね」



艶やかな長い黒髪に魅力的な大きな瞳。


莉緒とは対照的な陶器のように白い肌。


そして紺色のワンピースから伸びる腕を組み、芸術品のように繊細な指を桜色の唇に当てていうのは、同じく悠のクラスメイトの榊原麗。



莉緒は部活が終わった後、一度家に帰って着替え、それから麗と合流した。


2人も悠たちと同様に水着を購入すべく、百貨店にある水着専門店を訪れていたのだ。



「そうだ!ねぇ麗ちゃん、試着してみようよ!」


莉緒が突然閃いたように口を開く。



「試着……そうね、せっかく店に来たのだし。それに実際に着てみないとわからないものね」



2人はそう言って各自気になった水着を手に取り、試着室へと入っていく。


レディース水着専門店の個室ではあるが、慣れない場所で服を脱ぐという行為に多少の躊躇いを持ちながらも、2人は自分の着ている服に手を伸ばす。


しばらくして試着室からは2人の衣擦れの音が聞こえてきた。


締め切られたカーテンの向こう側には、普段は決して異性に見せることのないシルクのような肌をむき出しにした2人の、美しくも艶かしい姿がある。




「麗ちゃーん。どー?着替えてみた?」


隣の個室から莉緒が声をかける。



「え、えぇ……一応は着てみたわ。莉緒さんの方はどう?」


麗は鏡に映った自分の水着姿を見て、顔を赤く染める。



「んーー……着てみたけど、ちょっと自分では似合ってるのかよくわかんないや!ねぇ、麗ちゃん。お互いの水着姿見せ合って似合う水着探そうよ!」


「えっ……そ、そうね……そうしましょうか」


莉緒の提案に戸惑いながらも麗は賛同する。


2人は一度私服に着替え、試着室を出た。



「それじゃあ、まずは私から!何着か着替えるからどれが似合ってるか後で教えてね!」


「わかったわ。……と、言っても莉緒さんならどんな水着でも似合うと思うけれどね」


麗の本心からの言葉に莉緒は「えへへ」と頬を赤く染めて照れる。



「それじゃあ、着替えるからちょっと待ってて」


莉緒はそう言って再び試着室に入り、着替えだした。


2分ほど待つと、「ジャーン!」という掛け声と共に試着室のカーテンが勢いよく開き、中から大胆な水着姿の莉緒が姿を現した。



「り、莉緒さん……!そ、その……な、なんていうか、と、とても大胆な水着ね……」


「えへへー。でしょでしょ!どー?セクシーに見えるー?」


手で顔を隠す麗に対し、莉緒はそう言って今にもはみ出してしまいそうなほど布面積の小さい黒のビキニ姿で腰をくねらせ、慣れないセクシーポーズをとる。


しかし、自分でも恥ずかしくなったのか莉緒は急に顔を真っ赤に染めカーテンをそっと閉めた。


閉めたカーテンから顔だけをひょっこりと出し「あはは……やっぱりちょっと恥ずかしいね、これは……」と、おどけて笑う。



その後は真面目に選んだ水着を試着していき、試着室に運び込んだ水着を全て試着し終わると私服に着替え、試着室を出た。



「どうだった?似合ってるのあった?」


莉緒は審査役の麗に尋ねる。



「えぇ!どれも莉緒さんに似合っていたわ。特に最後の水着なんかはとても莉緒さんらしくて良かったわね!」


麗は両手を合わせて莉緒に賞賛の言葉を送る。



莉緒は「やったー!麗ちゃんにそう言ってもらえれば安心だ!」と眩しい笑顔を見せる。



「それじゃあ次は麗ちゃんの番ね」


そう言われた麗は表情を硬くし、緊張した様子で試着室へと入っていく。



「あはは!麗ちゃん緊張しすぎー!」


その様子を見て、莉緒が思わず吹き出す。



「で、でも……人に水着姿を見せるというのは、なんだかとても恥ずかしくて……」


榊原はもじもじと指先をせわしなく動かしながら言う。



「女の子同士なんだからそんなに恥ずかしがらなくても大丈夫だって!」



莉緒にそう言われた麗はコクリと小さく頷き、試着室へと入っていく。


すると中からは衣擦れの音が聞こえ、しばらくしてからゆっくりと試着室のカーテンが開いた。



「わぁ〜〜〜!麗ちゃんすっごいかわいい!!」


カーテンを開けて現れた、水着姿の麗を見た莉緒は感嘆の声を上げる。



麗は柄も模様も付いていないシンプルなデザインの白いビキニを纏っていた。


派手さもなければ、たいして高価そうでもない。


しかし、麗が身に纏っているというだけで何か神聖な物のように莉緒は感じた。



莉緒に掛け値無しで褒められた麗は、恥ずかしさと照れ臭さで顔を耳まで赤く染める。


そして麗が形のいい胸を細い両腕で隠すと、名山にも例えられるような2つの胸が押し上げられ、その間に美しい谷間が現れる。



莉緒は同性ながらも、あまりに美しすぎる麗の水着姿に見惚れてしまった。



「や、やっぱり……人に見られるのは少し恥ずかしいわね」


麗はそういってカーテンに手を伸ばし、体を隠そうとした。



すると、



「ーー待って!」



莉緒が突然声を上げる。


驚いた麗が莉緒に目を向けると、莉緒の目の色が変わっていることに気がついた。



「莉緒さん……?」


不安そうに声をかけると、莉緒は不敵な笑みを浮かべて口を開く。



「ふふふ……麗ちゃん、これも着てみよっか〜」


そう言って莉緒は両手に持っているいくつもの水着を麗の目に差し出す。



その後、麗は抵抗虚しく莉緒の着せ替え人形と化し、30分にわたって様々な種類の水着を試着させられる羽目になった。


中には、もはや水着と呼んでいいのか分からないほど大胆なものもあったが、麗は文句一つ言わずに全て着こなしてみせた。




そんなことがありながらも、なんとか2人は自分にあった水着をセレクトすることに成功した。


選んだ水着を購入し、店を出ると時刻は14時。


どうやら水着を選ぶことに夢中になって、1時間以上も店内に居座ってしまっていたらしい。



何はともあれ、明後日に着る水着を無事購入することができた2人は百貨店を後にしようと、エスカレーターへ向かって歩き出した。



「いや〜!いいの買えてよかったね!明後日はこれ着て榎本にぎゃふんと言わせてやるんだから!」


「ふふっ、きっと榎本くんも可愛いって言ってくれるわ」


その言葉に莉緒は少し頬を染める。


「可愛い……かぁ」



麗の目にはそう呟く莉緒がとても女の子らしく写り、可愛らしいと思った。



そんなことを話しながら下の階に降りるエスカレーターのところまで来ると、4階から降りてくるエスカレーターに見慣れた2人組が乗っているの見えた。



「「あっ」」



その2人組を見て、麗と莉緒はほぼ同じタイミングで声を発する。



「「あっ」」



そして、その2人組も同じように麗と莉緒に気がつき声を出す。



「羽島君……榎本君……」



「榊原……それに朝霧も……2人もここに水着買いに来てたのか」



偶然の遭遇に4人は目を大きく開く。



「羽島君と榎本君も、ひょっとして水着を買いに来ていたの?」


麗の問いかけに秀一が答える。



「そうそう!せっかくのプールだし、新しい水着欲しくてさ!2人共、もう水着は買ったの?」


「えぇ、ついさっき購入してきたところよ」



麗は手に持った袋を持ち上げて答える。



「へぇ〜、そうなんだぁ!明後日が楽しみだなぁ」



秀一の言葉で麗は恥ずかしそうにはにかむ。



「あ、あのさっ!榎本……」



とろけきった顔の秀一に対し、莉緒が唐突に声をかける。



「あっ……り、莉緒……えっと、この前はごめーー」


「たっ、楽しみにしててよねっ!!」



秀一の言葉を遮るように莉緒が言う。



「えっ?楽しみってどういう……」



困惑する秀一を尻目に莉緒は麗の手を取り、スタスタとエスカレーターとは逆の方向に向かって歩いていく。


数歩進んだところで莉緒は立ち止まり、秀一の方を振り向く。



「……絶対、『可愛い』って言わせてやるんだから!」



暑さのせいか、顔を真っ赤に染めた言った莉緒は再びエスカレーターとは逆の方向に向かって逃げるように歩き出した。



「えっ?えっ?どういうこと?」



秀一は何が何だかよくわからないといった顔で混乱している。




麗と悠は、そんな2人から甘酸っぱい青春の香りをひしひしと感じ取り、口元を綻ばせたーー

























































いつも読んでいただきありあとうございます。


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