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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
神器創造戦

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117/136

『議論制天罰』

 僕、地井さん、虹川さん、優輝ちゃんの四人に加えて、ミナモさんも議会をおこなっている部屋に集まった。集まること自体は珍しいことではないが、今回は新しい取組として、1つの事案に対して皆で話し合って天罰を下すことにした。

 この世界では、基本的に自分が受けた仕事は自分の主観によって処理されてしまうため、酷いことをした人でも天罰が軽かったり、それほど非難される事をしていないのに重い天罰を下されたりすることもある。

 当然、個人の責任で天罰を下すのだから誰かにその内容を確認されたり、天罰の内容についてダメ出しされたりすることもない。

 だから、と言うのも少し違う気がするがやりたい放題で無茶苦茶な天罰を下している場合も多々見受けられる。

 たくさん天罰を下したら昇格するとか、給料が増えるなんてことがない上に天罰の内容に対する評価などもされないため、仕事を終わらせるためだけに適当に天罰を下している人が多いようだ。

 まるで社会主義の国のようだと僕は感じていた。

 神様のランクに関しては上層界が決めることだから変えることはできないし、能力を高めれば好きなものを作り出せる神様には基本的にお金が必要ではないから給料をあげる意味もない。

 そこで仕事の量によって休暇制度を作ることにしたが、無茶苦茶な天罰をたくさん下されても困るので、基準となる天罰の前例を決めていくことにした。

 五人でどんな天罰が良いのか、その事案から派生した似たような事案に対してどれくらいなら重くして、軽くするかを考えることにしたのであった。

 優輝ちゃんが書類を取り出し、

「それでは最初の事案です。」

 優輝ちゃんはそう言いながら事案の説明を始めた。

『No.1 入りきらない車

 40代男性の運転する車がガソリンスタンドに入ろうとしたが、給油ステーションに車が止まっていてどこに入るかを探すために停車しました。

 でも、車はガソリンスタンドの敷地内に入りきっておらず車道に車の後部が残っている状態でした。

 後続車が避けようとして反対車線に出たところ対向車と衝突しました。

 幸い両者に大きなケガや命に別状はありませんでしたが、事故の原因となったのはこの40代男性の車だったにも関わらず、避けた車の運転手が全責任を負わされることになりました。』

 優輝ちゃんが説明を終えると地井さんが

「車の給油口って右にあったり左にあったりするんだよな。んで、多くの車は左側にあるから左側用の給油ステーションが混むわけだよ。

 回り込んだり、バックして入れたりするのは面倒だからどうしても左側用のとこが空いてないか探しちゃうんだよな。」

「でも、ガソリンスタンドの敷地内にしっかりと入ってから探せば良いんじゃないですか?」

 虹川さんが言い、ミナモさんが

「アホらしいな。

 こんな事案を話し合う必要なんてあるのか?

 後続車の奴がしっかりと前方を確認していれば良かっただけのことだろう。40代の男に天罰は必要ない。」

「そうでしょうか?

 この男性が後少しだけでも車を移動させていたら事故自体が起こらなかったんですよ?

 この男性の不手際で損害を被った人からしたらかなり迷惑ですよ。」

虹川さんが言い、優輝ちゃんが

「確かにそうですよね。

 危険を避けて危険な目にあったんだから、ある程度の重さの天罰を下して以後こんなことが起こらないようにするべきです。

 この男性がガソリンスタンドに入る度に何かしらの危険が発生し続けるのは見過ごせないですからね。」

 地井さんが

「だが、どこの場所が空くかなんてわからないから移動しやすいところで停車して確認するのは普通のことだろ?

 どう思う、星?」

「そうですね、天罰が必要か不要かで言うなら、優輝ちゃんの言う通り将来的な危険を生まないためにも天罰は必要だと思います。

 その重さに関して言うなら、地井さんの言うようにやってしまいがちな事でもあると思うので重くする必要はないと思います。」

「まぁ、そうだな、じゃあまずは天罰が必要か否かの多数決をとろう。初めての事だからやり方は試行錯誤が必要だけどひとつ決めるごとに多数決で決めていこう。

 それで良いか?」

 地井さんが言い、全員が頷いた。

「必要と思う人は挙手をお願いします。」

 そう言って地井さんは手を挙げた。それに続いて僕を含めてミナモさん以外が手を挙げた。

「世代間ギャップだな。

車になれ親しんでない俺には何ともわからないことだからな。」

 ミナモさんが言い、僕が

「わからないことだから公正な立場で考えることもできるじゃないですか。

 どんどん違和感があったら言ってくださいね。」

ミナモさんは頭をかきながら、

「わかった。ただ、星がこの場をしきれ。

 多数決をとるときもこれからはお前がやれ。

 また頼りない印象を与えるぞ。」

「わかりました。

 それでは必要が多数だったので、次に重さを考えていきたいと思います。(けい)(ちゅう)(じゅう)のなかでどれが適切かを聞きます。

 その上でなぜそう思ったかを言って貰い、最終的にもう一度多数決をとって、天罰内容について話し合うと言った順序でいきましょう。

それでは(けい)が良いと思う人は挙手をお願いします。」

 ミナモさんと地井さんが手を挙げた。

「では、(ちゅう)の人?」

 僕を含めて虹川さん、優輝ちゃんの3人が手を挙げた。

「じゃあ、軽のお二人からお願いします。」

 ミナモさんが

「俺は元々が必要ないと思ってる天罰だからな。

 それに問題になるのは常習性だろ。

いつもやってしまうことなのか、それともこの時はたまたまやってしまったのかで天罰を下すべきことなのかを判断しないといけない。

 今回の事案では常習性についての記述がない以上、たまたまやったと考えるべきだ。」

地井さんが

「それに自分の後ろで衝突事故が起きてるんだぞ。

 自分の責任で事故が起きたことくらいわかってるんじゃないか?

 それなら、次から………はって学んでるかもしれないから、そこまでしっかりと天罰を下さなくても良いんじゃないかと思う。」

「なるほど。じゃあ、次は中の人の意見をお願いします。」

 僕が言うと虹川さんが

「ガソリンスタンドに入りきっていないってことは、歩道も塞いでいるってことですよね。 

 今回は後続車の事故でしたけど、歩行者と自転車の事故とかも起こり得た訳じゃないですか。

 この人がやっていたことはたくさんの危険を生むような行為だったと思います。」

「安全になった状態を作っていないということは、今回の事案では40代の男性にはケガはありませんでしたけど、自分の車が追突されていたかもしれないですし、今後もこの行為が続くなら男性だけじゃなくて家族とかにも危険が及ぶ訳ですから、できるだけ早く改善してもらうべきだと思います。」

 優輝ちゃんが言い、僕が

「二人の言っているように想定できる危険がたくさんあって、その危険の中には運転手にも危険があるということなので、他者のためだけじゃなく、彼自身のためにも天罰は少し重くても良いと思います。

 だからと言って重傷を負わしたりすることもなく、反省をうながす程度で他の人に不利益のないような天罰が必要ではないかと思います。

 じゃあ、改めて軽と中でどちらが適切かを聞きます。

 軽が良いと思う人?」

 ミナモさんが手をあげ、少し悩んでから地井さんも手を挙げた。

「やっぱりそこまでの必要性は感じないかな。」

地井さんが言い、僕が

「わかりました。じゃあ中の方が良いという人?」

 先ほどと変わらない三人が手を挙げた。

「それでは多数決で中くらいの天罰を下すということにします。

 天罰内容ですけど思いついた人から提案してください。」

「自分がやられて嫌なことはしたくなくなるんじゃないか?」

 ミナモさんが言い、僕が

「そうですね、目の前を走っていた車がガソリンスタンドに入りきらなくて危うくぶつかりかけた。くらいでどうですか?」

「ついでにクラクションを思いっきりならしたら、同乗者に『あなたもあれよくやりますよ』って言われて恥をかくまで入れといたらどうだ?」

地井さんが言い、優輝ちゃんが

「行為の危険性も把握できて、他の人から指摘されて自分の行為も省みれるので良いんじゃないですか。」

 僕が虹川さんを見ると虹川さんも頷いて

「私もそれで良い思う。」

「じゃあ、天罰内容は『目の前の車がガソリンスタンドに入りきらずぶつかりそうになり、クラクションを思いっきりならしたら、同乗者にあなたもあれよくやりますよって言われて恥をかく。』で良いですか?

 良ければ挙手をお願いします。」

 全員が手を挙げた。優輝ちゃんがそれを確認してから、書類に天罰内容を書き込み、書類を全員に見せて確認をとった。

 不備等もなかったのでそれで天罰が決定した。地井さんが

「これって結構大変な作業だよな。

 種類もたくさんあるし、似たようなのでも、その行為に至った背景が変われば天罰の内容も再考するひつようがあるだろ?」

「大変ですけど、基準作りはひつようなことですから。」

 僕が言うと、ミナモさんが

「議会に参加してくれるやつを増やして、種類別に専門の委員会みたいなのを作れば良いんだよ。」

「なるほど………………」

 僕が言うとミナモさんが

「だから、早いこと仲間を増やす算段を考えろ。」

 ミナモさんはそう言うと部屋を出ていった。

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