オモイ
「そうか。ならさ、花凜はどうしたい?」
流音の問に、花凜は薄く笑った。
「私はね、例え実ることのない恋でもいいから、ずっとあの人を想っていたいかな」
すっと流音が息を飲んだ。花凜のその瞳に全く感情の色が見えないからなのか、それとも花凜の想いの大きさに圧倒されたのか。
「…花凜」
若干震える声で流音が言う。声をかけたというよりは、思わず呟いたという感じだった。
「なぁに?」
小さく首をかしげる花凛。
「…いや、なんでもない」
「変な流音」
そう言って笑う花凜。瞳には感情の色が戻っていた。
「私、そろそろ帰らないと。今日はありがと、流音」
そう言って花凜が立ち上がると、不意に流音が彼女の腕を掴んだ。
「俺、明日もここにいるから。今日と同じくらいの時間。花凜も暇なら来いよ」
「え、あ、うん…」
少し強く言う流音に気圧されて思わず頷く花凜。
「じゃ、また明日な、花凜」
「ばいばい、流音」
家に帰った後、花凜は流音との会話を思い返していた。
「変な人…。でも、」
なんだかすごく懐かしい感じがする。
後半は心の中でそっと呟き、ベッドに突っ伏した。
流音も寝る前に、花凜との会話を思い返していた。
「不思議な子だったな。…でも、」
初めて会った気がしない。
後半は心の中で呟くと、そのまま眠りにおちた。