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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
神器創造戦

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『カグチの要求』

少し歩いた所に今にも倒れそうな小屋があり、カグチさんはそこに入って行った。僕と虹川さんも続いて小屋に入ると中は外見からは想像できないほどにきれいな空間になっていた。

 驚いて周りを見渡しているとカグチさんが

「部下に空間を自由に操れるやつがいてな。

 そいつの趣味みたいな感じだ。」

「すごい能力ですね。

 広さとか綺麗さまで管理できるんですか?」

 カグチさんは大きな声で笑って

「このボロ小屋にこの広さの空間があることと部屋の内装がきれいにされてることは違うやつらの力の話だよ。

 何でも一人でできると思ってると足元すくわれるぞ。」

「ゼウスになってから一人でできないことが多すぎるので、そこに関しては大丈夫だと思います。」

 僕が本音をつい口に出してしまったことを後悔してカグチさんを見ると、カグチさんは僕をじっと見てから、

「…………お前は親父とはまた違うんだな。

 前のゼウスも他の奴らと比べたら変わってたし、まともな奴だと思ったが、お前の親父より何倍もお前の方が弱いな。

 力がどうとか以前に、人は弱く脆いもんだ。

 身体が強くても心が弱いやつもいるし、逆に身体は弱くても心が強いやつもいる。

 人は自分の強さを理解して弱いところを支えてくれる仲間を探す。

 お前はきっと自分の強さより弱さを見つけるのが上手いんだよ。

 だから、一人でできないことが沢山あることを知ってる。」

「強くなります。

 でも、仲間もたくさん欲しいんです。

 僕ができることが少ないからって、皆さんに辛い目に遭ったままで良いなんて事はないと思ってるんです。」

 カグチは頭をかいて、

「で?

 お前は何の用で俺を探してたんだ?」

「僕には強さと皆さんの信頼が必要なんです。

 その両方を得るためにどうすれば良いかを考えた結果、皆さんから力を分けてもらって新たなゼウスハンマーを作って力を得るのと同時に力を分けても良いと認めてもらえるような信頼を得ていこうと思ってます。

 戦って力を示せと言われれば戦います。

 でも、僕はできるだけ戦いたくない。

 カグチさんが言ったように僕は弱いから、仲間がたくさん欲しいんです。だから、戦わずに友達になれるような手段を選びたいんです。」

「バカみたいな階級主義を掲げてるやつが多い中で、下から順に信頼を得ていけとでも、あのジジイに言われたのか?」

「長老さんに教えて貰ったことはきっかけです。

 ただ、何度話し合いに来ても相手にされなかった僕がこうしてカグチさんと話せてる事だけでも進展はあったと思ってます。」

「お前に1つ言っといてやる。

 俺はゼウスだからと言って特別扱いはしない。

 C級の神が集められた下層は常に差別と戦ってる。

 産まれたときの資質だったり、ゼウス決定戦の敗者だからと下に見られている者達にも意地があるし、押さえつけられた力が強いほど反発する力も強くなる。

 今までのゼウスは強力な力で押さえつけてばかりで、話すら聞いてもらえなかった。

 その反動で今さら話し合おうなんて言われても嫌がる奴がいたとしても責めることはできないと思う。」

「僕は………責めるつもりはありません。

 話を聞いてもらえないのも含めて僕の人望の無さが原因だと思ってます。」

「まぁ、お前がどんだけ自分を卑下しようが俺の知ったことじゃない。要はお前が俺の望みを叶えられるのか、それが重要なんだからな。」

「その………カグチさんが望む事ってなんですか?」

 僕は少し身構えた。言い合いになるほど難しい事だとわかっているし、カグチさんがケンカしていると教えてくれた人はどっちが悪いと言えないところに問題があると言っていたからだ。

 カグチさんは僕の様子を見て少し笑い、そして

「今回のゼウス決定戦で下層の住人が何人増えたか知ってるか?」

「えっ?

いえ、すみません。まだそこまで把握してなかったです。」

 僕が焦って言うと、カグチさんは笑いながら

「そんなことゼウスの把握することじゃねぇよ。

 でも、末端がどうなっているかを知らないと危険の感知が遅れるからできるどけ知っとけよ。

 今回のゼウス決定戦で下層の住人は400人増えた。

 今回は大量に神を作ってしまったから、その分働き手は増えたが、居住スペースが足りてない。

 元々、形見が狭い上に労働条件も最悪な下層では一気に人が増えて狭さが半端じゃなくなった。

 寝る場所が足りず、道端で寝てるやつもいるし、屋根のある場所にいる奴らも足を伸ばして寝ることもできないくらいにぎゅうぎゅうづめだ。」

「そ、そんな状態なんですね。

 じゃあ、下層の範囲を広げるとかそんな話ですか?」

 僕が聞くと、カグチさんは少し考えてから、

「当たりでもなく外れでもないな。

 ここに来る途中に草原とか森とかあっただろ?」

「ありましたね。中間層から来る途中で大きな壁に着くまでにあった所ですよね?」

「ああ、あそこは『フリーゾーン』って呼ばれてる、中間層の庭だ。

だが、階級主義の奴らは下層の近くに寄り付こうとはしない。

 だから、広大な草原や森があっても誰も使わない場所として存在してる。

 俺は何もその『フリーゾーン』を全部下層の範囲にしてくれと言ってるんじゃない。

 半分でも良いから俺達に使わせてくれと言ってるんだ。

 なのに、あの役人ときたら『自分の権限ではできない』だの『中間層の人達が納得しない』だの言ってなにもしやがらねぇ。

 寄り付きもしない場所をどう使っても文句を言うやつなんていないし、俺らは別に犯罪者とかヤバイ奴らの集まりでもない。

 近くに行ったからと言って攻撃もしないし、文句も言わない。

 どうだ?

 フリーゾーンを使わせない理由が何かあると思うか?」

「今の話だけ聞くとないと思います。

 ただ、中間層の人達がどう思っているのかも聞いてからじゃないと対処できませんから、今から行ってきます。」

 僕が言うとカグチさんは驚いて

「えっ?今から行くのか?

 俺が嘘ついてるとか疑わないのかよ。」

「今日、初めて会った人が嘘をついているかを僕が見分ける事はできません。

 でも、あんなに必死になってケンカする人が嘘をつくとは思いたくありません。

 それじゃあダメですか?」

「中間層の下層に一番近い町にカナミって男がいる。

 俺の昔からのダチで、あの辺の事を一番わかってる奴だ。

そいつに聞けば何でも教えてくれるよ。」

「ありがとうございます。」

 僕は頭を下げて小屋を出た。

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