case9 騒ぐ少女
「case9 中学生少女
授業中に近くの友達と大きな声で話して、周りの生徒が授業の内容が聞こえないようにした。」
友達と仲良くするのは別に構わないし、楽しく話すのは自由だと思う。でも、授業中にだと話は変わるのだろう。
その教科が苦手な子は一生懸命に授業を聞くだろうし、真面目に授業を受けている生徒の邪魔をしていいはずはない。
僕は『中』を選択した。
1.授業妨害をしたと見なされて、親が呼び出される。
2.内申点が下がって高校の推薦が貰えなくなる。
3.頑張っていたスポーツが怪我でできなくなる。
1は普通すぎるし、親が呼び出されても、騒いでいた本人に影響があるとするなら親に怒られることくらいだろう。
2は常習的に騒いでいない限り、内申が下げられるとは思えない。『下がって』ということは常習的に騒いでいたのだろう。
推薦が貰えなくても、一般で入学はできるだろう。
3は本人が痛い思いをするのと、精神的にも頑張っていたスポーツができなくなるのは辛いことなのだろう。
ただ、今までの努力が無駄になってしまうのは天罰として厳しすぎる気がした。
僕は2を選択して『決定ボタン』を押した。
・対象
中学生少女
・行為
授業中に騒ぐ。
・天罰内容
内申点が下がって高校の推薦が貰えなくなる。
僕が『⚡』ボタンを押し、雲から雷が二本落ちた。
『結果報告』と表示され、
「日常的に授業中騒いでいた少女は、先生からの注意にも耳を貸さなかったので、少女の知らないところで内申点が下がっており、高校受験時に指定校推薦を希望したが、担任の教師から内申点が低いことを理由に推薦できないと言われました。
彼女の学力では一般入試は受からないので希望校を変えることになりました。
今回の評価はCです。経験値を20獲得しました。」
2でC評価なのだとしたら、おそらく3がB評価だったのだろう。
つまり、少女に怪我をさせるべきだったということになるのだろう。
納得の行かない感じがして、『評価内容』を確認すると、
「今回の天罰は、少女の進路を大きく変えるものであり、少女が受けたショックは大きかったでしょう。
でも、彼女は元々届かないレベルの高校を希望していたのであり、指定校推薦を受けられていても受かった可能性は低かったでしょう。
受けられずにショックを受けるのと受けられたけど落ちてショックを受けるなら、受けることすらできなかった方がショックは軽かったでしょう。
スポーツを頑張っていたのであれば、礼儀や生活態度をしっかりしていなければ、その分野での活躍はそれ以上見込めなかったでしょう。
スポーツマンシップにのっとって、礼儀正しくあるべきだったので3でも良かったかもしれませんでした。」
この言い分なら、礼儀正しい人はスポーツにおいて大成するといっているように受け取れるし、活躍できなければやる意味がないかのような言いようで僕は気に入らなかった。
礼儀が悪くても、オリンピックに出た人はいたし、プロ選手でもこれってどうなんだという行為をする人はいる。
当然、試合や大会が終わった後で問題になったことはあるから礼儀正しい方がいいに決まっているが、努力を無駄にしていいということにはならないと思って、このゲームを始めて、初めて嫌な気分のままパソコンを閉じた。
2日後・・・
朝のバイトが終わって次のバイトに向かう途中で、中学生の男子の集団とすれ違った。
その時、彼らの会話が少しだけ聞こえ、
「・・・さんってマジでうるさいよね。」
「授業中くらい静かにしてほしいよな。」
「僕は席が真後ろだから、授業ほとんど聞こえないよ。」
この会話を聞いて、case9を思い出したが、少し遅刻ぎみだったので急いでバイト先に向かった。




