VRMMORPG 「コネクトオンライン」
時は2099年、全国的に「ある」技術が全国的に普及された年である。
それは、
「VR」
実際の形はしていないか、形は異なるかも知れないが、機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザの感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術として有名なこの技術は、世界が初めて共同で行われた一大プロジェクトに寄って幕をあける。
その名も、
プロジェクト「Another Real」
アジア各国、北アメリカやヨーロッパ各国という、世界のほぼ全ての主要国家が手を取り合い始まったこのプロジェクト。
このプロジェクトの目的は、仮想現実を完璧に行い、二次小説でしか存在しなかった「VRを利用した別の人生」を作る事である。今回はその第一歩として、国としては小さく、地方としては広い仮想の世界を作り、そこで思い思いに人生を歩んでもらおうというものだ。
こうして始まった研究は、各国で共同開発した衛星型ネットサーバー「コネクトイオン」と、ゲームのβ版と偽って集めた10000人のテストプレイヤーによって、その作られた小さな世界に現実とは違う、初めての第二の世界とその住人が生まれた。
「アナザース」
そう呼ばれた第二の世界で、テストプレイヤー達は思い思いに行動した。
ある者は協力し合い、又ある者は奪い合った。結果、上に立つ者と下に立つ者が生まれ、強いものが支配する弱肉強食の世界へと変貌した。
グループが生まれ、
村が生まれ、
街が生まれ、
結果、社会が生まれた。
アジア人中心の社会が生まれた
アメリカ人中心の社会が生まれた
ヨーロッパ人中心の社会が生まれた
アフリカ人中心の社会が生まれた
そしてプロジェクトは、次の段階へと踏み込んだ。
即ち、嘘を現実に
夢を現実に
プロジェクトをゲームにして、アナザースは世間の目に晒された。
一万というちっぽけな数字では無く、今度は全世界に向けて、アナザースは改造を施されていく。
新たな土地を作り、山や海を増やし、武器やエネミーをばら撒いた。
かくして、アナザースは初のVRMMORPG「コネクトオンライン」として世間の脚光をあびる事となる。
配信されてからは、誰もがそのゲームを欲しがり、店には連日行列が生まれた。そんな期待を一身に浴びたゲームの完成度は、想像以上の物だった。
風の香りが花を掠め
空からは太陽が肌を焼き
動物の鳴き声が耳に届く
そんな現実とはさほど変わらない、新しい世界は瞬く間にメディアに取り上げられ、更に有名になる。
β版で作られた八つの社会を、そのまま八つの領土に分けた結果、この世界は八つの領土と大きな未開拓のフィールドを持つ世界「アナザース」となった。
そしてコネクトオンラインが配信されてから半年、1人の少女と少年の出会いが世界を変える事になる。
これは、コネクトオンラインと言う実験場で出会った少年少女の、世界を変える物語
が、
その前に少女、いや切崎静香の事に付いて話をしよう。
切崎静香は家庭が少し裕福な唯の学生だ。
お金を盾に取ってやりたい放題でも無いし、世間知らずでも無い。
高飛車な性格でも、傲慢な性格でも無い。
唯一変わった事が有るとすれば、両親に反抗的な所だ。
両親の反対を押し切って友達と遊びに行ったり、ゲームや本に熱中する姿はお嬢様に見えなく、孤立するどころか逆に人気者になった所は、彼女の性格と人徳故の結果だろう。
そんな彼女がコネクトオンラインに繋がったのは、正式なサービスが始まってから半年後の事だった。






