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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『本選一回戦 ブレークタイム』

 光に包まれて目を開けると机と椅子、ソファーが置かれた部屋にいた。辺りを見回すと、まず驚いたのは真横に対戦相手の鉄井という人がいたことだった。鉄井という人も同じように驚いてから

「ビックリですね。

 控え室くらい二つ用意して別々にしてくれたらいいのに。」

「会話はしてもいい、でも喧嘩するなってこういうことだったんですね。」

「ああ、そんなこと言ってましたね。

 とりあえず座りましょうか。立っててもいつ終わるかわからないらしいですし。」

 鉄井さんはそう言ってソファーに座った。僕は横に並ぶ意味もないと思い、椅子に座った。

「あっ、横には来ないんですね。」

「えっ?横に行った方が良かったですか?

ほぼ初対面の人の横に座るのも失礼かなと思ったんですけど?」

 僕は驚いて聞き返してしまった。鉄井さんは特に気にするそぶりもなく、

「ああそうですね。

 鉄井武彦です。天罰を下すとか面白すぎてやりまくってたら本選に残った感じなんで、ゼウスとかなれなくてもいいかなって感じです。」

「天野星です。

 僕もただのゲームだと思ってはじめて、色々とあってここまで来た感じです。ゼウスには………なれなくてもいいかなと思うんですけど、志士上がゼウスになると人類全滅の可能性があるので、そこだけ阻止できたらなと思ってます。」

「えっ?一位の人ってそんなにヤバイ人だったんですか?

他の候補者とか全然知らなかったですよ。」

「そうなんですか?神使(しんし)の人が教えてくれたりはしなかったんですか?」

「ああ、あの偉そうな人達ですか?

 あの人らにはじめて会ったのもA級になってからで、普通のゲームだとつい最近まで思ってたんですよ。

 それが急にあなたは神様でなんて言われても全く納得できないですよ」

「そうだったんですか。

 じゃあ、自分の能力とかもまだよくわからない感じなんですか?」

「ああ、その辺の説明は受けてますし、高評価を得るために使ってるからわかってますよ。

 金属を自在に変形できるみたいなちゃっちいやつですけどね。

 天野さんはどんな能力ですか?」

「あの天気を操れるみたいな感じです。」

「マジですか?

 ラスボス感ハンパないてすね!」

「えっ?そうですか?」

「そうですよ、だってムカつくやつがいたら雷どーんで終われるってことですよね?

 めちゃくちゃかっこいいじゃないですか。」

「でも天罰を下すのにはあまり使い勝手が悪かったですよ。

他の人も巻き込んでしまうので使い方が難しかったです。」

「ああ、確かにそれは難しそうですよね。

 でも、対戦方式が天罰を下すのでよかったですよ。

能力使って戦えとかなったら、俺絶対に負けてましたよ。」

「アハハ、どうでしょうね。」

 僕はどう答えていいのかわからない話だったので話題を変えようと

「どんな天罰にしましたか?」

「あ、それ聞いちゃいます?

 俺は正直なところ、コメンテーターが悪いっていうよりもテレビ局のキャスティングが悪いと思うんですよ。

 テレビ局にも色があって、保守よりだったり、リベラルよりだったりする訳じゃないですか。

 その色に合わせたコメントをしてくれそうな人をテレビに出せば、批判する矛先なんていくらでも変えられると思うんですよ。

 だから、テレビ局の器材が壊れて、番組中に怪我させてやりましたよ。俺の能力なら金属でできてる器材は操り放題ですからね。」

「えっ?そのコメンテーターが誰かも何人に下されるのかもわからないのに怪我させる感じにしたんですか?」

「そういうもんなんじゃないですか?

 悪いやつらに正義の鉄槌を下すのが天罰なんじゃないですか?」

 鉄井さんは心の底からそう思っているのが、この言葉から伝わってくる。間違ってはいないのだろうと思う。

 でも、正解でもない気がする。

 じゃあ、天罰とは一体なんだろう?

 僕は今まで何のために天罰を下してきたのだろう?

 あれこれと考えているうちに、返事がなかったことに鉄井さんが

「大丈夫ですか?俺なんか変なこと言いましたか?」

「すみません、天罰ってなんなんだろうなって考えたら、僕は答えられなかったので、ちょっと考えてました。」

「そうですか。

それで天野さんはどんな天罰にしたんですか?」

「僕は……………誰にとか何人にとかを考えたらあまり具体的な天罰はできないなと思ったので、そのコメンテーター自身の行いが非難されてテレビに出られないようになれば良いなと思ったので、テレビで失言とか暴言をしてテレビに出れなくなるってしました。」

「ふつうですね。

能力使って、もっと派手にした方が良かったんじゃないですか?」

「僕は、天罰は対象者の反省と改善を促すものじゃないといけないと思ってます。

 実際に、僕はそういう天罰を下すと高評価を得られていたのでそういうものなんだと思ってました。」

「そうなんでね。

確かに俺の天罰じゃあ新しい問題が生まれるだけで何も解決しませんもんね。あれ?天罰を下すって奥が深いですね。」

 鉄井さんはそう言って考え込んでしまった。

「すみません、なんか偉そうなこと言ってしまって。」

「いやいや、適当に天罰を下してたので、こういう意見は新鮮だなと思っただけですよ。」

 鉄井さんが言ったところで声が聞こえてきた。

「審査が終了しました。先ほどの場所に転送し直します。」

 言葉が終わるとすぐに光に包まれた。


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