『本選二回戦 シンキングタイム』
母と会ってから数日が過ぎ、僕は裁判所を思わせる場所にいた。
二回戦が始まったことは直ぐにわかった。
「そ、それでは、予選5位の天野星と予選3位の地井陸道の対戦を始めます。よろしくお願いします。」
今回の仕切り役は志士上の神使でミナモさんからウツセミと呼ばれていた男だった。
彼の横に座っている神使が、彼を小突き、ウツセミさんは焦ったように
「そ、それでは、今回の事案を発表します。
ある国、便宜上、A国としますが、A国は国際調和や軍縮など、平和への道のりが進むなかで、ある国家元首になってから軍事力や経済力を背景に他国に対して強硬な態度をとるようになりました。
A国を対象に天罰を下してください。
なお、今回の天罰には必ず自分の神の力を用いたモノにして下さい。
前回同様に、天罰を決定しだい紙に記入してください。
それではシンキングタイムを始めてください。」
僕と地井さんの間にしきりが現れ、目の前には記入するための机が現れた。
僕はウツセミさんが言ったような、国際調和や軍縮に向かっているとは思えずにいた。ヨーロッパの方では徴兵制が復活している国もあるし、何より自国の利益を優先的に考えた行動をとる国ばかりだとしか思えない。
利益最優先の部分を切り取って考えるなら、国際調和は進んでいるのかもしれない。自国がいかに儲けるのかについて他国を利用していこうとする考えは各国共通とも言えるだろう。
それなら自分が持てる力を使って時刻を守ろうとする、あるいは自国の繁栄のために力を使うことは正しいことのようにも思える。
今回の事案でいうなら、軍事力や経済力を使って、自国の利益を保護しようとしたのだから、ほとんどの国で行われている共通の政治活動だと思えなくもない。
僕にはこの事案に天罰を下す理由がわからないし、話し合いなどで関係国同士て解決するべき事案だと思う。
ただ、天罰は下さなければいけないし、自分の力を使ってということになると難しい。
さらに考えるなら、『ある国家元首になってから』という言葉から考えると、天罰を下すべきなのはA国ではなく、その国家元首なのだと思う。
この事案に天罰を下す必要があるとするなら、A国全体に被害を出すようなものではなく、強硬路線をとった元首を変えるような天罰にした方が良いだろう。
僕は紙に
・天罰対象
A国の国家元首
・行為
軍事力や経済力を背景に他国に対して強硬な態度をとる。
・天罰内容
大雨で車が事故を起こして、政治ができなくなるような怪我をした。
と記入した。
事故で政治ができなくなれば、国家元首は交代するだろう。
国家元首が原因でこの事案が起きていたのなら、問題は回復するだろう。
大雨を降らせるのも僕の力なので審査の基準には合致している。
提出用の箱が現れ、僕が紙を入れるとしばらくして、しきりがなくなり、ウツセミさんが
「そ、それでは、両者の天罰案が提出されたのでこれより審査を始めます。
両者は控え室で待っていただきます。」
ウツセミさんが言い終わるのが早いかというタイミングで光に包まれ椅子やソファが置かれた部屋へと移動した。




