『case27 ポイ捨てのタバコ』
今日もバイト終わりに3つ目のcaseをやろうとしたところで、累計経験値が990まで来ていることに気がついた。
前回、ランク確認をした時に上位30人に入っている人たちはみんな1000を超えていた。あれからまだ3日か4日しか経っていないから、30位くらいの人なら、射程に入るくらいには頑張っていると思う。
このcaseでどれだけの経験値が獲得できるかはわからないが、低い評価ならもう一個くらいしても、今日の疲労状態でも大丈夫だろう。
今日のペースならノルマの1日300の経験値もあと二回くらいでいける気がするので、とりあえずこのcaseを終わらせることにして、内容を見る。
「case27 20代男性。
歩きながらタバコを吸い、路上にポイ捨てをした。」
路上の喫煙に関しては、case18でも触れた気がする。タバコを吸うこと自体に文句を言う気はないが、ケムリを吸って不快な思いをする人がいるなら時と場所は選ばなければいけないのだろう。
世の中には色んな病気を抱えている人がたくさんいる。それが肺や気管支などの呼吸器系の病気ならタバコのケムリだけで体調が悪くなる人だっている。
例えば、喘息を抱えている人は気温の多少の変化でも体調を崩す人もいる。タバコのケムリのように人体に有害なものなら喘息の発作に繋がる危険性すら持っている。
最近はストレス社会であり、ストレス性の喘息というものもあるらしい。つまり、喘息予備軍は世の中にたくさんいるということなのだ。
自分が喘息と気がついていない人もいて、そういう人の中から肺炎や呼吸器の病気になり亡くなられる人もまだたくさんいるようだ。
その人が病気かどうかは外見からは判断できない。町中ですれ違う人が持病を持っていることだってあるだろうし、自分の何気ない行為によって、症状が悪化することだってありえるのだ。
マナーの悪い喫煙者の存在が、受動喫煙を社会問題にし、分煙化が進み、喫煙スペースが作られ、喫煙者は建物のすみに追いやられている。
公共機関では全面喫煙禁止の場所が増え、民間の建物でも段々と喫煙者の居場所はなくなってきている。
今回のcaseは、ポイ捨てが重要だと思うので、そっちの方を考えると、タバコの吸い殻は土には還らない。そうすると誰かが拾うか、雨に流されない限り、そこにあり続けることになる。
路上で喫煙する人のなかには吸殻を処理するためのケースを持ち歩いている人もいる。そのケースを使って吸殻を適切に処理するなら文句は言わない。たた、さっきも思ったが路上では建物のようにケムリが留まらないから、ケムリで迷惑する人がいないというわけではない。
その臭いだけで不快感を感じる人もいるし、体調が悪くなる人だっている。その事だけはしっかりと考えて貰いたいものだ。
『ポイ捨て』と簡単に言っているが、これは不法投棄であることに間違いはない。要するに犯罪行為なのだ。
そう考えると、『重度』で厳しい目に遭う必要があると考え、『重度』を選択した。
1.タバコの火の処理があまく、家が軽焼する。
2.ポイ捨てしたタバコの火の処理があまく、散歩中の犬に当たり、犬に火傷を負わしてしまい、器物損壊罪で告訴される。
3.空地にポイ捨てしたところ、火の処理があまく、空地の草に引火して空地が燃える騒ぎになり、放火罪で捕まる。
家が燃えると簡単に言っても、燃えて欲しくない物が燃えればそれだけでかなりのお金が修繕に必要になるし、実際にタバコの火が原因での火事というのはよく聞く話だから、起こり得るのだろう。
自分のタバコの不始末が原因なら、タバコの処理に関しても考えるのだろうが、それはあくまで普段からの処理の問題であって、ポイ捨てをしたこととは結びつかないので、このcaseの天罰としてはあまり適切でない気がする。
散歩中の犬に当たり、火傷を負わせて器物損壊罪で訴えられるというのも、世間に広がれば信用をなくすには十分なくらいの結果だと思う。ポイ捨てをした結果で訴えられるのだから、その反省は裁判を通して促されるため効果は十分な気がするが、犬が可哀想だ。
それなら同じように犯罪として処罰される3の方が良いと思う。
空地が少し燃えたくらいなら、持ち主としては困るかも知らないが、被害も大きくなさそうなので、3を選択して『決定ボタン』を押した。
確認画面に進み、
・天罰対象
20代男性。
・行為
タバコのポイ捨て
・天罰内容
空地にポイ捨てしたところ、火の処理があまく、空地の草に引火して空地が燃える騒ぎになり、放火罪で捕まる。
僕は『⚡』ボタンを押し、雷が三本落ちた。『結果報告』が表示され、
「20代男性は、いつもシガレットケースを持ち歩かずに路上で喫煙していました。吸殻は基本的に溝や水気の多いところに捨てていましたが、その日は近くにそういった場所がなく、適当に捨てたところ、草に引火してボヤ騒ぎになり、警察が来たときに、近くにいた人にポイ捨てしたことを言われて、男性は警察に捕まりました。
今回の評価はAです。経験値を80獲得しました。」
水気の多いところに捨てていても、ポイ捨てはポイ捨てであり、場所がどうという問題ではない。ポイ捨てをしてはいけないという事実だけがそこにあって、それに気がつかなかったのだから、男性が悪いのだろう。『評価内容』に進み、
「今回の天罰は、日常の町中で誰が捨てたのかわからないがそこにあるタバコの吸殻に対して誰が責任を持つのかという問題がありました。
落ちているものを片付けない近所の人なのか、道を管理している行政なのか。いえ、どっちも違います。
責任を負うべきなのは捨てた人なのです。その人が捨てなければ、そこにごみがあることはなかったわけですから。
特にタバコは火を使うものです。タバコが原因の火事も無くならないのが現実です。そんな中で、対象の男性はずっとタバコのポイ捨てをし続けてきたわけです。火事などか起きていなかったのは、ただ運が良かったからだと考えるべきなのです。
放火罪は大変に重い罪です。犯罪の類型として、国家に対する罪、個人に対する罪、社会に対する罪とその対象毎に分類されます。放火罪は個人の物を焼失させるだけでなく、延焼することによって社会全体に悪影響を及ぼすことから、現住建造物、つまり、人が住んでいる建物や人が多くいる建物に放火したら最高刑で死刑もあり得る犯罪であり、今回のcaseでは、空地で建物等もないような場所への放火の場合でも一年以上十年以下の懲役刑が科されるほどの重罪です。
たかがポイ捨て、されどポイ捨てなのです。
男性は普段からタバコをポイ捨てしていたことから常習性があり、普段は水気の多いところに捨てていたことから発火する危険性を認識していたと判断されれば、情状酌量の余地が少なくなり実刑判決が出る可能性もあります。
一年でも刑務所にはいれば、出てきた彼は放火犯の汚名と前科がつき、今後の人生も暗いものになるかもしれません。
しかし、それくらいに危険な行為を軽はずみに行っていたのだと彼が気づくのはパトカーのなか、あるいは拘置所のなかなのでしょう。
世間から危険なポイ捨てがなくなればいいですね。」
おい、このまとめ方はなんだ?と疑問に感じた。確かに危険を伴うようなポイ捨てがなくなることは重要なことだが、いきなりそんなまとめ方をしたのにも納得できない部分が僕にはあった。
とりあえず、評価がAで80の経験値を得たことで、累計経験値が1070になったので、あともうひとつくらいcaseをして、ランク確認をすることにして、次に進んだ。




