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ネギの勇者って、何ですか?  作者: 三宝すずめ
第三話「ネギと炎の料理人」
42/202

肉でも魚でも持ってこい 5

「推薦枠で出場のカンナさんも、準備が整ったようです。ようやくといったところでしょうか。こちらの手元には特に資料がなく、全くの未知数。王国きっての若手料理人が集うなか、コンテスト唯一の女性料理人として台風の目になれるでしょうか!」


 実況の声が高らかに会場へと響く。その声を耳にしながら、ジオは組んでいた腕を解いた。


「何だ、一体どうした?」

「何でもないさ」


 依頼人が動き出したことを受けて、ネギの勇者は笑みを携えている。だが、その何故笑ったのかはキリカの理解が追いつかない。膝元に座っていた少女は、師の顎元へと頭を突き出していた。気になったらば、どうしてもじっといていられない。


「痛っ――最近ヤンチャが過ぎないか? とはいえ、キリカの聞きたいことに答えるならば、カンナさんはもう大丈夫だろうな、そんな風に思ったってところ、かな」

「お前、随分とカンナを買っているのだな?」

「いやー、そういう訳では……」


 問い掛けてきた人物の方も見ずに、ジオは応える。相手が幼馴染の魔女であれば、必要以上の説明はしない。いつもの無骨な物言いであったが、ネギの勇者は舞台から視線を切る。王都へ向かう道中、ティアが向けていた視線と同様、非常に背筋が寒くなるものであった。


 何故こんなに睨まれるのか? キリカではないが、一体どうしたと聴きたくもあるジオであったが、良い方に転がる気は決してしない。


 仕事のために中座しているが、ジュラスあたりがいれば「名前、きちんと憶えれるんじゃないですか」などと小言も言われ兼ねない。


「ジオ、それは答えになってないぞ!」

「答えてないんだから、そりゃそうだろ?」


 赤髪の少女が声を上げるが、ジオはやはり必要以上に口を開きたがらない。ティアは気になると言えば気になるが、今はそれどころではないからだ。


 彼の中ではカンナへの心配は既に消えている――出会って間もない依頼人だが、彼女が作る料理のおいしさは身を以って知っていた。闘うしか能のない彼には、コンテストの結果はわからない、だが依頼人が走り出したのであれば、別の気になることへと意識を割くことが許される。


「えー、各料理人の紹介が済んだところで、審査員のご紹介に移りたいと思います。主催者であるヴァリスナード様へ、魔導器を譲りたいところであります」


 今もリバーハインドは名調子で言葉を転がす。その言葉に誘われるように実況席へと視線を移せば、ネギの勇者の懸念材料が視界に収められた。


 不意に拡声の魔導器を渡され、焦るヴァリスナード――ではなく、彼の近辺に陣取る人物が気になる。隣に座る二人を見れば、随分ときな臭い香りがぷんぷんと漂っているではないか。彼の主観に過ぎないのだが、何とも不穏な空気があった。


「じっちゃん、何を考えている?」


 コンテストの挨拶を始めた大英雄を見つつ、ジオは思わず独り言を溢してしまった。


「皆、よく集まってくれた。堅い挨拶は抜きにしたいと思うが、少し挨拶を……この国を背負って立つのは、言うまでもなく若者だ。最高峰の料理人には腕を競う舞台と称賛が、見守る皆には楽しみがあれば、主催者として言うことはもうない。以上だ」


 色気のない無骨な言葉であったが、会場からは誰からともなく拍手が送られていた。大きな傷の入ったハゲ頭に艶のない黒色の鎧、人々を圧迫するような出で立ちであるが、それは齢六十を過ぎて尚、この大英雄が健在であることを示している。


 ありがとうございます――そのようにリバーハインドが引き継いでみせる。普段ならば王都内に留まることの少ないヴァリスナードであっても、自身主催のコンテストとあれば流石に表へと出ざるを得ない。これこそが、市民との交流を行う数少ない場なのだ。それは主催者、王都に住まう人々、その双方共に喜ぶべきものであった。


 紡がれた言葉は、主催者の挨拶としては短い部類に入る。終戦の英雄、彼の性分をよく知るジオとしては十分に頷けるものだ。


 だがそれでも、小首を傾げるに至ってしまう。緑色の勇者が気かけたものは、その両隣。ヴァリスナードを囲むようにして、黒衣を纏った人物が鎮座している。どちらもこの場に相応しいとは、残念ながら彼には思えなかった。


「ジオ、あのオバ――姉ちゃんは、何なんだ?」

「あー……キリカは結局、会ってなかったな」


 険しい表情を浮かべていたからか、彼の弟子が膝元から疑問の声を上げていた。それには何と答えたものかと思いつつ、ジオは再度女の方を見る。間違っても本人を前にしてオバさんとか、オバケとかは言ってくれるなよと思う。


 キリカが見ている人物は、一言で表せば、美しい女性であった。癖のある黒髪も、同じく黒を基調にしたドレスによく馴染んで見える。ドレスの胸元は大きく開いているが、覗く張り艶のよい肌は褐色がかっており、妖しさよりもむしろ健康的に映る。吟遊詩人が「謎の貴婦人リック女史」として紹介する様を聞きながら、思わず溜め息を吐いてしまう。


「あれな、俺の信奉する神さんだよ」


 溜め息に続き、投げやりな声を少年は出した。そう、どこからどう見ても、ネギの勇者が信奉する神であるルファイドだ。魔導器をヴァリスナードから奪い取り、自己紹介を始めたところまでを見て、溜め息は頭痛へと変わった。


「……何か、面白そうな姉ちゃんだな」

「色々と面白いぞ」


 ただし“他人事であれば”と条件が付く。


 この世界には、生きるものへと絶大な影響を及ぼす存在がある。その数は十三――魔物を除いた十二の種族へと恩恵を与え切る彼らは、神と呼ばれていた。


 レジナス王国における信仰の主たる対象は、言わずもがなアイリス神だ。次いで有名なものは邪神であり、口にすることも憚られる。メジャーどころで言えば、キリカが信奉するウィッツ神が四位で、王国東に居を構える竜人が崇める神が第五位と謳われている。


「へー、ジオが持つ加護は、あの姉ちゃんから来てるのか。神って、こんな風に出て来ていいもんなんか? ん? そんな簡単に化生するとか、すごい神様か?」


 関心したようにキリカが漏らすが、師は彼女には顔が見られないことをいいことに、辟易とした表情を浮かべていた。


 生き物へ与える影響力で言えば、ルファイド神は十一位と聞かされている。何も、順位と神が持つ力はイコールではない。絶大ながら、生き物の生活にまったく影響を及ぼさない神も存在しているからだ。ネギ神様が無力ならば、ジオはここまでの活躍も出来ていない。


「ああ、残念ながら、あれが俺の力の源なんだな」


 不服そうに溢すことには訳がある。キリカが言ったことが、そのものズバリだ。


 ルファイド神は人間への影響力や認知度が低いためか、ちょいちょいと人間の前に姿を現している。ふらりとやってきては波乱を起こして去っていく――ネギを愛するこの神が、人間に騒がれないようにするため、その勇者は知名度を得られないでいるのではないか。このように考え至れば、無名の勇者を父に持つジオとしては複雑な想いに駆られてしまう。


 今も魔導器を通して「美味いネギ料理を持て!」と神は熱弁する。ただの綺麗な姉ちゃんと思う勿れ。力と引き換えに多大な要求をルファイド神は突き付けてくる。一度その要求、試練を味わってから神を語って欲しいものだ――緑色の鎧を纏った勇者は、硬い表情のまま審査員席を眺めていた。


「リック女史、ありがとうございました。ところで、珍しい装飾品をつけていますね」

「これか? 恰好いいだろう?」


 ぬふふ、とおよそ神らしからぬ、親しみ易い笑みをリック女史は浮かべる。装飾品を褒められたことが嬉しくて堪らないといった様子だ。


 実況者は見たままを口にしているが、それこそネギの勇者からすれば“触れないでいいのに”と焦るところである。身につけられているものは、煤けた眼鏡。レンズに黒が入れば、流石にその奥にある瞳の色も隠されていた。


 自慢げに黒塗りの眼鏡を動かす度に、加護を受ける勇者はやめてくれと思う。何かの拍子で、緑色の瞳が露わになったらどうしようと言うのだ。魔導器を握って離さない女神を前に、ヴァリスナードも頭を抱えている姿がよく見えた。


「パパから、ウィッツ神は面倒くさいと聞いていたんだ。だけど、ジオの信奉する神は……もっと大変そうだな」

「そうなんだ。大変なんだよ……」


 はぁ、と少年勇者は溜め息を重ねる。ルファイド神と出会ったのはかれこれ五年も前になるが、まるで変わらない。困り切った魂を捨て置くことは出来ぬ――そのように語ってみせるが、この神は人間を困らせるようなことばかりを行うのだ。


「うちも似たようなもんだ、エル。自分の神を見てるとさ、結局はアイリス信仰が一番いいんじゃないかと。それは誰もが思うところじゃよな」

「そうだな、本当に、そう思うよな。ネギ食って、さっさと帰れよ……」


 紫の瞳をした少女が冗談めかして言えば、ジオはしみじみと同意した。他の誰かに言われれば反発したかもしれない。だが、この幼馴染みの少女が信奉する神もまた異端の存在だ。流石に、ネギの勇者が言ったような暴言を向けていい相手ではないが。


「んで、ジオはあの神姉ちゃんが気になって、眉間に皺寄せてるのか?」


 難しい顔をしていると、幸せが逃げるぞ? そのようにキリカは告げる。


「気になってはいるが、ルファイドには皺を寄せる必要はないな」

「……その逆隣りかの?」

「ああ、そうだ」

「え、なになに? 二人だけわかってズルぞ?」


 察したティアへ同意をすれば、キリカを放ってネギの勇者は黙り込む。先程感じた、不穏な空気はルファイド神とは別なる者から感じられる。


「さてさて、お次のご紹介です。王都トトリ、その北部に隣接する町より招かれますは、アイリス教の神父様です」


 実況は小気味よくとも、ジオの瞳は鋭くなる。視線の先に居る人物には、多少の因縁があった。この人物へは、随分とよい略歴が解説されているが、聞けば聞く程にジオの首は傾いでいく。


 彼が見ている人物は、あらゆる点でルファイドとは対照的な人物だった。身に纏う衣の色こそ黒であるが、首元までを覆うそれは上質なものであり、親しみ易さは皆無。青白いとも言える肌は不健康にも見えた。貴族の象徴である金髪は後ろへと流されていた。加えて、かけられた眼鏡は照明を反射して瞳の奥底を見せることはない――にも関わらず、リバーハインドが語る度に幾らか熱狂的な声が飛ぶ。


「このような場にお招き預かり、審査員としての責務を得たことは、恐悦至極。五人の料理人を分け隔てることなく賛辞を贈りたい。だが、アイリスの信徒としては、どうしてもリュカリア殿を応援することを赦して欲しい――ああ、勿論審査は公平に行いますよ」


 慈悲深い、神の想いを体現した笑みを男は浮かべた。名高い神父であるアジードの声に、会場は沸いていた。


「じっちゃん、本当に何を考えているんだ?」


 イーシアで出会ったあの男は、胡散臭いことこの上ない生き物であった。ジオからすれば、詭弁を弄して人々をコントロールするように映って仕方がない。その人物が、特別審査員としてヴァリスナードの隣に座っている、それが少年にとっては不思議でならなかった。


 勇者らしからぬとは思えたが、彼の眉間には深い皺が刻まれてしまう。




「皆さま、いよいよでございます」


 緊張をもった声が場内へと響き渡る。一通りの説明を終え、リバーハインドは観客の様子を伺った。参加者である料理人が技巧の限りを尽くした前半は疾うに過ぎ、最早終盤へと差し掛かっていた。


 若き宮廷料理人である二人は、序盤こそ同様に食材を処理していた。だが鍋に火をかけたところで違いが浮き彫りになった。ほぼ同じものを扱っていたにも関わらず、胴の長い鍋に満たされたスープの色は透明と茶系。ここに来て二人の料理人は、互いが最良と思う味付けを行った。場内を満たす香りに聴衆は黙って結果を見守りにかかった。


 技巧と共に聴衆の胃袋を満たすことも求められている。ハロルドとロクザンはシチューを作ることを選んでいた。


「終盤に差し掛かり、我々では想像もつかなかった全容が、知れようとしている! ルコリチさんは、早くも仕上げにかかっているぞ!」


 リバーハインドが語ったように、王都の料理店で腕を振るうコックは盛り付けを始めていた。審査員へと提供される大皿へと乗せられたものはパスタだ。鍋から引き上げられたそれは、時間としてはやや早く感じられる。


 盛り付けを始められたパスタは、観客席から見ても随分と固く見えた。芯が残るでは済まされないレベルであったが、ルコリチはそんな客たちの様子に構うことなくソースをよそう。


「あ、ああーーっと、まさかまさか!? 固め、いやいや固すぎるパスタかと、こちらからは思えていました。だがこれでいい、これに間違いはなかった! わかりますでしょうか。いま、パスタにソースをかけたルコリチさん、ここで皿の上から更に生地を被せた――蒸らしている、蒸らしているぞ! 残った時間をパスタの触感を育てつつ、ソースへと馴染ませることに当てている、何なんのでしょうか? 大胆かつ繊細なその業に、わたーしは驚きを禁じ得ません!」


 時間に余裕を持って、王都で店を構える若き料理人は息を吐いた。彼は既にやれるだけのことをやり切っている。火が通り切らなかったのは、下ごしらえをした肉も同様――残った時間は、食材へ火が通ること、味が馴染むことへ当てられている。


 ここに来て、黙々と調理をしていた料理人たちが顔を上げる事態にも陥っていた。


「おおっと、こちらも仕上げにかかっている。シチュー、パスタとここまで大衆料理をプロの神髄で見せつけられてますが、我々にはまだまが驚きが残されていた! リュカリアさんがオーブンから取り出したもの、ホワイトソースに程良くついた焦げ目、これは見た目には既に、パーフェクトであると言わざると得ない――だが、まだ終わってなどいなかった!」


 ここに来て、リバーハインドの実況はうるさいくらいに加熱する。焼き上がった調理品は、具材をホワイトソースで包んだもの、所謂グラタンだ。チーズも加えられ、最早大衆へと向けられたものとしては文句のつけようもない。だが、この品はまだ完成していなかった。


「終わっていない、終わっていないぞ! 大柄な調理器具、わたーしが知るには果実を擦り下ろすおろし金に似ている、が、違う。わたーしの知るそれよりも、リュカリアさんが持つものは二回りは大きい! それにそれに、手にした素材を擦り合わせ――ああ、何て贅沢な……すみません、思わず言葉を失ってしまいました」


 実況最中にあって、リバーハインドは思わず謝罪の言葉を溢していた。


 単なるグラタンかと思っていた。思わずにはいられなかった。だが、料理人が振るうものを見て修正にかかる。


「わかりますでしょうか、この香り。わたーしも、実際には口にしたことがございません。ですがですが、舞台から離れたこの実況席にもその存在が伝わるようであります。いや、むしろその存在を無視することは出来ないと言った方が正しいでしょうか? 希少とされる幻のキノコが、職人の腕によりスライスされている、何だこれは、何て贅沢なんだ! 香りが、スライスされたことで、放たれる香りがこの位置にまで伝わる!」


 興奮が隠せない様子の実況であったが、それは客席も同様であった。幻の素材と言われるキノコ――首都トトリにはアイリスの樹が根ざしている、そのことは幼き子どもですら知っている。知らないとすれば、その大樹の周辺に年に数回だけ結実するこのキノコの存在だ。


 香りが強く、単独で食するにも十分過ぎる食材。それをリュカリアは料理と調和させていた。調理時間を僅かに残していたとしても、集った人たちはその香りに魅了されている。包まれる香りは、言葉にすれば陳腐と化す。それにしても芳醇なものに残る一人の料理人の行いは隠れていた。


「おや、ざわざわと観客席からはざわめきが届きますね。これ程、人々を魅了する程にリュカリアさんの料理が注目を浴びていたということでしょうか?」

「――うむ、いい香りだ」


 実況者に続き、審査員席から言葉が漏れた。それは煤けた眼鏡をした人物が思わず溢した言葉であった。集まった人たちのざわめき、それはリュカリアにのみ向けられたものではなかった。


「あ、ああっと! 実況の不出来をお許しください。みなさん、ご覧ください」


 続けられた吟遊詩人の言葉を聞き、観客席のジオは、その周囲にいた者は口元を緩めた。


「ひたすらに玉ねぎとトマトを刻んでいた、わたーしにはコンテストを投げ出したように見えていた――繰り返しになりますが、お許しください」


 実況が告げたのは、残った料理人の成した、今も尚続けられるものに向けられている。


「宙に浮かぶ料理、こんなものをわたーしは見たことがない、これは、これは何なのか! 食材が無造作に放り投げられてはいるが、決して投げ捨てられたものではない。青い色をした炎に、否――実態のない窯へと放り込まれております」


 手から放たれた青い炎は消えることはない。遅れを取り戻すかのように、次々と円形の生地が設置されたそれらへと放り込まれていく。


「ど、どうしたことかっ!? カンナさんの調理台の上には、本当にシンプルな食材しかなかった。それが、こうして青い窯へ放り込まれると、何ですか、わたーしはここに来て己が空腹であったことを思い出した!」


 ネギの焼ける甘い匂いが、微かながら広がる。それは、希少なキノコには劣るものの、会場の人々の鼻孔をくすぐった。


「ああ、見てください。黙々と、黙々と準備の整ったピザが放り出されている訳でありますが、この青い炎は何か――人々が起こす奇跡を語る吟遊詩人としては、彼女に“炎の料理人”という称号を贈りたい。ですがですが、炎もさることながら、あの動きは何なのでしょう!?」


 吟遊詩人は我が目を疑う。エントリーをした料理人は、およそ序盤でその腕を振るっていた。だが、カンナという料理人が魅せるのは、ピザの焼き上げの前のものだ。


 生地を掴めば、次には利き手の人差し指に乗って生地は踊る。足踏みをする度に乗せられた生地は円形に広がりを見せた。十分に広げられたそれは、空いた手で具材がいつの間にか盛り付けられているではないか。


「さ、流石は特別推薦枠の料理人! 彼女はレティア一番の料理人の直弟子との情報もありました。既に規定量を越えて食材は料理へと変貌を遂げているが、まだまだその手はとまらない!」


 シチュー、スープ、パスタにグラタン、それに加えてピザが用意されていた。コンテストの主旨を思えば十二分である。大衆に向けた料理ではあるが、出来栄えはご家庭ではおよそ味わえるものでないことなど、集まった人々は容易く理解していた。


「さー、みなさま、今度こそお待たせしました。長丁場にお付き合い戴いた甲斐あり、です。我々はこれより、人間種の技巧の頂、最高峰の料理を口にすることを許された!」


 頃合いを見計らい、リバーハインドは調理時間終了の言葉を告げる。


 大英雄ヴァリスナード主催の王国料理コンテストも、幕引きが近づいていた。




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