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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『本選説明会』

 僕は悩みに悩んだ末、パソコンを起動して『神様ゲーム』を起動した。光輝きめを眩しさのあまり目を閉じ、次に目を開いたらそこは先ほどまで自分の部屋だったはずなのに全く知らない場所にいた。

「結局、来たのか?」

 後ろから声をかけられて振り向くとミナモさんが立っていた。

「迷ったんですけど…………ゼウスを消すって、父さんを殺すってことかもしれないじゃないですか。

 そう考えると来ないわけにはいかないと思ったんです。」

「俺の方でも色々と調べてはみたが、不審なところはなかった。

 まぁ、次のゼウスが決まれば、封印も解かれるだろうから本選が進むのを見守るべきかもしれないな。」

 ミナモさんが言ったすぐあとに、

「あっ、アマノさん。結局、参加することにしたんですね。」

 志士上はそう言って近づいてきた。その後ろに背が高くというよりもひょろ長い感じの男がいた。ミナモさんがその男に向かって

「ウツセミ、お前の候補者の動きはルールスレスレのところがある。

しっかりと注意しておけよ。」

「す、すみません。気をつけます」

 ウツセミと呼ばれた男はオドオドとしていかにも頼りなさそうな感じだった。志士上が僕の横に来ると回りには見えないように指差して

「アマノさん、この前話したのはあの人ですよ。

 最終ランク2位の地井(ぢい)さんです。気をつけてくださいね。」

「えっ?何を?」

 僕が聞いたが志士上はニコリと笑って行ってしまった。ウツセミという男は僕の横をすり抜け様に小さく頭を下げていった。

「とにかく、進むか。

ここにいても始まらないからな。」

 ミナモさんに促されて僕も奥に進むと、そこには10人くらいの現代風の服を着た人とその横に神使と思われる人達がいた。

 広いスペースに20人くらいいて、その中で僕に向かって手を振っている人がいたのでよく見ると虹川さんだったので近づいて、

「虹川さんも参加するんですね。」

 虹川さんは笑顔で

「ここまで来たら、最後までやった方が良いでしょ。

 それにシシガミは相変わらずみたいだしね。」

「そんなに悪い子って訳でもなかったと思うんだけど……………」

 僕は率直に志士上について思ったことを言った。虹川さんが何か言おうとしたところで髭の長い仙人風の男が

「それでは本選説明会を始めます。

15人中11人も来れば十分でしょう。

 まず、本選の形式ですが、これは今まで通り天罰を下すものとします。

 ただし、対戦形式をとり、ここにいる神の使いが判断員となり、天罰を下す事案に対してどのような天罰を下すのかを発表してもらい、その良し悪しを判断員が協議し良かった方が勝ち、そして天罰を下します。

 本選で取り扱う事案は日常の些事ではなく、社会問題となっているものや国際問題になっているものなどから天罰を下します。

 そのために『人の社会』に多大なる影響を及ぼすことを前提に天罰を下さなければいけないことを注意してください。

 対戦相手はこちらが適当に選びます。トーナメント形式をとるので一人余るので一位の志士上氏をシードとします。

 事前に対策が立てられないように対戦の日時や相手も秘密として、候補者が戦う時になれば強制的に試合の場に召喚します。

 詳細については、各自の神の使いに聞いてください。

 以上で終了です。」

 その言葉ともに僕は自分の部屋に戻っていた。横にミナモさんが現れて、

「聞きたいことはあるか?」

「二位の地井さんってどんな人ですか?」

「本選についてのことを聞いたつもりだが?」

 ミナモさんはそう言ったが、僕の興味は志士上が言っていた地井という人の方にいっていた。

「志士上が僕にその地井っていう人に気を付けろっていってたんです。」

「確かに地野一族には気を付けた方がいいだろうな。」

「チノ一族ってなんですか?」

「大地の力を司る一族で天野を敵視している一族だ。」

「なんで敵視してるんですか?」

「俺が知るわけないだろ。

 ただ、一つ言えるのは地野一族は天野に対して何かの因縁を持ってるだろうな。」

「因縁があることはなんで、今の候補者が知ってるんですか?」

 ミナモさんは険しい顔で

「地野一族は、不本意に人間になった一族で、その恨みをはらすために子孫に代々、自分達が神の一族であることを伝承している。

 当然、『ゼウス決定戦』が行われれば参加してくるし、一人でも多くの候補者を出すために家を分かち、子孫を増やすこともしてきた。

 だが、選ばれても一人か二人。

しかも、選ばれた人間は記憶から消えるか死んだことになるから誰もそいつが神になったことすら知らない。

 地野一族の悲願としているものは現代に生きる一族の人間にしてみれば、ただの呪いでしかない。」

「その『不本意に人間になる』ってどういうことなんですか?」

「昨日というべきか今朝というべきか迷うが、ゼウスが人間に力を分け与えた話をしただろ。」

「はい。」

「その話の続きだ。

増えすぎた神の中から力を奪われ、人間界に追放された者達がいた。

 追放されるということが人間になるということだ。

 そして、追放される者はゼウスの行いを善と判断していた者達ということになる。

 今でも神の世界の上層部は反ゼウス派が仕切っているみたいだし、自分達に反乱を仕掛けるかもしれない不穏分子をまとめて人間界に追放したのだろう。」

「不本意にってことは地野一族は反ゼウス派だったってことですよね?」

「まぁそうなるな。

 志士上が言うように地野一族の男には気を付けた方がいいだろうな。。前回のゼウス決定戦には地野一族は出ていなかった。

 だから、あの地井という男が何を仕掛けてくるかはわからない。

まあ無作為に選ぶトーナメントなんだから当たらない可能性も充分にあると思うがな。

 それで、本選についてはなにもないのか?」

 ミナモさんに聞かれて考えてみたが、特にわからない話でもなかったので

「そっちは大丈夫です。」

 ミナモさんは僕の答えを聞くと、光に包まれ消えてしまった。

用は済んだということなのだろう。

 僕はベッドに寝転んで天井を見上げて「先祖の呪いか…………………」と呟いた。

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