『case43 詰まったトイレ』
こんな話をするのは実に不愉快であり、できればしたくないが、先程から何度もレバーを引くが流れる気配がない。
お腹が痛かったので駅のトイレに入った。古い駅だからトイレもたくさんあるわけではなく、洋式と和式が一つずつしかないので、和式でしかしたことのない僕は迷わず洋式の個室に入った。
しかし、便座に座ろうとすると先客の残していったものがあり、少し気分が悪くなる。
名古屋に行ったときも便器の中にトイレットペーパーだけが浮いていて意味がわからなかった時があり、流れないのかと不安になったことがあった。あとで聞いた話だが、鼻をトイレットペーパーでかんだあと、それだけで流すのがもったいないと考える人達がいるらしく、そのままにする人がいるらしい。
だがこれは、全く問題が別で、排泄したものをそのまま残していくのはどんな理由があっても許せない。
そして僕はレバーを引いたが、冒頭に戻り、流れる気配がない。
つまり、これは先客が詰まらせたまま何の対処もせずにそのまま立ち去ったことを意味しているのだと思う。
お腹さえいたくなければ、他の場所を探したり、こんなに苛立つこともなかっただろう。
人はピンチの時ほど、視野が狭くなり、いつもと違うことをしてしまうものなんだと思う。
僕は大急ぎで、トイレを出て近くのコンビニに向かった。
運良く、コンビニのトイレは空いていたので店員に言ってトイレを借りた。トイレから出て、落ち着いたところで苛立ちがぶり返してきた。
確かにトイレを詰まらせてしまったことは恥ずかしくて言いたくないという気持ちもかなりわかるが、その状態を放置してしまうと次に使う人が大変なことになりかねない。
僕はたまたま余裕があったが、急に下ってしまった人や我慢できなかった人がいたら、トイレを詰まらせたこと以上に恥ずかしいことになるのは間違いない。
最近の新しいトイレなら詰まることの方が珍しいのかもしれないが古いトイレなら詰まることの方が多いものもある。
そういうものはできるだけ新しいものに変えて欲しいと心から思いながらも、『他の人のことを全く考えない』行為には天罰が必要だと思い、天罰を下すことにした。
・天罰対象
トイレの利用客
・行為
トイレを詰まらせたまま放置した。
・天罰内容
急にお腹が痛くなり、トイレに駆け込んだがトイレが詰まっていて使えなかった。
僕は『実行』と言って、今の自分の状況を考えると、トイレが詰まってることを知りながら、何もしていないのと一緒だと思い、電車に乗るために駅に戻ったついでに駅員にトイレが詰まっていることを教えた。




