表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
60/136

『遭遇』

 バイト先に向かって歩いていると、目の前をフードを被った人が歩いている。少し寒い季節になってきたのでだろうか、それともフードを被るというファッションなのかは僕にはわからなかった。

 ただ、フラフラと歩いているのがとても気になったのだ

 フードを被った人の前からチャラい感じの男が数人やって来て、フードの人にぶつかって、フードの人は倒れた。

 ぶつかった男達は謝りもせずにそのまま通りすぎてしまった。

フードの人は倒れたまま起き上がることができないのか、四つん這いになって地面を見ている感じになっていた。

 何か怪我をしたのかと思い、僕はフードの人に向かって走り出した。


「なんだよ、あいつマジキモい。」

 ぶつかった奴が言う。ぶつかったのはそっちなのに何で被害者のボクが『キモい』とか言われなきゃいけないんだ。

「死ね、死ね、死ね、死ね、ボクにぶつかった奴とそれを見て一緒に笑ってたあの男達、交差点で見えない何かに押されて車に轢かれて死ね。」

 ボクが言い終わったところに20代くらいの男の人が駆け寄ってきて、

「大丈夫ですか?怪我されたんですか?」

「あ、えっ、えっと、だ、大丈夫です。

 ちょっと気分が悪かっただけですから。」

「そうですか。それならよかったです。お大事にしてください。」

「ありがとう……………ございます。」

 ボクが答えると、男の人は僕に笑顔を向けて、離れていった。

 はじめてな気がする。誰かに心配して声をかけられたことも、優しく微笑んでもらえたことも。

 人間なんてみんな死ねば良いと思っていたし、それは今でも変わらないが、あんな人もいるなら全滅でなくても良いのかもしれないと思いながら、ボク、志士上(シシガミ) (ゼツ)は思った。


 僕は少し悩んでしまった。フードの人は顔色がとても悪い10代の男の子だった。未成年で体調が悪そうな彼をあのままにしておくべきではなかったのではないだろうか?

 さらに小さな声だったから、完全には聞き取れなかったが、あの少年は確かに『死ね』と言っていた。

 確かにぶつかられたことに対して苛立つ気持ちもわかるし、同じ状況なら僕も言ったかもしれない。

 あの男たちも悪いけど、簡単に死ねとか言ってしまう現代の若い子にも少し不安を感じながら、後ろを振り返るとフードの少年は消えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ