『天野VSコト・アレキ②』
僕は剣をいったんしまって、両手を左右に広げた。
『破壊竜巻』
僕が技名を言うと僕の掌から
竜巻が発生して僕を取り囲んでいた敵に向かって猛スピードで突進していった。何人かは避けきれずに竜巻にのまれた。
名前の通り、竜巻にぶつかるだけでダメージを負わせ、更に風で巻き上げて地面への落下させることで気絶させることができる技だ。
竜巻の風を斬撃に変えれば竜巻にのまれてる間にも攻撃できるが、今回はその能力は付加せずに放った。
目的が討伐ではなく制圧することにある以上は殺さないようにしなければいけない。
僕が起こした竜巻の音でコトの音楽が聞き取れなくなったのか、竜巻を避けた人達の動きが鈍くなった。
この事から推測するにコトのサポート能力は常に音色が聞こえていないと効果が無くなるものなのかもしれない。
実際にコトは戦闘が始まってからもずっと弾き続けている。
音色を聞かせてパワーアップさせるなら最初に聞かせて必要に応じて更なるパワーアップの曲を追加すれば良い。
弾き続けているという事はそうしないと効果が切れるという表れだと思った。
さっきまで僕に向かって突っ込んで来ていたアレキも今はコトの前に立って守っているように見える。
竜巻がおさまるとコトは少し強めの音色を弾き始めた。
効果が薄くなった仲間にもう一度、強化しているように見えた。
「コト、君のサポート能力の限界が今の攻撃でわかったよ。
諦めて降参してくれないかな?」
「なるほど、さすがはゼウスですね。
でも、忘れてますよ。
私はあなたと一対一で戦っている訳ではありません。
それに能力が劣っている事は既に承知済みですから、諦める理由にはなりませんよ。」
僕は真剣に戦おうと思っていながらもどこかで諦めて降参してくれないかと思っていた。
アレキが
「僕を無視してコトの能力さえ押さえれば勝てると思われてるのは心外ですよ。」
アレキは空に向かって剣を掲げた。空に黒い塊が現れて、ゴロゴロと音をたて始めた。一瞬で雷雲を造り上げたようだ。
次の瞬間、アレキの剣に雷が落ちた。
アレキの剣に雷が溜まり眩しいほどの閃光を放っている。
アレキは剣を振り下ろし「雷号砲」と叫ぶと、凝縮された雷が僕に向かって放たれた。
かなりの出力があるのか僕に向かって来る間もゴロゴロという音が鳴り響いている。
僕は避雷針を想像して3つほど造り出した。敵の攻撃である以上、狙ったマトに向かって進むだろうがやらないよりはましだと思った。一筋の雷の塊から少しだけ放電されたが意味はあまりなかった。
雷に効力のある防壁を考えたがあの威力を防ぐためには土の壁が効果的だとわかっていたが、地井さんからはまともに能力を受け取れなかったため、どうやればいいのかもわからない。
とりあえず、風の壁を何重にも張って到達を遅め、同じ雷での相殺を試みた。
『破壊竜巻』をぶつけて動きを止めてから、雷を連続で落とした。20発以上の雷がぶつかってようやくアレキの攻撃を阻止できた。
かなり体力を消耗してしまった。この攻撃が何発も撃てるなら多人数と戦っている僕は圧倒的に不利だ。
しかし、アレキもかなりの疲れが見てとれた。
しかし、コトの能力で直ぐに回復したようだ。この戦いを終わらせるためにはまずはコトをどうにかしないといけない。
だが、そのためには周りを囲んでいる敵を突破して、アレキを越えないといけない。僕は両手をもう一度広げて、今度は『ソナーウィンド』と言った。風を使って周囲の状況を知るための技だ。
敵はコトとアレキを含めて、あと8人。
僕はある事に気がついて、手を空に向けた。僕を中心とした空一面に雲が生まれて、雲から大量の雨が降り始めた。
名前をつけるような技ではなく、天候を操る天野家の基礎能力だが、大量の雨を降らせることにより、敵の視界を阻み、雨音でコトの能力も少しだけだが阻む事ができた。僕は雷を板状にしてそれに乗りスケボーのような要領でアレキに向かって突っ込んだ。
それを見て僕を囲んでいた敵が一斉に僕に向かって技を放とうとした時、空から『メテオシュート』という声がして、直径3センチほどの隕石が僕の周りの敵を倒していった。
「星君、大丈夫?」
優輝ちゃんが空から降りてきて聞いた。僕はさっきのソナーウィンドで優輝ちゃん達がこっちに向かっているのがわかっていたから、敵に援軍を悟らせないために雨を降らせていた。
「大丈夫。あと二人だ。
早く倒して、カナミさんの所に行かなきゃ。」
僕が言うとゴロゴロという大きな音がして、先程よりも眩しい光が極太の筋となって空から降ってきた。
「そんなことはさせません。
僕達がが必ずあなた方をここで止める。」
アレキはそう言うと、剣を僕らに向けて
「これで終わりだ~、『雷号砲』」
アレキの叫びと共に先程の3倍くらいの太さと速さで僕達に向かって進んできていたが、地面がいきなり隆起して小さな山ができた。
山の頂上が赤くなり出し、どんどんと膨らんでいる。
『大噴火』の一声で山の頂上は爆発し、火砕流がアレキやコトの方に流れ込んだ。
「今だ、やっちまえ。」
地井さんが叫ぶ前から僕は動き始めていた。雷のスケボーを全速力で飛ばして、火砕流を避けたアレキに剣の峰の部分で峰打ちをした。スピードもあったので威力はとても強く、アレキを吹き飛び、コトがそれを追いかけた。
僕はそれを追いかけて、アレキを受け止めたコトごと、『ウィンドチェーン』と叫んで風の鎖で二人をぐるぐる巻きにした。
二人を安全な場所におろしてから、
「地井さん、この二人をお願いします。」
そう言って、僕は式典の会場めがけて猛スピードで移動を開始した。




