『おかしな夢』
Case8をやった次の日は、バイトが朝から晩まで連続で入っていたため続きをすることができなかった。
バイトから帰るとフラフラになりながら、シャワーを浴びて、そのままベッドに倒れこんだ。
いつもなら眠りにつくまで10分くらいかかるのに今日は疲労からか一瞬で眠りについた。
「さあ~やってきました。1000年に一度のお祭りですよ~。」
誰かが声高に宣言するが、それが誰なのかは僕の位置からでははっきりと見えない。
「1000年に一度、次の全知全能の神の称号『ゼウス』に選ばれるのはいったいどこの一族の誰なのでしょうか?」
どうやら『ゼウス』を決める大会が始まったという夢のようだ。
ゲーマーの僕にはよくあることで、今やっているゲームの主人公が夢に出てきたり、夢の中でもゲームをしていたりすることはよくあることだ。
きっとこの夢もその関係の物なのだろう。
『神様ゲーム』は決して、この夢の内容ではないものの、何かワクワクするものを感じざるを得なかった。
それは、漫画の先を予想してワクワクしているような、次の展開はきっとこうなんじゃないかと友達と話していたときのような、未知の物を想像して楽しんでいるような感覚だった。
「第一次予選にエントリーした候補者は、なんと1500人。
少子化ですねぇ~、参加者が減っているのか、それとも神の一族自体が減っているのか、神になるに値しない人間が増えているのか、そんなことはわからないですが嘆かわしいですねぇ~。」
なんだか世俗的な話だな、少子化の話とか現実的な問題が出てくるところから、僕は自分でも気にしていなかったけど少子化について何か思うことでもあったのだろうか。
夢は自分の考えをもとに見るものだと誰かが言っていたけど、僕もそうなのだろうか。
「まあ、暗い話はここまでで。
さあ、さあ、候補者達よ、功績を積み上げて、まずは『C級神様』になるのだ。
期間中に『C級』になれば、一次予選突破となるぞ。
本戦に出場できるのは、たったの10人だけ。
それでは頑張ってくれ、未来の『ゼウス』候補者たち。」
そう言って、話していた男?は掲示板を指さした。
その掲示板にはたくさんの名前があり、その中で『見習い神様』のところに、『天野星』と自分の名前があることに気付いた。
周りが歓声を上げる中、僕の周りは暗くなり、目が覚めた。
ベッドから勢いよく起き上がり、周囲を確認する。
いつも通りの景色、何も変わらない自分の部屋だった。
額には汗がにじみ、何か興奮するようなことでもあったのかというくらい体が熱い。
僕はベッドに寝ころび直して天井を見つめながら、夢の内容を思い出していた。
自分が勝手に想像して作り出した物語だとすると面白いなと思うし、こんな展開だったら、また違う意味で楽しみが増えるんだろうなと思ったが、同時にこんな展開はありえないと思うし、もし現実にこんなことが行われていたとしても、僕みたいな何のとりえもない普通の人は選ばれないどころか、候補者にもなれないんだろうなという卑屈な考えがよぎり、少し寂しく悲しくなったので、考えるのをやめて、また眠りについた。




