『A級神様』
僕はヘトヘトになりながら、自宅に戻り、ベッドに倒れこんだ。
「無茶のしすぎだな。
今の状態なら、俺がなぜフリープレーシステムのことを話さなかったかわかるだろう?」
珍しく出てきた神使がベッドの上の僕を見下しながら言った。
「どうしたんですか?出てくるのなんて珍しいですね。」
「今日の天罰で、お前のランクBからAになったのでな。
晴れて上級神の仲間入りだ。おめでとう、もう別に頑張る必要は……」
神使の言葉の途中で僕は起き上がり、パソコンをつけて『神様ゲーム』を起動した。
昨日の累計経験値が1560だったので、1800ま300でだったのだから当然と言えば当然だが、今日の天罰の評価を見ていく。
『case34 開かない扉』
評価 A
事案発掘評価 S
経験値 通常(70)+事案発掘(40)=110
『詳細』
『case35 守られない信号』
評価 A
事案発掘評価 B
経験値 通常(60)+事案発掘(20)=80
『詳細』
『case36 散らばった破片』
評価 A
事案発掘評価A
経験値 通常(70)+事案発掘(30)=100
『詳細』
『case37 高速カーブ』
評価 S
事案発掘評価 A
経験値 通常(90」+事案発掘(30)=120
『詳細』
『case38 縦列停車?』
評価 B
事案発掘評価 B
経験値 通常(50)+事案発掘(20)=70
現時点での総括
獲得経験値 480
累計経験値 2040
おめでとうございます、あなたは『A級神様』に昇格しました。
神使の言った通り、A級になっていた。すると神使が
「ついでだから、ランク確認もしたらどうだ?」
僕は言われるままにランク確認システムに移ってみると、
一位は以前と変わらず『シシガ三』で7080とダントツだった。
二位の人が『ニジカワ トイロ』で5600だった。以前見たときの二位はこの人ではなかったので、最近上って来た人なのだろう。
僕は自分の名前を探してしたに順位を下げていくと15位のところで見つけた。
そこで神使に向かって
「A級になると何か良いことがあるんですか?」
「ゲームを有利に進めるような機能が追加されることはない。
あるとするなら、それはお前の『神の力』が顕現することだろうな。
ついでに言うと『神の力』で、天罰を下すとボーナスポイントがつく。
『シシガ三』は、その力で経験値をあげているのでダントツだな。
二位のやつも上手いこと『神の力』を使っているので躍進してきたと言ったところだ。
お前も早く身に付けておいた方がいい。
本戦は、『神の力』をいかに使いこなせているかが、勝負を分けることになるからな。
今のうちに自分の力を知り、そして使いこなしておいた方がいい。」
「本戦はどんなことをすんですか?」
「今まで通りなら、直接バトルという感じだろうが、これもゼウスが決めることなので、今のところ俺にもわからない」
「どうやったら力は手にはいるんですか?」
「個人差があるし、一概には言えないと何度もいってる気がするが、
まずは、自分とは何かを自分に問いかけろ。
わからなければ、お前のルーツに問いかけろ。
わからないことは知っている人間に聞け。」
「あなたにですか?」
「俺は人間じゃない。
お前の生まれる前からお前を知っている人間がいるだろう。
ヒントはここまでだ。自分で考えろ、その人に聞きたくなければ、自分だけで答えを見つけることだ。」
神使はそう言うと光に包まれて消えていった。
僕は一人で考えながら、
「僕が生まれる前から僕を知っている人…………………」
そう呟くと、脳裏に優しく微笑み、僕を呼んでいる女性が浮かんだ。
浮かんだ瞬間に僕は首を振り、その存在を頭から消した。
そして決意を込めて
「僕は自分だけの力で見つけてやるよ、僕の力を」
そう言ってパソコンを閉じて、そのままベッドに倒れこんで寝てしまった。




