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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『case11 道を渡るおじさん』

色々な不安を感じながらも僕は『神様ゲーム』を起動していた。

誰も知らないゲームが、もしかしたら誰でも知れるゲームではないのかもしれない。

あの時の夢を思い出したが、そんな非現実的なことなどあるわけがない。

そんなことを思いながら、画面を見る。

「case11 中年男性

車通りの多い道を横断歩道ではないところを渡る。

車の運転手からすると危ない行為を日常的に行っている。」

横断歩道があまりない様なところではよく見かける光景だと思うし、僕もやってしまっていることだからあまり言えないなと思った。

しかし、車通りの多い道なら信号もあるだろうし、横断歩道の感覚もそれほど広くはないのではないだろうか?

そうだとするなら、少し我慢して信号のある横断歩道のを渡る方が安全だし、車の運転手から見ても安心できるのだろうな。

それなら、このおじさんの行為は運転手側の迷惑を考えると天罰が必要なのだろうと思い、『中』を選択した。


1.物凄く速い車が来て轢かれそうになる。

2.自分が運転している時に、同じような行為をしている人を轢いてしまう。

3.目の前で、大事な人が車に轢かれる。


何だろう、何かがおかしい。いつもなら無害なものがひとつくらい含まれているはずなのに今回はひとつもない。

一番マシなので轢かれそうになるくらいで、後は加害者になるか大事な人が事故に遭うというとても悲しいものだ。

評価を気にするなら、2か3だと思う。

でも、前回のことがあったから実際に起きてしまうと大変なものは選べない。

1を選択して『決定ボタン』を押す。確認画面へと進み、


・対象

中年男性

・行為

車通りの多い道を横断歩道でないところを渡る。

・天罰内容

物凄く速い車が来て轢かれそうになる。


『⚡』ボタンを押し『結果報告』と表示される。

「中年男性は道路を横断しようとしたところ、明らかにスピード違反の車が走ってきて危うく轢かれるところでした。

今回の評価はD評価です。経験値を10獲得しました。」

やはり思った通りの評価だった。

ゆるい天罰だったので、評価は高くない。

『評価内容』に進み、

「今回の天罰は、おじさん自身が危ない目にあっていますが、それに関して自分の行いがもとになっていたことを自覚していない、悪いのはスピード違反の車だと思うでしょう。

誰かの迷惑な行いに罰を与えるための天罰が、他の誰かの迷惑行為によって相殺させることは悪い手段ではありませんが、天罰を受けたことによって改心させることは重要です。

天罰対象の身の安全や、対象の周囲の人間のことを考えていたのでは良い天罰は下せません。

次回からは、行為に対しての罰として最適なものは何かを判断すると良いでしょう。」

このゲームのおかしなところは、ここにもある。

よくよく考えると、画面で選択するだけのゲームなのに、まるで僕の考えを見透かしたような『評価内容』が表示されるところだ。

普通に考えて、こんなことができる訳がない。

プレーヤーが10人いれば10通りの答えがあるし、そこに行き着くまでの過程も人それぞれのはずだ。

そうなるとこのゲームは、すべての人の考えに対してのコメントができる機能を持っていることになる。

考えれば考えるほど答えは遠退いていくような感じがして、パソコンを閉じた。


天罰を下した翌日・・・

「こんな道、あんなスピードで走ってんじゃねぇよ。」

そんなことをぶつくさと言っている中年男性とすれ違った。


気のせいだ、同じことはどこの誰にも起こり得ることだ、そういい聞かせて僕はバイトに向かった。

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