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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『神々の遊び』

『そっか、一回戦勝ったんだね。

おめでとう。』

 虹川さんに一回戦のことを話すため電話で連絡した。

「あー、ありがとうございます。

 虹川さんはもうありましたか?」

『まだだよ。

でも、さっきお使いの人が来て、明日の昼くらいにありそうだって言ってた。』

「えっ?そんなこと教えてもらえたんですか?」

『なんか様式が変わったみたいだよ。

 詳しい理由とかは自分はわからないけど、上級神ならわかるかもって言ってた。時間と相手を大まかに教えてもらえるようになったんだって。』

「そうなんですか。

 相手は誰だったんですか?」

『えーと、予選11位くらいのほしなんとかさん。

 聞いたけど、ランク確認システムには最後の方になって上がってきた人だから私もあんまりわからない感じかな。』

「負けたら突然の事故死って感じになるからしっかりとお別れを言いたい人には伝えた方がいいって、僕の対戦を担当してた神使の人が言ってましたよ。

 まぁ虹川さんが初戦で負けるとは思えないですけど。」

『そうなんだよね。

 初戦で負けるのはちょっと悔しいよね。せっかくいい順位で本選まで来たからね。』

「頑張ってくださいね。」

『うん、じゃあ、また、勝てたら連絡するよ。』

 虹川さんはそう言って電話を切ってしまった。僕が電話を置くのが早いかというタイミングで光に包まれてミナモさんが現れた。

「あんな雑魚に勝った程度で浮かれて女に電話とはいいご身分だな。」

「そ、そんなんじゃないですよ。」

「まあいい。

 虹川から聞いたかも知れないが、事前に対戦相手と時間が伝えられることになった。」

「なんでそうなったのかをご存じですか?」

「突然呼び出して入浴中だったなんてことがあって、我々が不快な思いをしたから。

 と言うのが表向きの理由だ。確かにそういうことはあったし不快だったが、それだけで変更できるほどこの戦いは緩いものではない。」

 僕はミナモさんが、その対戦の担当だったのだろうなと思い、少し笑いかけてしまったが我慢して、

「もっと大きな問題があったということですか?」

「俺からしたら問題は何もない。

 要は、このゼウス決定戦も上層部の神達からすれば遊びの対象でしかない。どっちが勝つかを賭けているんだよ。

 自分達が観戦するためにあらかじめ対戦日時と対戦候補者を教えろと言ってきた、俺達は従わなければいけないから、そういう変更を行った、

 どうだ?くだらないと思わないか?

偉いやつらの意向ですべてが変えられていく。

覆らない上下関係の中で、相手の顔色を伺いながら、空気を読んで相手の意向を叶えなければいけない。

 人類にとって、重要な『ゼウス』という存在を決めることすら、あいつらにとっては、ただの遊びでしかない。」

「大変ですね。」

「他人事のように言えるのも今のうちだ。

 お前ももうすぐこちら側になるんだからな。」

「そうですね……………………

 僕の対戦相手は決まりましたか?」

「まだ一回戦が全部終わってないから、日時はわからないが対戦相手は予選2位の地井だ。

 初戦のように、ただ面白がって天罰を下していた鉄井とは違い、次のゼウスになるためだけに今日まで来た男だ。

 簡単には勝てないだろう。

まぁ、お前らの方のグループは二回戦に勝てば決勝に行けるからまだマシだな。

 虹川の方は二回戦に勝ったあとシードの志士上と対戦しないといけない。

 志士上の天罰は諸刃の剣だ。

 審査をする神使の考えにピタリとはまれば勝ち目はないし、はまらなければ簡単に志士上が負けるだろう。

 決勝に志士上が来る可能性は二分の一。

 志士上がゼウスになる確率は四分の一。

 人類が滅ぶかどうかも四分の一だ。

 お前はどうする?

この世界に残していく者達のために天罰を下すか、それとも口の聞けない状態の父親からの忠告をまともに受け止めて天罰を下し続けるのか?」

「急にどうしたんですか?

 いつもよりしゃべりますね。」

 ミナモさんは真剣な顔で、

「これからお前が来る世界は天国なんかじゃない。

 働きもしないくせに偉そうに注文ばかりつけて、思い通りにならないことがあれば、力によってねじ伏せに来るようなやつらだ。

 筋の通らない理由で消されるようなこともたくさんある。

 常に虐げられるだけの存在として生きる覚悟はあるのか?

理不尽に抵抗も許されずに耐え続ける日々を送る上で大事なことは、折れない信念を持っているかだ。

 右から風が吹けば右を向き、左から吹けば左を向いているようなやつは自分に殺される。

 そんな厳しい世界なんだ。

 お前が折れないための信念をこちら側に来るまでに見つけろ。

お前がこれからも生きていくためにな。」

ミナモさんはそういうと光に包まれて消えてしまった。

「折れないための信念か…………………」

 僕はミナモさんの言葉を理解した上で、見つけられるかもわからないその言葉を静かに呟いた。

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