『派閥』
「…………なるほど、自分の神器に分力を受けて新しいゼウスハンマーを作られることにしたんですね。」
中間層の長老と呼ばれる老人の神様は特に感情を感じない声色で言った。僕が
「はい。
ただ、分力は信頼がないとしてもらえないことである事もわかってます。
なので、色んな人に意見を聞かせてもらって、どうすれば認めてもらえるのかを考えているところなんです。」
「単純に力で屈服させようとは思わないんですか?」
長老は真面目な顔で聞いてきた。僕も真剣な顔で
「強制的に得た信頼ほどもろい基盤はないと思ってます。
押さえつけられた分だけ反発も強くなります。
全員じゃなくても良いんです。
嫌ならしてもらえなくても我慢します。でも、僕に力を貸してくれる人が増えれば、皆さんの現状を改善できるかもしれません。」
長老は僕の事をじっと見つめてから、
「おっしゃりたい事はわかりました。
でも、なぜそのお話を私にされたのですか?
私なら簡単に分力してもらえるとでも思ったからですか?」
「いえ、長老さんには今までにも色々とお話を聞いてもらいましたし、アドバイスも頂きました。
新しい事を始めるにあたって、長老さんに報告してから始めるのが筋だと思いました。
もちろん分力して頂ければ、それに越したことはありません。
だからと言って無理にお願いすることもありません。」
「そうですか。」
長老はそう言って笑い、
「実は私は長いこと生きていると言うだけで、実際に皆への影響力が強い訳ではありません。
つまり、私が個人的にあなた達を認めても中間層の皆があなたを信頼することには繋がらないです。
実際は中間層は8つの派閥に別れています。その8人の長があなたを認めれば中間層はあなたを認めたことになると思います。
でも、8人の長を信頼させるためにはまず力を示さないといけないでしょう。」
「なぜですか?
実際に会ってお話しさせて貰えれば伝わることもあると思うんですけど?」
「そうですね。
会えれば話が通じる人もいます。でも、彼らも多忙なので会ってすらもらえませんし、周囲が簡単にそれを許すとも思えません。」
「じゃあ、どうすれば良いですか?」
「難しいことだとは思いますが、まずは下層の皆さんの信頼を得てください。
下層にもたくさんの派閥がありますから、容易な事ではありませんが、中間層とは下層よりの考えの者、私のようにどっち付かずで様子を見ている者、上層よりの考えの者がいます。
そしてこれは階級的な部分にも影響するものです。
下層に力を示せば、中間層の下層よりの者達にも力を示すことができ、そうやって順番に認めさせていけば不平が少なくてすむでしょう。
どこかを飛ばせば、上の者達に良い顔をしたいと取られて、下の人達が良い気になりません。
まだまだ前途多難ですね。」
「頑張ります。
まだ始めたばかりですから。
と言っても、下層の人達は会ってもくれないんてすよね。どうしようかな……………」
「そういうことなら、下層のカグチという男を探してください。
派閥のリーダーですし、一癖も二癖もありますが情に厚く話も聞いてくれると思いますよ。」
「わかりました、ありがとうございます。」
僕は頭を下げてお礼を言ってその場をあとにした。




