『case49 雪合戦? case50 見て見ぬふりはいけません 』
バイトも終わり、帰る途中で学校帰りの小学生が数人遊んでいた。
雪合戦をしているのだろうか、雪玉を作っては、一人に向かって投げつけていく。
ただ、違和感を覚えたのは、投げつけられている子が一方的にやられていることだった。やり返すそぶりさえない。
僕が進んだ道の先で行われていたので、近くまで行くと小学生達の話し声も聞こえるようになってきた。
「ほら、やり返せるならやり返したみろよ!」
明らかにやんちゃそうな子が雪玉を投げながら言い、やられている子が泣きそうな声で「やめてよ…………」と言っていた。
明らかに遊んでいる感じてはなく、やられている子がいじめられているようにしか思えなくなってきた。
ついにやられている子は泣き出してしまったが、回りの子達はそれを見て笑っている。もうこれは決まりだと思って雪玉を投げようとしている子の腕をつかみ、
「あの子、泣いてるじゃないか!
やりすぎだよ、君たち。これはいじめだよ。」
いきなり現れた大人に驚いたのか、さっきまで笑っていた子達もヤバイと思ったのか、走って逃げていった。
僕は泣いている子に近づいて、
「大丈夫?
僕、余計なことしたかな?」
「ううん、ありがとうございます。
朝から、雪の中に押し倒されたりとか、鞄に雪を入れられたりして困ってたんです。」
「いつも………えーと、ひどいことをされてるの?」
「はい、でも、先生に言っても遊んでるだけって言われて、何にもしてくれなくて……………………」
「そっか、ひどい先生だね。
でも、大丈夫だよ。悪いことをした人には天罰が下るんだ。
あの子達も、先生もきっとひどい目に遭うよ。」
僕は泣いている子に優しく微笑み、その場を離れて、
・対象
いじめをしていた小学生達。
・行為
雪玉をぶつけたり、鞄に雪をいれたりしていじめをした。
・天罰内容
気温が上昇して、屋根の上の雪が落ちてきてぶつかり怪我をする。
・対象
先生。
・行為
いじめを放置した。
・天罰内容
校庭に停めていた車に屋根の雪が落ちてフロントガラスが割れて、車の外壁にもキズがつく。
僕は心のなかで『実行』と言い、その場から離れながら、
いじめは常に加害者が遊びだと思っていることが多い。被害者が嫌だと思えばいじめだし、いじめられたと思えばいじめなのである。
相手がどう思うのか、こんなことをしたらいやがるんじゃないか、自分は面白いと思っているが相手はどうなのか、子供にそんなことを考えて行動しろとは言えないが、少なくとも相手のこともちゃんと考えられるような子供が増えて欲しいと思う。
いじめは行為の内容にもよるが、暴行罪、名誉毀損罪、器物損壊罪、傷害罪、脅迫罪、恐喝罪、強要罪等、挙げ始めればきりがないほどの犯罪行為なのである。
いじめられた子が自殺したとしたなら、それに関しては殺人罪は適用できないが少なくとも自殺に追い込んだ者が責任を追求されるべきだし、子供を守るべき教師が見て見ぬふりをするだとかなかったことにするようなことがあってはならない。
いけないことはいけないと教えるべきだし、子供にものを教える教師の言動、行動を子供達は見ているのだから、間違ったことをしてはいけない。
誰かを傷つけるようなことを言うのも、何か不都合なことがあったら隠蔽することのような、大人の汚い部分を子供には見せてはいけない。
悪いことは悪いと教え、こんなことはしてはいけないと子供に教えるのも教師の勤めなのではないかと僕はどうしても思ってしまった。
大雪が降って、そのあと気温が上がると落雪の危険があるので、皆さんどうか頭上には注意してください。




