やれないゲーム
『C級神様』になった次の日、飲食店のバイトに行き、休憩中に佐藤君とゲームの話をしていた。
自然と『神様ゲーム』の話になり、僕は今までに感じた不安を佐藤君に話した。
「それで僕が下した天罰と同じようなことが、僕の身の周りで起きたりするんだよ。これってどう思う?」
「でも天野さん、ゲームで選んだことが現実に起こるなんてあり得ないですよ。
どんな仕組みなんだって話でしょ?」
「それはそうだけどさ。偶々では片付けられないぐらい同じことが起きてるんだよ。」
「よくあることを題材にしているゲームなら、そういうこともあるんじゃないですか。」
「迷惑な行為については、そうかもしれないけど天罰に関してはどう説明するの?」
「・・・、そ、それは僕にもわからないですけど・・・」
佐藤君が言いよどんだところで、鈴木さんが会話に入ってきて、
「何、またゲームの話?」
「天野さんが例のゲームがおかしいっていうんですよ。
自分が下した天罰と同じようなことが起こってるって・・・」
鈴木さんが僕を見てから、
「天野君さ、そのゲームをしてる他の人は見つかった?」
「い、いえまだです。
色んなコミュニティで聞いてるんですけど誰も知らないって・・・」
「俺の知り合いにさ、日野君って人がいるんだけど、彼もそのゲームやってるって言ってたよ。」
「本当ですか?」
「うん、この間、日野君の家で見せてもらってさ、やってみたんだけど、俺が操作しようとするとパソコンがフリーズして全くできなかったんだよ。」
「その日野さんのパソコンがダメだったんですか?」
佐藤君が聞き、鈴木さんが首を横に振る。
「それがさ、日野君が操作すると全くフリーズしないんだよ。
まるで、日野君にしかやらせないぞみたいな感じなんだよね。」
「そんなゲーム聞いたことないですよ。
わかりましたよ、二人で僕をからかってるんですね?」
「いや、ほんとなんだって、もしかしたら本当にただのゲームじゃなくて、何か特別なゲームなのかもしれないよ。」
鈴木さんが必死になって言う。
「佐藤くんも今度僕の家に来て試してみればいいんだよ。」
「ええ、いいですよ。
僕がその謎なゲームを解明して見せますよ。」
「そう言えば、日野君がこの前変な夢を見たらしいよ。」
突然思い出したように鈴木さんが言い、佐藤君が疑うように
「どんな夢ですか?」
「なんか、1000年に一度のお祭りが開催されて、それに参加してる夢だったんだけどさ・・・」
鈴木さんが言ったことに衝撃を受けて、僕が
「それって、『ゼウス』を決めるお祭りですか?」
「そう、それだよ。何で知ってるの?」
鈴木さんが驚いて聞く、
「僕もその夢を見たことがあります。
確か今は一次予選をやってて、『C級神様』になると一次予選を突破するんだったと思います。」
「それで天野さんは今はどの神様なんですか?」
佐藤君が聞き、僕は昨日のことを思い出して、
「昨日、『C級神様』になったところだよ。」
「ってことは、夢が本当なら一次予選突破ってことだよな?」
「そうなりますね・・・」
三人の間に沈黙が広がったとき、店長が来て
「ごめん、混んできたから、少しはやいけど入ってくれる?」
「了解です。」
僕たちは声をあわせて答えた。




