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大事な

作者: すけ介

僕は坂口薫。

今年高一の学生だ。僕の家は遠い田舎町で僕は一人都会に出て来てそこから学校に通っていた。僕は歩き慣れた道を歩き学校の前で止まる。ここからが僕の戦いだ、毎日ここから先は足が進まず立ち止まってしまう。

「、、、、、」

無言で通り過ぎて行く同級生。どんどんと僕の横を無言で通る同級生。そこに、

「よお、薫。元気か、」

そう言ってがたいの良い先輩が肩をたたいて来る。僕はこの先輩が苦手だ。なぜなら、

「なあ、金貸せよ」

さっきの気さくな声ではなく凶悪なドスのきいた声で僕に囁く。

「今は持ってません。下校後でいいですか」

僕は出来るだけ当たり障りのない答えを言うが、

「そうか、なら帰りは一緒に帰ろうぜ」

僕はギョッとした。何故なら僕は一人でこっそりと帰ろうと思ったからだ。

「わ、分かった。下駄箱で待ってる」

「分かった。待ってるぜ」

そう言ってポケットから銀色の鋭い刃をみせる。


今は授業中だ。

隣の子がペンを落とす。僕はそれを拾おうとしたが隣の子はそれを見ると急いでとって片付けた。

「はぁ、、、」

僕は自分の机に向かうとペンを走らせる。すると後ろのほうで音がした。僕が振り向くと後ろの子達は一斉に目を逸らし上とか左右を見る。僕はこの学校が嫌いだ。しかし学校をやめない。それは、、、


休み時間。

僕が屋上で一人空を見上げていると、

「ねえ、薫君」

「ん、唯ちゃん」

「酷いよね皆。薫君はなにもしてないのに無視するなんて」

そう、僕がこの学校に居続ける理由はこんな僕でも気にしてくれる子がいるからだ。そして僕はこの子が好きだ。

「僕なんて、、、」

「そんなこと無いよ。薫君は本当に優しいし気遣いも出来るいい人だよ」

「はは、、」

僕はそう言ってくれたのが嬉しくて顔を逸らし空を見上げた。

「薫君。私のことどう思う」

「え、友達、かな」

「そ、そうだよね。友達か」

変な雰囲気になった時、チャイムが鳴った。


下校時、

僕は一人同級生で埋まっている廊下をゆっくりと下駄箱まで歩いて行った。

「よお、薫。待ってたぜ」

僕が下駄箱に入ると先輩がそう言って待っていた。僕は正直逃げたい気持ちで1杯だったが僕は我慢して先輩に話しかける。

「先輩、お金は家にありますよ」

「いいや、金はいい。少し来てくれ」

凶悪な笑顔を浮かべ、そう言って腕を引っ張っていく先輩に凄く嫌な予感がしたが僕は連れられるまま歩いて行った。


「なあ薫。俺な、お前が唯と一緒にいるの知ってんだ」

僕はその言葉を聞いた時、ビグッとした。恐らくこの次に出る言葉は、

「お前、唯が好きだろ」

やっぱりだ、先輩は勘付いていた。

「なあ、俺は今日からお前に関わるのやめるわ。その代わり唯になにしようかなぁぁ」

プチッ

先輩の言葉は僕にとって到底許せるものではなかった。

「なあ、なにがいい。まず孤立させようかな」

く、ヘドがでる。唯ちゃんをそんな境遇にしてたまるか。

「そのあとは俺が遊んでやんよ。お前の目の前でな」

僕は近くにあった鉄製のパイプを手に取った。

「なあ、どんな気分だよ。悔しいか、悲しいか、それとも、、、嬉しいか、ははははは」

先輩は後ろを向いて僕を見ていない。今なら、、、殺れる。

その時、

「薫君、やめて」

僕は思わずその場で止まった。なんと僕の後ろでそう叫んだのは唯ちゃんだった。

「ん、なんだ、、、、薫、てめぇ」

先輩はそう言って僕を殴りつけてくる。僕は軽く意識がとんだがなんとか持ちこたえ立ち上がった。

「薫どういうつもりだ。俺に何しようとした、行ってみろよ」

先輩は僕が掴んでいたパイプを振り回すと僕に叩きつけてくる。

「ぐ、」

僕は右手を怪我したみたいで手が動かなかった。

「死ねえぇ」

先輩は大きくパイプを振り上げると僕にパイプを振り下ろした。

「薫君」

ガンッ

僕が目を開けると僕に唯ちゃんがもたれかかってきた。

「私、薫君が大好きだったよ」

そう言って唯ちゃんの声は途絶えた。僕は唯ちゃんを地面に寝かせる。

「は、なにが大好きだよ、だ。なら今度はお前の番だ」

そう言って今度は確実に僕に向けてパイプを振り下ろすが、何故だろう。僕はそれがゆっくりと見えた。僕は冷静にパイプを払いのけると先輩の筋肉質な体に近くにあった石を持って殴りつけた。

「ぐはっ」

先輩は一瞬怯むが今度はポケットに入っていたナイフを持って、

「へへ、薫。ここまでしたくなかったが仕方ないな。」

先輩はそう言って僕に向かってナイフを突き出してくる。僕は何故かゆっくりと見える刀身を素手で掴むとだいぶ痛むがそんなのは気にせず先輩の顔を殴りつけた。

「くそ、薫てめぇ」

先輩はとうとう無造作にナイフを振り回し始めた。僕が殴りつけようとするが相手はナイフを持っている。僕の服や体は僕の血で染まる。

「へへ、ボロボロだな薫。トドメだ」

そう言って僕の胸にナイフを突きつける。

「、、、」

僕は何故かなんて考えない。何故かよく動く体。何故か遅い相手の動き。そして何故か漲るこの殺意。

「、、!」

僕はナイフを払いのけると先輩の腕を持ち背負い投げの要領で地面に叩きつける。

「ぐはぁ」

僕はそれでは止まらず先輩の首を締め付けた。先輩は僕の手を掴み必死に剥がそうとするが中々外れない。その内抵抗も弱くなってきていた。その時僕の脳内に唯の声が響いた。

「やめて」

僕はその時あれだけ漲っていた殺意も昂る感情も静まり冷静になった。僕がどけると先輩は泡を吹いて気絶していた。そんなことはどうでもいい。僕は唯ちゃんが気になり駆け寄る。

「唯ちゃん、唯ちゃん。」

「、、、、薫君、」

「唯ちゃん」

僕はそう言って唯ちゃんの体を抱きしめた。そして僕が離れると、

「薫君、なんで泣いてるの」

僕は何故か涙が出ていた。

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