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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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『決勝戦 ジャッジタイム&継承式』

 僕は慌てて周囲を見回した。ミナモさんが何かを言おうとしていたがその続きを聞く前であったため、ミナモさんとムラクモを探したのである。

 しかし、ミナモさんもムラクモさんの姿も見られない。

 僕が諦めて前を向くと、後ろからムラクモさんの声が聞こえてきた。

「この決勝戦のジャッジタイムを少し待ってくれ。」

 突然現れたムラクモさんにその場にいた全員の視線が集まる。

ムラクモさんの登場にも、正面に座っている5人の神使は表情を動かすことすらなかった。

 僕は不審に思って見ていると、真ん中に座った神使が

「ムラクモ殿、何度も言わせないで下さい。

 この場を任されているのは我々です。

 今後、妨害されるようでしたらご退席頂きます。」

「わ、わかった。だが、これだけ聞いてくれ、このゼウス決定戦は何者かの陰謀に利用されている可能性がある。

 いま、ミナモが犯人の特定に行った。あと、十分でいいから審議を公表するのを待ってくれ。」

「なるほど、そういうことですか。

 それで、その陰謀があるという証拠はなんですか?」

 神使が聞き、ムラクモさんは確実な証拠を持っていないことから返答できずにいると神使が

「これ以上聞いても無駄そうですね。

 審議の結果を発表します。」

「ち、ちょっと待ってくれ。ミナモが戻ってくれば証拠もそろうんだ。」

 ムラクモさんがなんとか食い下がろうとするが神使は相手にするのをやめたようにムラクモさんを見向きもしないで、

「勝者は、志士上 絶。

 理由は、我々が出した条件にそった天罰が下せていたからです。

  天野星の天罰はグループのメンバーが生き残ってしまっても良いと考えての天罰でした。

 悪の芽は完全に断たなければいけない。悪事に味をしめた者はまた同じようなことをやるのです。

 完全に根だけ出なく、そこから伸びる幹も新芽も葉に至るまですべてを跡形もなく消さなければ、同じ悲しみを味わうものが出るからです。

 それでは、以上で決勝戦を終え、継承式に移行します。」

 神使がそう言うと、周りの景色が変わり、薄暗い部屋に変わった。

「通常の継承式は現ゼウスより次のゼウスにゼウスハンマーを継承することで終了となりますが、今回は現ゼウスが封印されているので、封印を解いたあとで、ゼウスハンマーを強制的に解放し、志士上 絶に受け取らせることで、継承とします。」

 神使が言い、眩しいほどの光と共に大きな結晶が目の前に現れた。

 よく目を凝らしてみると、結晶の中に幼い頃に見たことのある父がそのままの姿で目を閉じていた。

「それでは、継承式を始めます。

 志士上 絶はすぐにこちらに来てください。」

 志士上君は僕に向かって勝ち誇った顔をして、結晶の方に歩いていった。

神使がなにやら呪文のようなものを唱えると、結晶が上の方から塵となって消えていき、父の身体が中に浮いたままの状態になった。

 続けて、神使が別の呪文を唱え出すと父の胸の辺りから黄色い閃光がほとばしり、銀色の鎚が現れた。

 ミナモさんの予想ではここで何者かが奪いに現れると言っていたので周囲を見回したが、それらしき動きはまったくなかった。

「それでは、継承です。

 志士上 絶、ハンマーを握ってください。」

 志士上君は言われた通りに銀色の鎚の持ち手を掴んだ。

まぶしい光と共に父の身体が地面に倒れた。父を浮かしていた力が志士上君に移ったからなのか、それとも浮かせておく意味を感じなくなった者が落としたのかはわからないが、父は地面に倒れたまま動かない。

 志士上君は満面の笑みでゼウスハンマーを高々と掲げた。

そこに、志士上君の補佐役のウツセミさんが現れた。

 誰かが後ろで何かを叫んだ瞬間だった、ウツセミさんは笑顔で近寄った志士上君に剣を突き立てた。

 剣は志士上君の胸を貫き、そして志士上君は倒れ、ゼウスハンマーが床に鈍い音をたてて落ちた。

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