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リユウ
少年はゆっくりと口を開いた。
「あんた、なんで泣いてんの?」
「な、なんでって・・・」
当然の疑問ではあるが、あまりにもストレートな質問に花凜は言葉に詰まる。少年は岩から降り、すたすたと彼女の前まで来て顔をのぞき込む。
「・・・っ」
あまりにも不躾な視線に、かっと顔が熱くなる。
「し、知らない人に理由なんて言えないよ」
軽く睨みながら言うと、少年はニヤっと笑った。
「流音」
「・・・?」
「俺の名前。流れる音って書いて、りゅうと」
「えっと、私は花凜。なんでいきなり?」
「これで知らない人じゃないよな?」
流音と名乗った少年はそう言って無邪気に笑った。
変な人。それが流音の第一印象だった。
「知らない人じゃないから、理由言ってみろよ。誰かに話せば少しは楽になるぞ?」
優しい流音の笑顔と言葉に、固くなっていた心がほぐれていく。
「・・・私ね、失恋したの」
気がつくと、花凜はそう言っていた。
「ずっと、ずっと大好きだった彼氏に、好きなコができたって、ふられたの・・・」