第三話:一回戦
第三話の手直しと文を少し追加しました
そして、三人のHP割り振りを係りの人とに渡したのだが……
「……本当にこれで良いんですか!?」
「えっと……やっぱり?」
困った表情の曖菓は苦笑いしていた。
そう思うのは当然なんだけど。
困り果てたような表情で登録の人が言ってきた。
「……分かりました。この二人のHPをプラス1000でお願いします」
「わ、分かりました。それでもあまり変わらないと思いますけど?」
そういいながら係りの男性はタッチパネルを操作しながらそう呟いていた。
『大丈夫です。私達は負け試合なんてするつもりはありませんから』
笑顔で答えると三人は試合会場にの待合室に入った。
「けど、本当にするの?」
待合室は入れ替わりが激しいので個室状態になっている。
そこで不安になっていた曖菓は口を開いた。
『大丈夫ですよ。私の勘では相手の方々は先制型だと思います』
相手の情報を見ながらエリシアはそう答えた。
そう言いながら俺と曖菓に情報を渡してくれた。
「水と風の上位の使い手だね」
『相性もバッチリだと思うですよ』
相互の関係で考えると使う確率は高い。
水と風は確かに回復系のものにとりえたりしているからな。
「そこでエリと俺の二人で相手二人の魔法を相殺を行う」
『その後に私達の大技でフィニッシュですよ』
エリシアは人差し指を立てて可愛さをアピールをしながら答えた。
効果はあまりないと思うが。
「お、大技って……克夜って固定式の魔法ってあるの!?」
「そこは見てからって事で」
そこは大会始まってからのお楽しみってことで……
すると、ワッペンに【案内係】と付けてた学生がノックをした後に入ってきた。
「チーム【皇】は二番ゲートより次元内に突入してください」
その言葉を聞いて三人は立ち上がった。
「さて、一度だけ観戦者に度肝を抜いてもらいましょう♪」
「確かに抜かれると思うわね。色んな意味でだけど」
そう言いながら克夜はそう答えた。
三人はゲートの方に向かったのだった。
○●○●
私は、二人と言葉を交わした後に元の場所に戻ってきた。
「あら、ハクア様に瀬里夜様!?」
そこには三国の王と王妃に挨拶をしている二人の姿が見えたので挨拶に入った。
「おや、フィーナ姫も居られましたか。 何処かに行かれていたのですか?」
「えぇ、少し気になる方がいましたので声を変えてきましたので」
克夜と曖菓と言う事は伏せておきましょう。
「ふ〜ん、まぁ、いいっか。 今日は息子の大事な初の大会ですから楽しみだわ♪」
「お二人はお子様がいらっしゃるのですか!?」
あまりにも謎なのであまりプライベートは聞かないようにしていたのですが。
二人にお子様がいらしたのだろうか?
「えぇ、多分会われていると思いますわ」
ハクアと瀬里夜は顔を見合わせた痕に笑っていた。
私が会ったってことですよね。その前に誰かに会っていたのはバレているのですね。
「お、待望の息子の試合だ」
ハクアがそう告げつとGブロックの試合が始まろうとしていた。
そして、対戦プレートの名前が浮かび出た。
皇 克夜・皇 エリシア・美月 曖菓の三名の顔と名前が表示された。
「お、エリちゃんは皇に変えたんだな。 使い魔の表示は変わらないけど」
「仕方ないわ、そうなんだから」
嬉しそうに話をしている皇夫婦を横目で私は開いた口が塞がらなかった。
私はすっかり『皇』という名前を忘れていた。
そう、現に皇という名前を持っているのはこの家族しかいないのだ。
「うんうん、写真の写りもなかなかだね」
そして、次に映し出されたHPを見て会場からどよめきが走った。
それは。お父様やお母様……。ましてや、他の国の国王や大臣も驚いてる。
それはそうだろう、この表示されたHPを見たら。
「まぁ〜、エリちゃんと克夜のHPが2000で曖菓ちゃんが残りを……か」
「なかなか大胆な行為ね」
それを笑いながら見ている夫婦に対してその場に居る大臣やら王や王妃は未だに開いた口が閉まらなかった。
それは王子やそのほかの姫も同じことだった。
「だ、大乗なのか?」
「一撃でも当たったら終わりだぞ!!?」
心配になって聞いてきた機械国や武の国の王が二人に対して聞いてきたが。
確かにこのHPだったら固定魔法や大技(合体)なら即死でしょうけど。
だが、二人は。
「「克夜とエリちゃんなら問題ないと思う(わ)」」
二人はそう言い切ったのだ。
それも満面の笑みで。
「という事は克夜はあの能力をこっちではまだ使ってないってことなのね」
「それならこの試合を見れば使うと判断する」
その二人の言葉に三国の人々は理解することが出来なかった。
「始まったわ!!」
その答えは直ぐに理解した。
対戦者の二人が放った二人の固定式の風と水の合体魔法。
それと同時に曖菓が二人に魔法の付加を与えると同時にエリシアと克夜が前に出た。
「魔法防壁を展開しないだと!?」
そして、克夜が魔法の側面に一気に近づき軽く触たと思うと『パリン』と音を立てて緑の模様が消え青一色になった。
その後ろでエリシアが片手を突き出し水魔法用の防御を作り出して簡単に受け止めた。
「な、なんですかあれは?」
「あれはAMAと私たちは呼んでいます」
「簡単に申しますと全ての力を打ち消す能力と言っておきます」
「そんなデタラメな!?」
側近の大臣達が声を揃えていうが。
「出来たものは仕方ないと思うわよ。それも生まれ持った能力ですから」
その答えと同時にモニターを見ると夫婦以外の口が再度塞がらなくなっていた。
天性的の技能ということ。
さっきあったけどそんなものは見えなかったし。
「に、虹色の魔力!?」
画面ではエリシアが水色の防壁を展開したあとに克夜とエリシアの足元に魔法陣が展開した。
それは、二人とも同じ魔法を創り出していたのだ。
「さて、大臣さんは知ってるわよね。あれの名前を?」
瀬里夜はニコニコしながら質問を投げかけた。
「れ、虹色破壊砲……」
「はい、大正解です♪」
その回答を言うと同時に大臣の顔は真っ青になっていた。
大臣が真っ青になる姿を初めて見た。
「な、なんですか。 その固定式魔法は!?」
「この世界に存在する七つの魔力を作り出し放つ固定式の技です」
「ひとつだけ訂正……元々存在した魔法も含まれますから」
フィーナ姫の言葉にハクアは説明をしてくれた。
それも、元々存在した魔力って……【龍】と【時】なの!?
「付け加えるけど、この世界にあの魔法を作り出せる『人』はいない」
「えっ!?」
「昔もこれを使える家系はいたんだけど、もう家系は絶たれるね。 使えるのはあの子のみ……かな?」
「家系?」
「フォーラトリエ家の者のみに受け継いだ魔法」
そう、フォーラトリエ家はもう存在はしないだけど。
「あの子『エリシア=フォーラトリエ』はその魔法を受け継ぎ『古種:石動』として今を生き始めた」
その言葉に再度驚いていた。
「それと忠告。私達の家族を研究材料にするなら……私たち二人が」
「本気で三国を敵に回します♪」
その言葉と同時に大臣と国王達が真っ青になっているのは言うまでもなかった。
この二方の全力をこの三国で止められるのは誰もいない。
「わ、解った。そんなことはしない」
剣の国の国王の言葉に全員は頷いていた。
「本人達が同意すれば私たちは何も言いませんので」
そして、克夜のチームがノーダメージで試合が終わったのは言うまでもなかった。
●○●○
俺たちは、係りの指示で時空間内に入った。
中は音もなく、静かな場所であった。
そして、風景も青一色の場所だった。
「ここが、時空間内?」
「ですね。 まだ、能力は発動してない状態ですけどね」
周りの状態を見ながら聞いた克夜の質問にエリシアは的確に答えてくれた。
「けど、あのHPで本当に大丈夫?」
『相手が風と水と使い魔が『補助』とくれば大抵は予想ができる』
「大渦巻(メイルストロム……海の巨人【ポセイドン】の大技ですが三人なら対応はできます」
その言葉に曖菓は小さく笑った。
「そういえば曖菓って【重複詠唱】って出来たよな?」
『ツイン……なんですかそれ?』
「うん、小さい頃に使ったきりだけど大丈夫だよ?」
克夜の答えに笑顔で返す曖菓の隣でエリシアは不思議そうに聞いてきた。
「俺達は【重複詠唱】って呼んでんだけど、簡単に説明すると違う魔法を同時に使う詠唱方法だ」
「ここの学校に入ってからは使ってないけどね」
その言葉にエリシアは口と目を大きく見開いていた。
そして呆れた目線で
『……お二人共、なんて言う規格外なんですか!?』
「「は、はい!?」」
その言葉に克夜と曖菓は同時に答えた。
『っと、私も半分ほど規格外の分類でした』
それもそのはず、基本魔法を詠唱するときは【一つ】しか作り出すことができない。
これは【固定式】や【移動式】の二つとも共通していることだ。
だから、合体技というのがこの世界に存在しているのだ。
「けど、魔法使いの杖の中に【移動式】をセットすれば無詠唱で放つことは可能だろ?」
『そのスキルって子供の頃に会得した方法ですよね? その時って【ワンド】は持っていたんですか?』
「流石に持たせてくれる訳がないよ」
その言葉に曖菓は苦笑いしながら答えた。
ー数秒後ー
「えっと……あれ?」
事の重大さに曖菓も気がついたらしい。
因みに【移動式】も杖自体が所持なしないときは【固定式】と同じ扱いになるのだ。
「下手すると杖とツインでトリプルができるってことですね?」
「美月家の守護ってこれのことか?」
『補助魔法に優れていましたがこんな魔法使う人は聞いたことはないですよ?』
そんなん事が起きたら世界バランスも多分いろんな意味で崩れるだろう。
「討論しても仕方ない、これが終わったらご飯を食べながら話し合おう」
『そうですね。 それで、マスターが言いかけたことって?』
「ツインで加速と魔力上昇を俺達に使ってくれ。メイン詠唱は【加速】で頼むな」
「うん、頑張るよ」
その言葉と同時に相手の方が空間内に入って書いたのだが。
相手さん、ものすごく怖いんだけど?
「おい、あんたら。あのHPはふざけ過ぎじゃないのか!!?」
その言葉と同時に両者の振り分けられたHPが表示される。
曖菓のHPは14000と表示。そして、俺とエリシアのHPは2000ずつ。
「まぁ、そう思われるのが普通かもしれないですけど……」
『たしかにそうですね』
俺の言葉に曖菓とエリシアは同時に頷いていた。
「今回は無駄な体力を使わないで上に目指す最短と言ったらこれだったんでね」
簡単に言えば【圧倒的な力量】で相手を捩じ伏せる。
それと前衛に最小で【無傷】ならこの作戦は絶大な効果となる。
「試合カウント10です」
エリシアの言葉と同時に景色が赤から青の色に変わった。
そして、モニターにタイマーが表示されカウントされている。
「その減らず口を直ぐに終わらせてやる!!」
その言葉と同時にタイマーが0になった。
「エリちゃん、克夜!!【瞬足の天馬】!!」
次の瞬間に曖菓の【重複詠唱】が完成され二人に付加される。
「「大渦巻!!」」
風と水と使い魔による強化魔法が乗った魔法が三人に向かって突っ込んできた。
「エリシア!!」
『準備万端です!!』
その言葉と同時に俺は魔法の方に突っ込んだ。
そして、ギリギリの所で横に飛び渦の外に手を翳したと同時に一気に離れた。
「おい、自殺行こう……!!?」
相手がそういった瞬間に異変が起きた。
パリン!!
次の瞬間、風の渦だけが綺麗に解除されていた。
「な、何だと!!?」
その光景には相手の二人の選手は唖然となっていた。
『蒼石の壁』
そして、エリシアの水属性の防御により完全に攻撃を防がれていた。
エリシアは満面の笑みで相手を睨んでいた。
『補助の方も封じられて合体技は不可能ですよ?』
「「なっ!!?」」
男二人は振り返ると鳥のモンスターは白いチェーンで完全に固められていた。
『美月家は補助も強いけど唯一の拘束魔法も痛いぐらい効果があるますよ』
その言葉で俺はエリシアの隣に並んだ。
「『これにて終演です!! 同調』」
その言葉と同時に俺とエリシアは両手を天に翳した。
「「時の龍を我が声に応えよ。全てを付属し今解き放つ力とならん!! フォーラトリエ/フォーラトリエの主の遣いにより……」」
手を翳したての上に二つの虹色の光の玉が出来上がり。
その玉を真正面に構えなおした。
「『全てを薙ぎ払う『砲』とならん!!【虹色破壊砲】!!』」
虹色の光は特大の光となり二人に襲い掛かった。
直線状に居た二人と使い魔は綺麗に光の中に飲み込まれた。
それが消えると同時にブザー音と周りの色が赤に変化した。
相手のHPの表示は0になっていた。
「最後に一言だけ言っておきます」
克夜は二人に向い。
「別に手加減してこのHPにしたわけではありません」
「……!!?」
そう言って克夜上を見つめた。
そこには何もなかったがその部分を見つめていた。
だが、その部分は確かに【誰か】が座っているはず。
「本気で戦ってるっていうのを見せないといけないんだ」
「そうだね。ちゃんと私達の事を見てもらわないとね」
少し後ろにいた曖菓も賛同してくれるように答えてくれた。
ただ、エリシアだけは不思議そうに見ているだけだったが
「さて、空間を出ようか?」
『はいです』
そして、その日の試合は幕を閉じた。
閲覧ありがとうございました