『case19 怒鳴り込む親』
日野さんのが言っていたように、危険な考えを持った人が『ゼウス』になれば、大変なことになる。
その人がどんな『神の力』を手に入れるかわからないし、自分がどんな力を得るのかもわからないが同じ土俵に立っていなければ、戦うにしても、説得するにしても効力がないと思い、とりあえずB級になろうと思い、『神様ゲーム』を進めていた。
「case19 30代女性。
小学生の息子のクラスで、何かあると学校に乗り込み、自分の子供だけ、特別扱いするように要求する。」
世にいう『モンスターペアレント』というやつなのだろう。
子供を大切にすることは何もおかしいことではない。
逆に虐待等を行う親が増えているのかもしれない。そういう意味ではモンスターペアレントの方がまだ『自分の』子供を大切にしているのだからマシなのだろう。
無理難題を言われる教師や他の保護者からすれば迷惑以外の何者でもないのだろう。
しかし、『モンスターペアレント』のせいで辞職したり、自殺したりする先生もいる。そう考えると放置することは子供のためにならないので『重度』を選択した。
1.家に嫌がらせをされるようになる。
2.子供に叱られる。
3.自転車で転んで大怪我をする。
3は、おそらく意味がないだろう。
『モンスターペアレント』であることを反省させなければいけないのだから、無関係なところで自転車で転んでも反省を促すことはできない。大怪我をしたところで、『運が悪かった』と思うだけだろう。
1もなぜ嫌がらせがされているのかに気づけないのであれば、意味がないだろう。
2はというと、自分の子供のためにしたことで、逆に怒られるのであれば、種類はわからないが何かしらのショックを受けることは間違いない。
そう思い、2を選択して『決定ボタン』を押した。
確認画面に進み、
・天罰対象
30代女性
・行為
『モンスターペアレント』
・天罰内容
子供に叱られる。
僕は『⚡』ボタンを押した。雷が三本落ちて、『結果報告』が表示される。
「30代女性は、自分の子供がかわいいあまり、学校で何かあるたびに、担任教師にあれこれと無理難題を言っていました。
地域で有名な『モンスターペアレント』になったため、子供の友達が減り、さらにクラスでいじめられるようになりました。
その事について、怒鳴りこんだ女性を待っていたのは、愛する我が子からの強烈な一言でした。
『お母さんがモンスターペアレントだから、友達もいなくなって、いじめられるようになったんだ。
お母さんなんてもう死んじゃえ‼』
女性はショックを受けて、それ以降、学校に現れることはなくなりました。
今回の評価はAです。経験値を50獲得しました。」
結果としては、A評価なのだから悪くはないのだろうが、経験値が少ないような気がした。
B級に上がるまであと10というところだ。
A評価なのだから一気に60もらえても良いのではないかと思いながら、『評価内容』に進んだ。
「今回の行為は、自分の子供だけが特別で大切なのだと思ってしまう親に対しての天罰でした。
子供を大切にすること自体は悪いことではないですし、自分の不遇を子供に向けて発散してしまう親もいます。
身体的な虐待だけでなく、精神的に追い詰めるようなモノも虐待なのではないでしょうか。
親が世間から『モンスターペアレント』だと判断されれば関わりたくないと思う他の保護者が子供に遊ばないように言ったり、『結果』のようにいじめられたりもするでしょう。
親の行為が子供を精神的に追い詰める事もあるのです。
自分の行為が、子供のためと思うなら、再度、子供にマイナスにならないかを考え直すことが必要なのです。
大人の行為を子供は見ています。守りたい子供がいるなら人の手本になるような親を目指した方が良いのでしょうね。
そういう意味では、今回の女性は自分の子供のためと思ってしていたことが世間から批判されることであり、大人としてどうなのかという判断がされてしまっていたのでしょう。
大人の言うことを子供は悪意を持たずに受け止めてしまいます。
子供が加害者にならないようにするためにも大人は発言にも気を付ける必要があるのでしょう。
子供からの言葉で女性は『モンスターペアレント』的な行動をしなくなったので評価はAでした。」
大人とはなんなのだろうか、成人していたら大人なのだろうか?
外見的に大きければ大人なのだろうか?
その判断は難しいが、普段から話す内容を子供たちがどのように受け止めるのかを考えながら話す必要というのはあるのだろう。
子供を間違った方向に導かないためにも言葉というものは重要なのだ。
天野がバイトに明け暮れているとき、別の場所で・・・
町中で見える天罰は地獄のようなものばかりだ。
逆に言うなら、この人達はこんな天罰を受けるような事を今までしてきているということなのだろう。
そんな人が町中に一人二人ではなく、見える範囲いっぱいにいる。
人間とはこんなに下らない生き物なのだ。常に誰かに迷惑をかけ、それを自覚することもなく、神からの天罰を天罰だとも知らずに受けているのだろう。
こんな人間に生きている意味などあるのだろうか?
自分達の都合で動物を殺し、自然を破壊する、そんな人間がこの星を破滅に導いているのではないだろうか。
考えれば考えるほど人間の価値などない気がする。
男は空を見上げて、
「人間はこの星にはいらない。」
と呟いた。




