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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『最高神物』

 僕がソファーに座ろうとすると眩しいほどの光と共にミナモさんが現れた。僕が驚いて

「何でここにいるんですか?」

「ああ、言ってなかったが補佐役はいつでも控え室に顔を出すことができるんだよ。

 俺は忙しかったから、顔を出してなかっただけだ。お前がもし今までの対戦で他の神使に会ってないなら、興味がなかったか俺みたいに忙しかったかどっちかだろうな。」

「そうですか………………。

 それで、何かわかりましたか?」

「ゼウス決定戦を行いたい理由があった上層神は俺が探した限りではいなかった。

 というより、あいつらからすればゼウスが誰でもあまり関係ない。」

「何でですか?」

 僕の質問に答えたのはミナモさんではなく、光と共に現れた男だった。

「簡単な話だ。

 上層界は今、次のアマテラスを決める準備に入ってる。

 下層で何が起こっていても自分達の権力争いに夢中なんだよ。」

 男を僕は見たことがあった。というよりも先程のシンキングタイムの時に初めて見た精悍な顔の、神使から『ムラクモ』と呼ばれていた男だった。

「ああ、ムラクモさん。

来てたんですか?」

 ミナモさんが話しかけるとムラクモという男は笑顔で

「見届け人として呼ばれたんだ。 

まぁ、今後の人間界を左右する行事だから最高神物の俺が呼ばれたのには納得ができるけどな。」

「最高神物?」

 僕は疑問に思ったことをそのまま口にしてしまった。怒られるかなと思ったがムラクモは笑顔で

「お前らの言い方で言う…………ああ、神器ってやっだよ。

 その中でも、『最高神物』っていうのは、太古から存在する神器の中の神器にあたるんだ。

 つまり、めちゃくちゃ偉いってことだ。」

「は……………はぁ………」

 僕は自分で自分を偉いという人にあまりあったことがないからどう返すべきかわからなかったし、神器のはずなのに見た目は人で………というところも理解できずいるとミナモさんが、

付喪神(つくもがみ)を知っているか?」

「長年使われていた物が神様になるみたいなやつですか?」

 僕がなんとなく聞いたことがある程度のことを話すとミナモさんは頷いて、

「人が使い続けた物に意志が宿るように、神が使い続けた物にも意志が宿り、使っていた神の力が強いほど、その武器に宿る意志も強くなる。」

「じゃあ、このムラクモさんも誰か強い神様の武器だったってことですか?」

 僕が聞くとミナモさんは確認するようにムラクモさんを見た。ムラクモはその視線を優しく受け止め、自分から

「俺は…………初代アマテラスの剣だった。その後、大和尊(ヤマトタケル)という男が蛇退治に使って、違う名前で呼ばれるようにもなったが、今では上層界で悠々自適の生活を送ってるよ。」

 ムラクモさんは笑っているが、僕にはヤマトタケルの名前と蛇退治の二つが気になった。

 ヤマトタケルとはヤマタノオロチを倒した伝説の人物で、ヤマタノオロチは名前の通り首が8個ある大きな蛇のことだ。

 そして、その時に使われたのは日本で三種の神器と呼ばれる『草薙の剣』だったはずだ。

「草薙の剣なんですか?」

 僕が聞くとムラクモさんは笑顔でいて、ミナモさんが

天叢雲(アマノムラクモ)……がこの人の正式な名前だ。」

「えっ?その名前も聞いたことあります。」

 僕が驚いているとムラクモさんは満足げに笑っていて、それを横でミナモさんがあきれた感じで見てから、

「お前の驚くところはずれてるんだよ。

この人の凄いのは、アマテラスの剣だったことだ。」

「それって、凄いんですか?」

 伝説で聞いたことがあること以上に天照大神の武器だったことの方がすごいのかと僕にはわからなかった。ムラクモさんが笑顔で

「まず神器っていうのは、神が自分の力をコントロールしたり、強化したりするために使っていた武器のことなんだよ。

 日本で一番偉い神様になった天照大神が使ってた武器なんて強そうだろ?」

 言われてみればその通りだと思っていると、ミナモさんが

「それだけじゃない。神の力は神器に宿すことによって、他者に渡したり受け取ったりできる。

 初代天照大神が死の間際に全ての力を与えたのが天叢雲なんだよ。」

 ムラクモさんは照れたように笑い、僕は驚きすぎて何も言えなかった。

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