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神様ゲーム -天罰を下すのは-  作者: TAKEMITI
ゼウス決定戦
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Introduction

「これは、あなたが天罰を下すゲームです。

選択肢の中から妥当だと思う罰を選んでください。

・・・ か、なんだか面白そうだな。」

僕、天野 星 (あまの せい)、24歳フリーターは今日もバイト終わりにパソコンで面白そうなゲームを探していた。

そんな時にたまたま見つけたのが、この『神様ゲーム』だった。

とりあえず、概要を見ていたところ、説明文には先程の言葉から始まり、

「何々、あなたは神様になり、次々に表示される人に対して、その人の行いに対して下す天罰を決めていきます。

人に迷惑をかける行為であるほど、悪質である行為をする人ほど天罰の選択肢は過激になりますので、未成年者のご利用はお避けください。」

その時の僕は暇を持て余していたため、1回やってみることにした。

ログインして、ゲームを始めると画面に

「こんにちは。今日からあなたは神様代行として、悪い人間に天罰を与えてもらいます。

天罰の結果、その人が不幸になっても、あなたに責任はありません。だって自業自得ですから(笑)

あなたはただ天罰を決めるだけです。

結果と併せて、諸々楽しんでください。

これからよろしくお願いします。」

挨拶文に違和感を感じたものの、こういう設定なのかと思い、気にせずに次に進んだ。


さらに操作方法の説明が始まり、例題が表示される。

「20代前半 男性。

電車の中で優先座席に荷物を広げて座り、高齢者がたくさん乗っているのに席を譲るどころか、荷物をまとめて座席のスペースを作ることもしない。」

よくある出来事だなと思うし、思い返せば自分もそんなことを最近したような気がする。 そんなことを思いながら、画面に目を戻すと

「次に、天罰選択画面に進みます。

天罰は最初に重さを決めます。重さは『重度』、『中』、『軽度』から選択します 。

(なお、初期段階では『軽度』しか選択できません。)

重さを決定すると、具体的な3つの選択肢が表示されるので、その中からひとつを選択します。」

なるほど用意された解答をこなすだけの作業ゲーかと思い、続きを読むと、

「1回天罰を下す毎にその天罰の妥当性などが判断され、経験値が溜まり、神様レベルが上がります。神様レベルが上昇すると、『軽度』以外の『重さ』を順次選択できるようになり、天罰選択画面に『その他』が追加され、自由に天罰を決めることができるようになります。たくさん天罰を下せばそれだけ、あなたは様々な天罰を下せるようになります。」

なるほど、やりこみ要素は一応あるのか。

「次に天罰を選択後、『決定ボタン』を押すと確認画面に移ります。確認画面で、この選択で良ければ『⚡』ボタンを押してください。天罰が実行されます。

なお、天罰が下るのは条件に見あった瞬間になるので、その場ですぐに下るわけではありません。

『⚡』ボタンを押したあとは、天罰の結果だけが先に報告されます。

では実際に例題の男性に対して天罰を下してみましょう。

(この天罰から経験値を獲得できます。) 」

画面が天罰選択画面になり、重さを決める。


電車に乗っていれば、その日の体調や荷物の量、そして車両の混み具合によって、この例題のような事は十分にあり得ることだろう。

それに高齢者がたくさん乗っていたとしても、見た目ではその人が座りたいかどうかはわからない。

次の駅で降りるのに譲られても逆に迷惑かもしれないし、年寄り扱いされたくない人だっているだろう。

何より優先座席があるからと言って、絶対にその対象の人に席を譲らなければいけないと言うわけではない。

そう考えると天罰を下す必要もないのではないかとも思う。

しかし、選択画面に『下さない』の選択肢はないから何か選ばなければいけない。

なら、天罰の重さは『軽度』だろう


そう思って、『軽度』を選択する。

画面には、さらに具体的な天罰が表示される。


1.人通りの多い道で何もないところでこけて恥をかく。

2.電車の中で急におならが出て周りの人に笑われる。

3.買物に行ってレジで会計をしようとした時に財布がなくて恥をかく。


さすがに軽度なだけあって、天罰が下って困ることはない気がする。ただ、どれも実際にあると恥ずかしいことばかりで悩んだ。


『恥ずかしい思いをさせられるほど、例題の行為はいけないことなのかと思ったが、確かに自分が譲られたい側ならと考えると譲らないだけでなく、荷物もどけないことには腹が立つ気がした。

そこで、

1は何もないところでころぶだけでなく、怪我をするかもしれないので却下。

2は電車の中という不特定多数の人が見てる中でおならした場合、最悪、知り合いに見られていたらと考えると自分ならゾッとすると思い却下。

じゃあ、残った3も恥ずかしいけど、お金を取りに行くなり、友人がその場にいれば貸してもらうなりすればいいかと思ったので、3を選ぶことにした。』


3番を選んで、決定ボタンを押した。確認画面に移動して、

・天罰対象

20代前半 男性

・行為

優先座席で高齢者に席を譲らなかったこと。

・天罰内容

買い物に行ってレジで会計をしようとした時に財布がなくて恥 をかく。

と表示される。僕が『⚡』ボタンを押すと、画面の中に雷が落ちる映像が写し出され、雷が人に落ちた。

その後、結果報告と表示され、

「20代前半男性は可愛い女性店員さんのレジで財布を忘れてかなり恥ずかしい目に遭いました。

あなたの今回の天罰は、優しすぎたので評価はDです。

経験値は10獲得しました。」

その画面を見て、そんな評価をされるのかと思い、画面を下に移動させると、『評価内容』という部分があったのでクリックすると

「今回の天罰は、そういう行為をしている側の人の天罰の下し方です。

人の迷惑を考えない、人への思いやりのない人の考えに基づいた天罰と言えるでしょう。

天罰とは法律では罰しにくいけど、取り締まって欲しいと願われた事柄に対して神様が下す罰です。

なので、自分がされたら、迷惑を被ったらという目線で天罰を選択した方がいいでしょう。

今回の天罰で、確かに恥をかきましたが、一過性のもので、自分の行為を改めさせるほどの効果はないものになるため、評価は『優しすぎる』ため、D評価です。

次回はもっといい評価が得られるように頑張ってください。」


『なるほど』とどこかで納得している自分がいた。

僕が考えたのは荷物のことだけで、譲られたい側の事情にまでは考えが行っていなかった。

体調が悪かったり、その人も荷物が重かったりしたのかも知れないし、足や腰を痛めている人がいた可能性もあったので、自分中心に考えていた自分が恥ずかしくなった。

単なる作業ゲーかと思ったが、何か深い意味がある感じがして、少し続けてみようと思い、時間が遅く明日もバイトなので、今日はここまでにしてパソコンを閉じた。


4日前・・・

肉体労働系のバイトをした帰り、電車に乗り帰宅していた。

社員の人に頼まれた荷物を運んでいたのと、慣れない肉体労働だったため疲労がピークに達して、優先座席だということも気にせずに荷物を広げて座り、少し眠ってしまった。降りる駅の近くで目を覚まして周りを見ると、腰の悪そうなおじいさんや孫の相手をするおばあちゃんが立っていた。

席を譲ろうかとも思ったが疲れていたため、寝たふりをして駅につくのも待ってしまった。


天罰を下した翌日・・・

バイト終わりに、腹が減ったのでコンビニに行くと新しく入ったのか今まで見たことない可愛い女の子がレジをしていた。

弁当とお茶をもって、レジに行く。その店員さんが

「お弁当暖めますか?」

僕はその時点でカバンから財布を出そうとするが、カバンの中をどれだけ探しても財布がない。その様子を見て店員さんが

「どうかされましたか?」

僕は顔を真っ赤にして

「すみません。財布忘れたので、これキャンセルします。」

僕は恥ずかしすぎてその場をダッシュで離れた。


あれ?これどこかで?

ただ、僕は恥ずかしすぎて冷静さを失っていたので、その時は気づくことができなかった。


これは昨日、僕が下した天罰と全く同じだということに・・・

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