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悪意が潜む初戦闘

少年ーーー改めナナシがタケ達に自分が置かれた状況を話してから数分後、4人で色々と可能性を話したりしたのだが………


「わっかんねぇ」

そう言いながら4人の前を歩くのはタケだ。どうやら彼は分からない事は放っておけと言うスタンスらしく、更に頭が良いわけでは無いのか、話し始めて最初に考えるのを諦めた人物である。


「でも、そういう事だったら私達も手伝うよ」

そう言うのはサヤで、タケの次に脱落した人物だ。言葉ではそう言っても、頭から煙が出そうな程考えた顔をする限り、彼女もバカなのかもしれない。

そして後ろをついて行くシズとナナシ。


因みに、この「ナナシ」は言葉通り、「名無し」をカタカナにしただけで安直過ぎやしないか?と一瞬後悔したのだが、杞憂に終わったらしい。

そして今はーーー


「どうしたの?顔に何か付いてる?」

「い、いや、別に」

今更見惚れていました、なんて言えないナナシは別方向を向く。

しかし、確かにシズは綺麗なのだ。

綺麗に整った可愛らしい顔に、腰まで伸びた艶のある黒い髪。プロモーションも抜群とが言えないが、スタイルは良い方である。

因みに、サヤはビックリする程無い。何処がとは言わないが。言ったら作者さえ殺してしまいそうである。取り敢えず、シズが山脈ならサヤは荒野とだけ言っておこう。


それはさて置き、4人が何処に向かっているのかと言うと、外のフィールドだったりする。ナナシが獣に噛まれて死ねない事を確認した、あの平原である。


何のためかと言われれば、初戦闘を経験する為だ。それに、ここは8つの領土に分かれているコネクトオンラインの中で唯一の中立地帯であり、自分が行きたい領土に行くにはこの平原を突っ切らなければならないのだ。故に、今日のうちに初戦闘を済ました方が良いのである。


そして、自分達が好きな領土に行く為の、言わばここが分かれ道なのだ。

他のプレイヤーは知らないが、β版では4つの社会が出来た。そして製品化した時、この4つの社会を更に分ける事でこの世界に合計8つの領土が生まれたのだ。


-中国人サーバーが多い黄の領土・シェン

-日本人サーバーが多い赤の領土・キョウ

-アメリカ人サーバーが多い白の領土・フリー

-フランス人サーバーが多い青の領土・ナイツ

-アフリカ人サーバーが多い茶の領土・ガナン

-様々な出身の集まりの黒の領土・マルン


これらの領土に、自分達で何処に行くのか決められるのである。今回ナナシ達が入ったのは赤と青の領土に近い平原である。



タケ達は、初めてのフィールドに入るのだった。


ーーイニシア平原ーー

広い野原を、一つのグループが進んでいる。

先頭で辺りを警戒しながら進んでいるのは、大剣を肩に担ぐタケだ。どうやら、肩に担ぎながら戦うのが彼のスタイルらしい。

そしてその後ろを歩くのは、背中に弓を抱え少し怯えた様子のサヤだ。

まるで狂犬に吠えられた子供の様に怯えている。

そしてそんなサヤをあやしているのは、シズとナナシの2人である。


何故こんな事になっているのかと言うと…


初戦闘で起きた事が原因だったりする。

幾らゲームとはいえ、モンスターはかなりリアルに作られている。

それはナナシを噛んだ獣や、今回サヤのトラウマの原因になったモンスターもそうだったりする。

初戦闘時にサヤが相手したモンスター、その名前もーーー


「ビッグワーム」

これでお分かりだろう。簡単に言えば、芋虫である。小学生位の大きさだったが。

たかが芋虫と侮ってはいけない。

虫を良く観察してみると、実は虫はかなりグロテスクな作りをしている。

それは芋虫も同じで、そんなグロテスクな虫が一般的な小学生位の大きさで、しかも結構早いスピードで突っ込んで来るのだ。

ハッキリ言って、気持ち悪い。


「キモッ‼︎」

「やだぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ‼︎

気持ち悪い‼︎タケ、どうにかしてぇぇ‼︎」

「流石に気持ち悪いわね……」

「俺あんなのと戦いたくねぇ」


以上が、ビッグワームに遭遇した時の全員の反応である。台詞と今の状況から、誰がどの台詞を言ったのか一目瞭然だ。


しかも、斬られる度に体から体液を撒き散らすから更にタチが悪い。

コネクトオンラインの無駄に高いリアリティが裏目に出た結果であった。



そして今は、大してダメージを受けていないタケが先頭に立ち、大ダメージ(主に精神的に)を食らったサヤを守る様にシズとナナシが挟むという陣形に落ち着いている。

因みに、ナナシは武器を持っていない。

武器を装備できるか分からなかったし、そもそも武器を買うお金すら無かったので試す事もしない。

タケから大剣を借りると握れたので使えない事は無さそうだが……よく分からない。


ナナシが自分の無能っぷりに四つん這いに倒れてorzしたとだけ言っておこう。


そんなこんなで、危なげなく平原を進む彼らだったが、それは急に現れた。



「なっ」

足元に現れる魔法陣。それは4人全員を覆う程の大きさで、タケ達が何か言う前に、その姿を何処かへ飛ばしてしまった。


誰も居なくなった平原に、一陣の風が吹く。

それはまるで、罠に掛かった獲物を嘲笑うかの様だった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔法陣で飛ばされた4人は、気がつくと薄暗い空間の中に居た。

光が無いので良く分からないが、かなりの広さがある円形の空間らしい。

訳の分からないまま4人が探索しようとすると……


ーープレイヤーを確認、ボス構成開始ーー

突如として聞こえた、システムメッセージ特有の無機質な声、そして同時に現れた無数の0と1。


それらが化け物の一部を作っていく。

上から現れたのは頭と背中を、

横から現れたのは二つの巨大な腕を、

下から現れたのは強靭な2つの足を、

そしてその化け物の身体は少しづつ作られていきーーーー


「おいおい……まじかよ」

「ねぇ、シズ。あれって…」

「まさか…ありえない」

「あり得るよ…此処はゲームだぞ」

4人が信じられない物を見た様に固まる中、それは姿を現した。


強靭な足と腕を持ち、その巨大な体を動かしながら、それは今、この場所に現れた。




"Boss:Gretefrethe(グレテフレーゼ)"

漆黒の竜が、その牙を剥く。


『Guuuioioioioooiiiiooooooooo!!!!!!』

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